グアーガムとは…成分効果と毒性を解説

増粘
グアーガム
[化粧品成分表示名称]
・グアーガム

マメ科植物クラスタマメ(学名:Cyamopsis tetragonoloba 英名:guar)(∗1)の胚乳に存在し、化学構造的にマンノースを主鎖としてガラクトースが2:1の構成比率で側鎖として結合したガラクトマンナン(∗2)に分類される直鎖状多糖類(種子粘質物:植物系水溶性高分子)です。

∗1 クラスタマメはグアー豆とも呼ばれます。
∗2 ガラクトマンナンは多糖類の一群であり、マンノースからなる直線状主鎖にガラクトースが結合したものをいいます。

グアーガムの特性は、

分子量 溶解性 物性の変化
冷水 熱水 アルコール 耐熱 耐酸 耐塩 耐酵素
約30万 可溶(膨潤溶解) 可溶 不溶
粘度(mPa・s) 粘性 ゲル化性 相溶性
300-500
(0.5%,20℃)
擬塑性(∗3) なし キサンタンガム

∗3 擬塑性(ぎそせい)とは、シュードプラスチック性とも呼ばれており、加える力を強くすることで粘度が低下する特性のことで、たとえば擬塑性(シュードプラスチック性)を有するマヨネーズは、保管している状態(力が加わっていない状態)では液が動かず、チューブを押す(力を加える)と粘度が低下して液が絞り出されます。また口に入れると咀嚼による力が加えられるので、口の中では粘度を感じにくくなります。

このように報告されています(文献2:2016)

日本においては主に食品分野で、増粘安定目的でアイスクリームなどの冷菓、麺類、タレ・ソース・ドレッシング類に使用されています(文献3:-)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、洗浄製品、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、シート&マスク製品などに使用されています(文献1:2015)

増粘作用

増粘作用に関しては、他の増粘剤と比較して水溶液の粘度が高く、DSP五協フードによって報告されている以下のグラフのように、

天然系水溶性高分子の濃度と粘度の関係

グアーガムは、濃度依存的に粘度の増加を示し、低濃度においてはキサンタンガムの粘度が最も高いですが、濃度が増すとグアーガムの粘度が最も高くなります(文献3:-)

また、キサンタンガムと併用することで、以下のグラフのように、

キサンタンガムとグアーガムの併用例

相乗的に粘度が増加することが報告されています(文献3:-)

さらに、穏やかなシュードプラスチック性(擬塑性)を示すとともに溶液に力を加えて粘度が低下した後、力を除いてからもとの粘度に回復するまでに時間を要するチキソトロピー性(∗4)を示します(文献3:-)

∗4 チキソトロピー性とは、混ぜたり振ったり、力を加えることで粘度が下がり、また時間の経過とともに元の粘度に戻る現象をいいます。よく例に出されるのはペンキで、ペンキは塗る前によくかき混ぜることで粘度が下がり、はけなどで塗りやすくなります。そしてペンキは塗られた直後に粘度が上がり(元に戻り)、垂れずに乾燥します。

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2011年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

グアーガムの配合製品数と配合量の調査結果(2011年)

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グアーガムの安全性(刺激性・アレルギー)について

グアーガムの現時点での安全性は、

  • 薬添規2018規格の基準を満たした成分が収載される医薬品添加物規格2018に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし-最小限
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2015)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの無傷または擦過した皮膚に食塩水で湿らせたグアーガム0.5gを4時間半閉塞パッチ適用し、皮膚反応はDraize法に基づいて4.5,24,48および72時間後に評価したところ、非刺激性であった(J D McCarty,1990)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、最小限の皮膚刺激性が報告されているため、最小限の皮膚刺激性が起こる可能性があると考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2015)によると、

  • [動物試験] 9匹のウサギの片眼にグアーガム0.1gを適用し、3匹のウサギは点眼後に眼をすすぎ、6匹はすすがず、Draize法に基づいて眼刺激性を評価したところ、洗眼の有無にかかわらず最小限の眼刺激性であった(J D McCarty,1990)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、最小限の眼刺激性が報告されているため、最小限の眼刺激性が起こる可能性があると考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2015)によると、

  • [ヒト試験] カーペット製造工場では染料を繊維に付着させるためにグアーガムが使用されており、このカーペット製造工場に勤務する162人の従業員に対するグアーガムの皮膚感作性を検討するために、グアーガム1mg/mLを皮膚に1滴垂らし、検査用の針を皮膚の表面に押し当てて、15分後に反応を観察するスキンプリックテストを実施した。その結果、8人の被検者は即時皮膚反応を示し、11人の被検者はグアーガムに対するIgE抗体を有していた(J L Malo,1990)

と記載されています。

試験データは職業的曝露によるデータのみであるため一般的な評価からは除外しますが、一般的には10年以上の使用実績があり、食品にも汎用されているため、皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

∗∗∗

グアーガムは安定化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2015)「Safety Assessment of Galactomannans as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(34)(1),35S-65S.
  2. 日光ケミカルズ(2016)「高分子」パーソナルケアハンドブック,106-134.
  3. “多糖類.com”(-)「グァーガム」, <https://www.tatourui.com/about/type/07_guar.html> 2019年5月27日アクセス.

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