コハク酸とは…成分効果と毒性を解説

pH調整剤 収れん成分
コハク酸
[化粧品成分表示名称]
・コハク酸

動植物界に広く分布する有機酸で、天然では琥珀や褐炭に含まれており、特異な酸味のある無色~白色の結晶性粉末です。

化粧品の原料としては工業的に合成されて作られており、調味料や医薬用としても用いられます。

水、アルコール、グリセリンなどによく溶ける性質をもっています。

化粧品として配合される場合は、穏やかな収れん作用があるので肌をキメ細かく整える目的で化粧水に配合されたり、他の酸や塩類と組み合わせてpH調整の目的で使用されています。

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コハク酸の安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

コハク酸の現時点での安全性は、水溶液そのものはpHが酸性のため刺激性がありますが、pH調整剤として弱酸性に調整されるため、化粧品に配合する場合において、皮膚刺激性および眼刺激性はほとんどなく、重大な皮膚感作(アレルギー)の報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report of the Cosmetic Ingredient Review Expert Panel on the Safety Assessment of Dicarboxylic Acids,Salts, and Esters」(文献1:2012)によると、

  • [動物試験] コハク酸はウサギの皮膚に対してわずかな刺激物であった(試験の詳細は不明)

昭和化学の安全データシート(文献2:2017)によると、

  • 水溶液のpHは酸性であるため皮膚を刺激することから区分2(中等の刺激)とした

と記載されています。

安全データでは、水溶液のpHが酸性のために、中程度の皮膚刺激性と報告されていますが、コハク酸はpHの調整に使用されるため、化粧品に配合される時点で弱酸性など安全なpHに調整されるため、化粧品に配合される場合において、皮膚刺激性はほとんどない(安全なpHに調整される)と考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report of the Cosmetic Ingredient Review Expert Panel on the Safety Assessment of Dicarboxylic Acids,Salts, and Esters」(文献1:2012)によると、

  • [動物試験] ウサギの角膜の中心に100%コハク酸0.005mLを適用し、眼はすすがず、評価したところ、コハク酸は重度の眼刺激剤であり、染色際に壊死がみられた。眼刺激スコアは1~10のスケールで8であった

昭和化学の安全データシート(文献2:2017)によると、

  • 水溶液のpHは酸性であるため眼を刺激することから区分2A(中等~重度の刺激)とした

と記載されています。

安全データでは、水溶液のpHが酸性のために、中程度から重度の眼刺激性と報告されていますが、コハク酸はpHの調整に使用されるため、化粧品に配合される時点で弱酸性などアクシデントで眼に入っても安全なpHに調整されるため、化粧品に配合される場合において、強い眼刺激性はほとんど起こらない(安全なpHに調整される)と考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report of the Cosmetic Ingredient Review Expert Panel on the Safety Assessment of Dicarboxylic Acids,Salts, and Esters」(文献1:2012)によると、

  • [動物試験] 10匹のモルモットの剃毛した肩の無傷の皮膚に8%または80%濃度のアジピン酸、グルタル酸、コハク酸の混合物を含むフタル酸ジメチル0.05mLを適用し、一次刺激電位を評価した。誘発のために1%懸濁液0.1mLを4回避内注射することで感作電位も評価した。13日の無処置期間を設けた後に8%または80%混合物の懸濁液0.05mLを用いてチャレンジパッチを行ったところ、一次刺激試験では8%の懸濁液は刺激を生じず、80%懸濁液は24時間後に軽度の刺激は観察されなかった。またいずれの濃度においても感作は観察されなかった

と記載されています。

試験結果では、いずれの濃度でも皮膚感作は観察されなかったと報告されているため、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
コハク酸 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、コハク酸は毒性なし(∗2)となっており、化粧品に配合する場合には安全性に問題ないと考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

コハク酸は安定化成分と収れん成分にカテゴライズされています。

他の安定化成分など安定化成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分 収れん成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2012)「Final Report of the Cosmetic Ingredient Review Expert Panel on the Safety Assessment of Dicarboxylic Acids,Salts, and Esters」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/1091581812447203> 2018年2月26日アクセス.
  2. 昭和化学株式会社(2017)「安全データシート こはく酸」, <http://www.st.rim.or.jp/~shw/MSDS/19684250.pdf> 2018年2月26日アクセス.

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