ステアラルコニウムベントナイトとは…成分効果と毒性を解説

増粘剤 安定化成分 感触改良剤
ステアラルコニウムベントナイト
[化粧品成分表示名称]
・ステアラルコニウムベントナイト

粘土鉱物のベントナイトにカチオン界面活性剤のステアラルコニウムクロリドを吸着処理して得られる親油性に改質した非水溶性の粘土成分(粘土系増粘剤)です。

油に混ぜることで油に粘度を与えることができ、油中水型(W/O型)乳化物の安定性を高めたり、顔料粒子などの分散を安定化させて使用性の向上や品質の保持のために使用されます。

化粧品に配合される場合は、主にマニキュア、ネイルエナメル、ネールカラーなどのネイル製品に使用されます。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2015-2016年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

ステアラルコニウムベントナイトの配合製品数と配合量の調査結果(2015-2016年)

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ステアラルコニウムベントナイトの安全性(刺激性・アレルギー)について

ステアラルコニウムベントナイトの現時点での安全性は、皮膚刺激性はほとんどなく、眼刺激性は軽度から重篤な刺激を引き起こす可能性がありますが、皮膚感作(アレルギー)の報告はないため、総合的に安全性は高いものの眼に入らないように注意が必要な成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Alkonium Clays as Used in Cosmetics」(文献1:2016)によると、

  • [ヒト試験] 100人の被検者の背中または上腕に1.452%ステアラルコニウムベントナイトを含むリップスティックを誘導期間において24時間パッチを合計9回適用し、その後にチャレンジパッチを適用、パッチ除去後に試験部位を評価したところ、皮膚刺激および皮膚感作の兆候はなかった(TKL Research Inc,2015)
  • [動物試験] 6匹のウサギの無傷および擦過した部位に100%ステアラルコニウムベントナイトを24時間閉塞パッチ適用し、OECDテストガイドライン404に基づいてパッチ除去24および72時間後に試験部位を評価したところ、無傷の部位で紅斑および浮腫スコアは最大4のうち0であり、擦過した部位では紅斑スコアは最大4のうち0.3であり、浮腫スコアは0.25であった(NICNAS,2013a)
  • [動物試験] 20匹のモルモットに誘導期間において60%ステアラルコニウムベントナイトをパッチ適用し、チャレンジ期間においては30%および60%でパッチ適用し、OECDテストガイドライン406に従って試験部位を評価したところ、24および48時間後で感作の兆候は観察されなかった(NICNAS,2013b)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Alkonium Clays as Used in Cosmetics」(文献1:2016)によると、

  • [動物試験] 7匹のウサギの片眼の結膜嚢に100%ステアラルコニウムベントナイト0.1gを点眼しOECDテストガイドライン405に従って点眼後7日間ウサギの眼を観察したところ、点眼24時間後ですべてのウサギに重篤な結膜刺激が観察され、7日目までには1匹のみが中等の刺激反応を示した。また6匹のうち5匹で重篤なケモ-シスの反応が示され、6匹のうち2匹で重篤なめやにが観察され、6匹のうち2匹において中等の角膜混濁が観察された。100%ステアラルコニウムベントナイトは重篤な眼刺激物であると結論付けられた(NICNAS,2013c)
  • [動物試験] 3匹のウサギの眼にステアラルコニウムベントナイト(31~36mg)0.1mLを点眼し、点眼後に眼をOECDテストガイドライン405に従って検査したところ、1時間後から48時間までで2匹のウサギにわずかな結膜の赤み、結膜の軽度から中等のケモ-シス、めやにが観察された。角膜および虹彩は影響を受けなかった。ステアラルコニウムベントナイトは結膜に対してわずかに刺激性であった(NICNAS,2013d)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、軽度から重篤な眼刺激が報告されているため、眼刺激性は軽度から重篤な眼刺激を引き起こすと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ステアラルコニウムベントナイト

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ステアラルコニウムベントナイトは■(∗2)となっていますが、試験データをみるかぎり、眼刺激性に注意が必要であると考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ステアラルコニウムベントナイトは安定化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2016)「Safety Assessment of Alkonium Clays as Used in Cosmetics」, <https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/FR698.pdf> 2018年5月17日アクセス.

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