コハク酸2Naとは…成分効果と毒性を解説

pH調整 緩衝
コハク酸2Na
[化粧品成分表示名称]
・コハク酸2Na

[医薬部外品表示名称]
・コハク酸ニナトリウム

化学式C4H4Na2O4で表される、有機酸の一種であるコハク酸の二ナトリウム塩であり、式量は162.05です(文献1:1994)

主な用途として、貝類の旨味を呈することから食品分野においてシーフード風味のインスタントラーメン、漬物、ソーセージ、醤油などの調味料として用いられ、また旨味の相乗効果が高まることからグルタミン酸ナトリウムと併用して使用されています(文献1:1994;文献2:-)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、シート&マスク製品、シャンプー製品、ボディ&ハンドケア製品、クレンジング製品、洗顔料、ネイル製品など様々な製品に配合されています。

塩基性によるpH調整

塩基性によるpH調整に関しては、まず前提知識として塩基性について解説します。

塩基性とは、酸と反応する性質のことであり、水溶液に限ってはアルカリ性と同義です(∗1)

∗1 コハク酸2Naは塩基性の物質ですが、そのままの粉末をリトマス紙につけても変化がなく、水に溶かしてコハク酸2Na水溶液とすることで、イオンのはたらきで水溶液がアルカリ性になるということです。

コハク酸2Na溶液のpHは7.0-9.0の弱塩基であり(文献3:-)、酸を中和するマイルドなpH調整剤として使用されています。

pH調整による緩衝

pH調整による緩衝に関しては、まず前提知識として緩衝溶液(Buffer Solution)について解説します。

緩衝溶液とは、外からの作用に対して、その影響を和らげようとする性質をもつ溶液であり、つまりある程度の酸または塩基(アルカリ)の添加あるいは除去または希釈(∗2)にかかわらず、ほぼ一定のpHを維持する作用を有する溶液のことです(文献4:1998-1999)

∗2 溶液を薄めることです。

たとえば人間の皮膚は弱酸性であり、入浴などで中性に傾いたとしてもすぐに弱酸性に保たれますが、これは緩衝作用が働いているためです。

化粧品においては、pHが変動してしまうと効果を発揮しなくなる成分や品質の安定性が保てなくなる成分などが含まれており、化粧品の内容物がpH変動要因である大気中の物質に触れたり、人体の細菌類に触れても品質を保つ(pHを保つ)ために、緩衝剤のひとつとしてコハク酸(酸性)とコハク酸2Na(塩基性)との組み合わせが使用されています。

酸性化合物に関しては、コハク酸に限らず他の化合物が用いられることもあります。

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2009-2010年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

コハク酸2Naの配合製品数と配合量の調査(2009-2010年)

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コハク酸2Naの安全性(刺激性・アレルギー)について

コハク酸2Naの現時点での安全性は、

  • 薬添規2018規格の基準を満たした成分が収載される医薬品添加物規格2018に収載(∗1)
  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 20年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)

∗1 コハク酸二ナトリウム水和物として収載されています。

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

医薬部外品原料規格2006に収載されており、20年以上の使用実績がある中で重大な皮膚刺激および皮膚感作の報告がみあたらず、また化粧品においては主にpH調整・緩衝剤として使用されることから、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

∗∗∗

コハク酸2Naは安定化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分

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文献一覧:

  1. 大木 道則, 他(1994)「コハク酸ナトリウム」化学辞典,488.
  2. 株式会社日本触媒(-)「コハク酸二ナトリウム(SS50)」, <https://www.shokubai.co.jp/ja/products/detail/ss50.html> 2020年6月2日アクセス.
  3. Chemical Book(-)「Disodium succinate」, <https://www.chemicalbook.com/ChemicalProductProperty_EN_cb7304246.htm> 2020年6月2日アクセス.
  4. 西山 成二, 他(1998-1999)「緩衝溶液についての一考察 -緩衝溶液および混合緩衝溶液の緩衝作用-」順天堂医学(44),S1-S6.

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