セルロースガムとは…成分効果と毒性を解説

増粘 分散
セルロースガム
[化粧品成分表示名称]
・セルロースガム

[医薬部外品表示名称]
・カルボキシメチルセルロースナトリウム

[慣用名]
・CMC、CMC-Na

化学構造的に植物の細胞膜の主成分であるセルロースのヒドロキシ基(水酸基:-OH)の一部にカルボキシメチル基 (−CH2−COOH) を結合させたカルボキシメチルセルロース(CMC)のナトリウム塩であり、水溶性の弱アニオン性セルロース誘導体(セルロース系半合成高分子)です(∗1)(文献2:1985)

∗1 カルボキシメチルセルロース(Carboxymethyl Cellulose:CMC)は、アルカリ溶液中で自発的にナトリウム塩に変換されるため、カルボキシメチルセルロースとセルロースガム(カルボキシメチルセルロースナトリウム塩)は同様に「CMC」として解説されていることが多いです。

主な用途としては、医薬品分野において粘度調整目的で軟膏やパップ剤などの基剤に、食品分野においては増粘・感触調整目的でアイスクリーム、麺類、乳飲料などに、トイレタリー分野においては粘結剤として歯磨剤に汎用されています(文献3:2004;文献4:2014)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、シート&マスク製品、メイクアップ化粧品などに配合されています。

増粘

増粘に関しては、セルロースガムは水溶性のアニオン性高分子であり、水に溶解して経時的安定性のある適正な粘度を付与することから、基剤の増粘・粘度調整目的で化粧水、乳液、クリーム、ボディローション、シート&マスク製品、洗顔料、ヘアスタイリング製品などに使用されています(文献5:2015;文献6:2012)

分散

分散に関しては、セルロースガムは水に溶解して経時的安定性のある適正な粘度を付与することから、無機粉体・固体粒子を液体中に安定に分散する目的でファンデーション、マスカラ、リップカラー、アイライナーなどに使用されています(文献6:2012)

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2009年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

セルロースガムの配合製品数と配合量の調査結果(2009年)

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セルロースガムの安全性(刺激性・アレルギー)について

セルロースガムの現時点での安全性は、

  • 医療上汎用性があり有効性および安全性の基準を満たした成分が収載される日本薬局方に収載
  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 30年以上の使用実績
  • 皮膚一次刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚累積刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし
  • 光毒性:ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1986)によると、

  • [ヒト試験] 200人の被検者に100%セルロースガムを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、試験期間を通じてこの試験物質は皮膚刺激および皮膚感作反応を示さなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1952)
  • [ヒト試験] 15人の被検者に3%セルロースガムを含むリンクルスムージングクリームを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、平均皮膚激スコアは最大4のうち0.17であり、対照との間に有意な違いは観察されなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1979)
  • [ヒト試験] 86人の被検者に1.1%セルロースガムを含む化粧水を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、誘導期間において3人の被検者にほとんど知覚できない紅斑が観察されたが、チャレンジ期間において皮膚反応は観察されず、セルロースガムは非刺激剤および非感作剤であると結論付けられた(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1977)
  • [ヒト試験] 97人の被検者に1%セルロースガムを含むペーストマスクを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、誘導期間において1人の被検者で軽度の皮膚刺激が観察されたが、チャレンジ期間において皮膚反応はなく、1%セルロースガムを含むペーストマスクは非刺激剤および非感作剤であると結論付けられた(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1978)
  • [ヒト試験] 17人の被検者に0.5%セルロースガムを含むアイライナーを対象に21日間連続使用試験を実施し、累積刺激性スコアを0-630のスケールで評価したところ、累積刺激スコアは2.1であり、この試験物質は実質的に累積刺激性なしと結論づけられた(Concorde Laboratories,1982)
  • [ヒト試験] 209人の被検者に0.5%セルロースガムを含むアイライナーを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、誘導期間において皮膚反応は観察されず、チャレンジ期間においては2人の被検者に軽度の皮膚反応が観察されたが、臨床的に意味のある皮膚反応とはみなされず、この製品は非刺激剤および非感作剤であると結論付けられた(International Research Services,1979)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されているため、一般に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1986)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼にセルロースガム0.1mgを含む水溶液を点眼し、Draize法に基づいて眼刺激性を評価したところ、すべての眼は3日目には眼刺激スコア0であった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1974)
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に3%セルロースガムを含むリンクルスムージング製剤を点眼し、Draize法に基づいて眼刺激性を評価したところ、1日目の平均眼刺激スコアは0であり、この製剤は非刺激性であると結論づけられた(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1980)
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に1.1%セルロースガムを含む化粧水を点眼し、Draize法に基づいて眼刺激性を評価したところ、1日目の平均眼刺激スコアは1、2日目のスコアは0であり、この試験物質は最小限の眼刺激性であると結論づけられた(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1977)
  • [動物試験] 9匹のウサギの片眼に0.5%セルロースガムを含むリキッドアイライナーを適用し、3匹は洗眼し、6匹は洗眼せず、Draize法に基づいて眼刺激性を評価したところ、洗眼の有無にかかわらず眼刺激性は観察されず、この試験物質は非刺激剤であると結論付けられた(Food and Drug Research Laboratories,1979)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、ほとんどの試験で共通して眼刺激性なしと報告されているため、一般に眼刺激性はほとんどないと考えられます。

光毒性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1986)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの剃毛した背中2箇所に0.5%セルロースガムを含むアイライナーを閉塞パッチ適用し、2時間後に1つのパッチを除去した後にUVランプを照射し、照射部位をアルミニウムオイルで再密閉して覆った。すべてのパッチを48時間後に除去し、49,72および96時間で皮膚刺激性を評価したところ、非照射部位の平均刺激スコアは最大8のうち0.22で、照射部位の平均刺激スコアは最大8のうち0.39であり、両者とも最小限の刺激性とみなされた。この製品はウサギの皮膚に最小限の皮膚刺激性ではあるが、光毒性ではないと結論づけられた(Food and Drug Research Laboratories,1979)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、光毒性なしと報告されているため、一般に光毒性はほとんどないと考えられます。

∗∗∗

セルロースガムは安定化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(1986)「Final Report on the Safety Assessment of Hydroxyethylcellulose, Hydroxypropylcellulose, Methylcellulose, Hydroxypropyl Methylcellulose, and Cellulose Gum」Journal of the American College of Toxicology(5)(3),1-59.
  2. 千田 壽一(1985)「カルボキシメチルセルロース」有機合成化学協会誌(43)(4),382-383.
  3. 北川 徹(2004)「クリーン素材のセルロースガム」第一工業製薬社報 拓人(529),17.
  4. 第一工業製薬株式会社(2014)「カルボキシメチルセルロースナトリウム セロゲン」第一工業製薬社報 拓人(569),14-15.
  5. ダイセルファインケム株式会社(2015)「CMCダイセル」技術資料.
  6. 鈴木 一成(2012)「カルボキシメチルセルロースナトリウム」化粧品成分用語事典2012,595.

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