ステアラルコニウムベントナイトとは…成分効果と毒性を解説

増粘
ステアラルコニウムベントナイト
[化粧品成分表示名称]
・ステアラルコニウムベントナイト

化学構造的に粘土鉱物のベントナイト陽イオン界面活性剤の第四級アンモニウム塩の一種であるステアラルコニウムクロリドを反応させて得られる疎水性の有機変性粘土鉱物です。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的でネイル製品などに使用されています。

疎水性増粘・顔料分散安定化

ベントナイトはスメクタイト型粘土の一種であり、スメクタイト型粘土はその層状構造を有する結晶片が水中で膨潤(∗1)し、剥離分散することにより増粘(親水性増粘)しますが、有機溶媒中では分散できないことが知られています(文献2:1974)

∗1 膨潤とは、水分を含んで膨れる(膨張する)ことです。

このような背景から、ベントナイトの結晶層の層間に陽イオン界面活性剤をインターカレート(∗2)し親水性から疎水性に変更することによって、有機溶媒中で膨潤して剥離分散することを可能にしており(文献3:2014;文献4:2013)、疎水性増粘および顔料分散安定化目的でネイルカラー、マニキュアなどに汎用されています。

∗2 インターカレート(Intercalate)とは、分子または分子集団の空隙に他の元素が侵入する可逆反応のことです。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2015-2016年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

ステアラルコニウムベントナイトの配合製品数と配合量の調査結果(2015-2016年)

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ステアラルコニウムベントナイトの安全性(刺激性・アレルギー)について

ステアラルコニウムベントナイトの現時点での安全性は、

  • 20年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2016)によると、

  • [ヒト試験] 100人の被検者に1.452%ステアラルコニウムベントナイトを含むリップスティックを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、試験期間を通じていずれの被検者においても皮膚刺激および皮膚感作の兆候はなかった(TKL Research Inc,2015)
  • [動物試験] モルモットにステアラルコニウムベントナイト水溶液を適用したところ、60%濃度まで非刺激であった(NICNAS,2013)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2016)によると、

  • [動物試験] 7匹のウサギの片眼の結膜嚢に100%ステアラルコニウムベントナイト0.1gを点眼し、OECD405テストガイドラインに基づいて点眼7日後までウサギの眼を観察したところ、点眼から24時間ですべてのウサギに重篤な結膜刺激が観察され、7日目には1匹のみが中程度の刺激反応を示した。また6匹のうち5匹で重篤なケモ-シスの反応が観察され、6匹のうち2匹で重篤なめやにが観察され、6匹のうち2匹において中程度の角膜混濁が観察された。100%ステアラルコニウムベントナイトは重篤な眼刺激物であると結論付けられた(NICNAS,2013)
  • [動物試験] 3匹のウサギの眼にステアラルコニウムベントナイト(31-36mg)0.1mLを点眼し、OECD405テストガイドラインに基づいて眼刺激性を評価したところ、1時間後から48時間までで2匹のウサギにわずかな結膜の赤み、結膜の軽度から中程度のケモ-シス、めやにが観察された。角膜および虹彩は影響を受けなかった。ステアラルコニウムベントナイトは結膜に対してわずかな眼刺激剤に分類された(NICNAS,2013)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、100%濃度および濃度不明の試験データしかみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

∗∗∗

ステアラルコニウムベントナイトは安定化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2016)「Safety Assessment of Alkonium Clays as Used in Cosmetics」Final Report.
  2. S Olejnik, et al(1974)「Swelling of Montmorillonite in Polar Organic Liquids」Clays and Clay Minerals(22),361-365.
  3. 皆瀬 慎(2014)「有機変性粘土鉱物の工業的利用」オレオサイエンス(14)(5),205-211.
  4. 関根 知子, 他(2013)「有機変性粘土鉱物を用いた乳化物の調製および化粧品への応用」第57回粘土科学討論会講演要旨集,22-23.

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