グルコン酸Naとは…成分効果と毒性を解説


・グルコン酸Na
[医薬部外品表示名称]
・グルコン酸ナトリウム
化学構造的にグルコースの1位の炭素を酸化することで生成されるグルコン酸にナトリウム塩を反応させた水溶性のグルコン酸ナトリウム塩です。
化粧品に配合される場合は、
これらの目的で、洗浄製品、洗顔料&洗顔石鹸、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品などに使用されています(文献1:2019)。
製品自体のキレート作用
製品自体のキレート作用に関しては、まず前提知識として化粧品における金属イオンの働きおよびキレート作用について解説します。
金属イオンは、化粧品成分の酸化を促進し、変臭や変色の原因となったり、透明系の化粧品に濁りや沈殿を生じさせたりするなど、化粧品の品質劣化の原因となったり、また効能成分の作用を阻害することがあるため(文献2:2006)、製品中の金属イオンの働きを抑制(封鎖)する目的でキレート剤が配合されます。
硬水など金属イオンを豊富に含む水で石鹸を使用すると、硬水に含まれるカルシウムイオンの作用で水に溶けず洗浄力のないカルシウム石鹸(金属石鹸)ができますが、グルコン酸Naはカルシウムイオンなどの陽イオンをキレートする作用を有しているため、石鹸の金属石鹸化を防止し、石鹸の起泡性を維持することが期待できるため、洗浄製品や石鹸などに配合されます(文献3:1977)。
実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2013-2014年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。
以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。
グルコン酸Naの安全性(刺激性・アレルギー)について
- 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
- 10年以上の使用実績
- 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
- 眼刺激性:詳細不明
- 皮膚感作性:ほとんどなし(データなし)
このような結果となっており、配合上限濃度以下および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。
以下は、この結論にいたった根拠です。
皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について
化粧品における詳細な安全性試験データはみあたりませんが、アメリカのFDA(Food and Drug Administration:アメリカ食品医薬品局)より食品添加物に与えられる安全基準合格証であるGRAS(Generally Recognized As Safe)に承認されているため、経口摂取における刺激性や感作性はほとんどないと考えられます(文献1:2014)。
このような背景および10年以上の使用実績から、化粧品配合量および通常使用下においても、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。
眼刺激性について
試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。
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グルコン酸Naは安定化成分にカテゴライズされています。
成分一覧は以下からお読みください。
参考:安定化成分
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文献一覧:
- Cosmetic Ingredient Review(2019)「Safety Assessment of Monosaccharides, Disaccharides, and Related Ingredients as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(38)(1_Suppl),5S-38S.
- 日光ケミカルズ(2006)「金属イオン封鎖剤」新化粧品原料ハンドブックⅠ,476-480.
- 荻野 圭三, 他(1977)「洗剤のビルダーに関する研究 (第1報) 有機カルボン酸化合物のカルシウムキレート能に関する研究」油化学(26)(5),278-282.
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