コハク酸とは…成分効果と毒性を解説

pH調整 収れん
コハク酸
[化粧品成分表示名称]
・コハク酸

[医薬部外品表示名称]
・コハク酸

天然には琥珀に含まれますが、工業的にはフマル酸を合成またはブドウ糖を還元して得られる水溶性および結晶性の有機酸です。

コハク酸は動植物界に広く分布し、細胞内ミトコンドリアにおいてATPなどのエネルギーを産生する物質代謝過程の中間体として重要な役割を担っています。

日常生活においても合成酒に添加されたり、コハク酸のナトリウム塩は貝類のうまみ成分であり、グルタミン酸ナトリウムとともに化学調味料として使用されていることはよく知られています。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、洗浄製品、ネイル製品、洗顔料・洗顔石鹸、ピーリング化粧品、シート&マスク製品、ボディ&フットケア製品などに使用されています(文献1:2012;文献2:2015)

pH調整

pH調整に関しては、化粧品にはpHが変動してしまうと効果を発揮しなくなる成分や品質の安定性が保てなくなる成分などが含まれており、化粧品の内容物がpH変動要因である大気中の物質に触れたり、人体の細菌類に触れても品質を保つ(pHを保つ)ために他の酸類や塩類と組み合わせて使用されています。

収れん作用

収れん作用に関しては、コハク酸は酸性および親水性であり、酸性に寄せることで化学的にタンパク質収縮・凝固作用を起こすことができるため、収れん性化粧水に使用されます(文献2:2015;文献3:1989)

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2009-2010年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

コハク酸の配合製品数と配合量の調査結果(2009-2010年)

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コハク酸の安全性(刺激性・アレルギー)について

コハク酸の現時点での安全性は、

  • 薬添規2018規格の基準を満たした成分が収載される医薬品添加物規格2018に収載
  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2012)によると、

  • [動物試験] モルモットにコハク酸、グルタル酸、アジピン酸の混合物(濃度不明)を対象に皮膚刺激性試験を実施したところ、非刺激-軽度の刺激性であった(Organisation for Economic Co-Operation and Development,-)
  • [動物試験] モルモットにコハク酸、グルタル酸、アジピン酸の混合物(濃度不明)を対象に皮膚感作性試験を実施したところ、感作剤ではなかった(Organisation for Economic Co-Operation and Development,-)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

ただし、濃度が明らかにされておらず、現時点では根拠の弱い結論です。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2012)によると、

  • [動物試験] ウサギの角膜の中心に100%コハク酸0.005mLを適用し、眼はすすがず、眼刺激性スコア(1-10)を評価したところ、壊死が観察され、眼刺激性スコアは8であり、コハク酸は重度の眼刺激剤であった(Environmental Protection Agency,-)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、100%濃度で重度の眼刺激性が報告されていますが、化粧品使用濃度とはかけはなれており、ほかに詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

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コハク酸は安定化成分、収れん成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分 収れん成分

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2012)「Final Report of the Cosmetic Ingredient Review Expert Panel on the Safety Assessment of Dicarboxylic Acids,Salts, and Esters」International Journal of Toxicology(31)(4),5S-76S.
  2. 宇山 光男, 他(2015)「コハク酸」化粧品成分ガイド 第6版,101.
  3. 西山 聖二, 他(1989)「基礎化粧品と皮膚 (Ⅱ)」色材協会誌(62)(8),487-496.

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