ステアリン酸亜鉛とは…成分効果と毒性を解説

分散剤 感触改良剤
ステアリン酸亜鉛
[化粧品成分表示名称]
・ステアリン酸亜鉛

[医薬部外品名]
・ステアリン酸亜鉛

高級脂肪酸であるステアリン酸と亜鉛からつくられる非常に滑らかな白色微粉末の分散剤です。

滑らかな感触をつくり、付着性および耐水性を向上させ、またコンパクトパウダーに用いると油様質感を与えて製品価値を向上させるため、アイシャドー、アイライナー、ファンデーション、チーク、コンシーラーなどのメイクアップ化粧品に広く配合されています。

また、制汗用化粧品、デオドラント製品の品質向上のため配合されることもあります。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の1976-2001年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ステアリン酸亜鉛の配合製品数と配合量の調査結果(1976-2001年)

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ステアリン酸亜鉛の安全性(刺激性・アレルギー)について

ステアリン酸亜鉛の現時点での安全性は、化粧品、皮膚用医薬品および食品添加物として古い使用実績があり、皮膚刺激性はほとんどなく、眼刺激性は非刺激または最小限の眼刺激が起こる可能性があるものの、皮膚感作(アレルギー)の報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report of the Safety Assessment of Lithium Stearate, Aluminum Distearate, Aluminum Stearate, Aluminum Tristearate, Ammonium Stearate, Calcium Stearate, Magnesium Stearate, Potassium Stearate, Sodium Stearate, and Zinc Stearate」(文献1:1982)によると、

  • [ヒト試験] 202人および99人の被検者に10%ステアリン酸亜鉛を含むアイシャドー製剤を1日2回28日間にわたって使用してもらい、1,2,3および4週目に検査したところ、事実上皮膚反応はなく、この試験条件下でこの製品に皮膚刺激および皮膚感作の可能性は示さないと結論付けられた(CTFA,1977)
  • [動物試験] 6匹のウサギに100%ステアリン酸亜鉛を24時間閉塞パッチ適用し、Draize法に従って検査したところ、皮膚刺激スコアは最大8のうち0であり、刺激性を示さなかった(S.B. PENICK and CO,1977a)
  • [動物試験] 6匹のウサギに10%ステアリン酸亜鉛を含むアイシャドーを24時間閉塞パッチ適用し、Draize法に従って検査したところ、皮膚刺激スコアは最大8のうち0であり、刺激性を示さなかった(CTFA,1978)

JETOC 日本化学物質安全・情報センターの初期評価プロファイル(文献2:2005)によると、

  • ステアリン酸亜鉛は皮膚に対して刺激性ではなく、また皮膚感作性ではない

と記載されています。

化粧品、皮膚用医薬品および食品添加物として古い使用実績があり、また試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激の報告もなく、また皮膚感作の報告もないため、皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report of the Safety Assessment of Lithium Stearate, Aluminum Distearate, Aluminum Stearate, Aluminum Tristearate, Ammonium Stearate, Calcium Stearate, Magnesium Stearate, Potassium Stearate, Sodium Stearate, and Zinc Stearate」(文献1:1982)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に100%ステアリン酸亜鉛を点眼し、眼はすすがず、Draize法に従って眼を評価したところ、眼刺激スコアは1,2および3日目でそれぞれ0であり、眼刺激性を示さないと結論付けられた(S.B. PENICK and CO,1977b)
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に100%ステアリン酸亜鉛を点眼し、眼はすすがず、Draize法に従って眼を評価したところ、眼刺激スコアは1および2日目でそれぞれ2および0であり、最小限の眼刺激剤であると結論付けられた(AVON PRODUCTS,1976)
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に10%ステアリン酸亜鉛を含むアイシャドーを点眼し、眼を検査したところ、すべてのウサギの眼刺激スコアは24,48および72時間で0であり、眼刺激剤ではないと結論付けられた(CTFA,1978)

JETOC 日本化学物質安全・情報センターの初期評価プロファイル(文献2:2005)によると、

  • ステアリン酸亜鉛は眼に対して刺激性ではない

と記載されています。

試験データをみるかぎり、非刺激または最小限の眼刺激が報告されているため、眼刺激性は非刺激または最小限の眼刺激が起こる可能性があると考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ステアリン酸亜鉛 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ステアリン酸亜鉛は毒性なし(∗2)となっており、安全性に問題のない成分であると考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ステアリン酸亜鉛は安定化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分

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文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(1982)「Final Report of the Safety Assessment of Lithium Stearate, Aluminum Distearate, Aluminum Stearate, Aluminum Tristearate, Ammonium Stearate, Calcium Stearate, Magnesium Stearate, Potassium Stearate, Sodium Stearate, and Zinc Stearate」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.3109/10915818209013152> 2018年5月18日アクセス.
  2. JETOC 日本化学物質安全・情報センター(2005)「初期評価プロファイル 亜鉛カテゴリー」, <http://www.jetoc.or.jp/safe/siap_top.html> 2017年9月20日アクセス.

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