ケイ酸(Na/Mg)とは…成分効果と毒性を解説

増粘
ケイ酸(Na/Mg)
[化粧品成分表示名称]
・ケイ酸(Na/Mg)

[医薬部外品表示名称]
・合成ケイ酸ナトリウム・マグネシウム

ケイ酸Naとケイ酸Mgを主成分とする合成ケイ酸塩(合成ヘクトライト)であり、スメクタイト(∗1)に分類される合成粘土鉱物です。

∗1 体積の数十倍に水を吸収して膨らむ(膨潤する)機能を有する粘土鉱物のグループをスメクタイトといいます。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的でメイクアップ化粧品などに使用されています。

ゲル化による親水性増粘

ゲル化による親水性増粘に関しては、ケイ酸(Na/Mg)は合成スメクタイトであり、スメクタイトの一般特性である水和と膨潤性およびチキソトロピー性(∗2)に優れ、水を抱えてゲル化することから(文献2:2012;文献4:-)、その増粘性を活かし顔料の安定分散や乳化安定などを目的に口紅、アイシャドー、アイライナー、チーク、ファンデーション、プレストパウダー、コンシーラーなどに汎用されています。

∗2 チキソトロピー性とは、混ぜたり振ったり、力を加えることで粘度が下がり、また時間の経過とともに元の粘度に戻る現象をいいます。よく例に出されるのはペンキで、ペンキは塗る前によくかき混ぜることで粘度が下がり、はけなどで塗りやすくなります。そしてペンキは塗られた直後に粘度が上がり(元に戻り)、垂れずに乾燥します。

スメクタイトの水和と膨潤性のメカニズムは、モンモリロナイト族鉱物であるヘクトライトは水と接触すると、層間の交換性陽イオンに水分子が次々に水和することから水和性に優れ、水和によって結晶の底面同士の間隔である底面間隔が増加することで膨潤するというものです(文献3:2007)

一般に天然スメクタイトであるヘクトライトと比較すると、合成ヘクトライトであるケイ酸(Na/Mg)は不純物が少ないことから品質安定性が高く、また分散液の透明性に優れているという特徴があります(文献2:2012;文献4:-)

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の1998-1999年および2018年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

ケイ酸(Na/Mg)の配合製品数と配合量の調査結果(1998-1999年および2018年)

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ケイ酸(Na/Mg)の安全性(刺激性・アレルギー)について

ケイ酸(Na/Mg)の現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 20年以上の使用実績
  • 皮膚一次刺激性:4%濃度においてほとんどなし
  • 皮膚累積刺激性:4%濃度においてほとんどなし
  • 眼刺激性:4%濃度において非刺激-最小限
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2003)によると、

  • [動物試験] 4匹のウサギの無傷および擦過した皮膚に4%ケイ酸(Na/Mg)溶液0.3mLを24時間閉塞パッチ適用し、パッチ適用24および72時間後にPII(Primary Irritation Index:皮膚一次刺激性指数)を評価したところ、PIIは0.0であり、これらの試験条件下でこの試験物質は皮膚刺激性なしと結論付けられた(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1970)
  • [動物試験] 3匹のモルモットの側面に4%ケイ酸(Na/Mg)溶液0.05mLを1日1回3日連続で適用し、各適用24時間後に皮膚反応を評価したところ、累積刺激スコアは0.0であり、これらの試験条件下でこの試験物質は累積刺激を示さなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1970)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚一次刺激および累積刺激なしと報告されているため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2003)によると、

  • [動物試験] 3匹のウサギの片眼に4%ケイ酸(Na/Mg)溶液0.1mLを点眼し、Draize法に基づいて点眼1および4時間後ならびに1,2,3,6および7日後に眼刺激性を評価したところ、平均眼刺激スコアは角膜、虹彩、結膜でそれぞれ0,0,6.0であった。平均総合スコアは6.0であり、これらの試験条件下ではこの試験物質は最小限の眼刺激剤であることが示唆された(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1970)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、4%濃度において最小限の眼刺激が報告されているため、4%濃度において非刺激-最小限の眼刺激を引き起こす可能性があると考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

20年以上の使用実績がある中で重大な皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

∗∗∗

ケイ酸(Na/Mg)は安定化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2003)「Final Report on the Safety Assessment of Aluminum Silicate, Calcium Silicate, Magnesium Aluminum Silicate, Magnesium Silicate, Magnesium Trisilicate, Sodium Magnesium Silicate, Zirconium Silicate, Attapulgite, Bentonite, Fuller’s Earth, Hectorite, Kaolin, Lithium Magnesium Silicate, Lithium Magnesium Sodium Silicate, Montmorillonite, Pyrophyllite, and Zeolite」International Journal of Toxicology(22)(1_Suppl),37-102.
  2. 鈴木 一成(2012)「合成ケイ酸ナトリウム・マグネシウム」化粧品成分用語事典2012,597.
  3. 鬼形 正伸(2007)「ベントナイトの特性とその応用」粘土科学(46)(2),131-138.
  4. クニミネ工業株式会社(-)「スメクトン-SWN」技術資料.

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