シリル化シリカとは…成分効果と毒性を解説

増粘 充填
シリル化シリカ
[化粧品成分表示名称]
・シリル化シリカ

[医薬部外品表示名称]
・シリル化処理無水ケイ酸

化学構造的に体質顔料の一種であるシリカ表面の水シラノール基(親水性)の一部をトリメチルシリル基(疎水性)に置換した疎水性シリカ誘導体です。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的でメイクアップ化粧品に汎用されています。

疎水性増粘

疎水性増粘に関しては、シリル化シリカは疎水性であり、かつ空隙率(∗1)が非常に高く、比表面積が大きいことから、シリコーンオイルを含む化粧品油剤の増粘効果に優れており(文献3:1988;文献4:2015;文献5:2020;文献6:2007)、油剤の顔料分散安定化や粘度安定性の向上などの目的でファンデーション、チーク、アイシャドー、口紅、コンシーラー、化粧下地などに汎用されています。

∗1 空隙率とは、固体物質の小孔や割れ目、粒子間空隙などの空間を含む量を表す尺度のことであり、球状であるシリル化シリカ粉体内の隙間・空間の割合です。

充填

充填に関しては、まず前提知識として充填について解説します。

充填(じゅうてん)とは、本来的には中身を詰める、隙間を埋めるという意味で用いられますが、充填剤として用いる場合は、製品の機能や効果に変化を与えることなく容量を増すために添加される物質のことをいいます。

シリル化シリカは、疎水性充填剤として粉体処法製品の増量目的で使用されます(文献4:2015)

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2010-2011年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

シリル化シリカの配合製品数と配合量の調査結果(2010-2011年)

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シリル化シリカの安全性(刺激性・アレルギー)について

シリル化シリカの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 1980年代からの使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

Evonikの安全性データ(文献1:2017)によると、

  • [動物試験] ウサギの皮膚にシリル化シリカをパッチ適用し、OECD404テストガイドラインに基づき皮膚刺激性を評価したところ、この試験物質は非刺激剤に分類された

旭化成ワッカーシリコーンの安全性データ(文献2:2017)によると、

  • [動物試験] ウサギの皮膚に類似製品を適用した皮膚刺激性試験の結果、シリル化シリカに皮膚刺激性は予期されないと結論付けられた

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激なしと報告されているため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Evonikの安全性データ(文献1:2017)によると、

  • [動物試験] ウサギの片眼にシリル化シリカを適用し、OECD405テストガイドラインに基づき眼刺激性を評価したところ、この試験物質は非刺激剤に分類された

旭化成ワッカーシリコーンの安全性データ(文献2:2017)によると、

  • [動物試験] ウサギの眼に類似製品を適用した眼刺激性試験の結果、シリル化シリカに臨床的に意義のある眼刺激性は予期されないと結論付けられた

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して眼刺激なしと報告されているため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

Evonikの安全性データ(文献1:2017)によると、

  • [動物試験] モルモットにシリル化シリカを対象にMaximization皮膚感作試験を実施し、OECD406テストガイドラインに基づいて皮膚感作性を評価したところ、この試験物質は非感作剤に分類された

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚感作なしと報告されているため、皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

∗∗∗

シリル化シリカは安定化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. Evonik(2017)「Aerosil R 812」Safety Data Sheet.
  2. 旭化成ワッカーシリコーン株式会社(2017)「HDK H2000」安全データシート.
  3. 城野 博州(1988)「シリカ微粒子の特性と応用」色材協会誌(61)(11),614-621.
  4. 宇山 光男, 他(2015)「シリル化シリカ」化粧品成分ガイド 第6版,150.
  5. 旭化成ワッカーシリコーン株式会社(2020)「HDK H2000」技術資料.
  6. ダウ・東レ株式会社(2007)「VM-2270 Aerogel Fine Particle」技術資料.

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