クロルフェネシンとは…成分効果と毒性を解説

防腐剤
クロルフェネシン
[化粧品成分表示名称]
・クロルフェネシン

[医薬部外品名]
・クロルフェネシン

日本で使用が許可されている防腐剤のひとつです。

医薬品では筋肉弛緩剤として配合されますが、化粧品では防腐剤での配合がほとんどです。

旧表示指定成分で化粧品に対して配合上限があり、「粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流すもの」および「粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流さないもの」に対して100g中0.30gまでの配合となっています。

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クロルフェネシンの安全性(刺激性・アレルギー)について

クロルフェネシンの現時点での安全性は、ごくまれに最小の紅斑が起こる可能性もありますが、健康な皮膚において皮膚刺激性や毒性はほとんどなく、人によってはわずかな眼刺激性が起こる可能性がありますが、健康な皮膚においてアレルギ-反応(皮膚感作)の起こる可能性も低く、化粧品使用範囲内で健康な皮膚においては安全性の高い成分であると考えられます。

ただし、アレルギー性皮膚炎、金属アレルギー、花粉症などなにかしらのアレルギーのある方はごくまれに炎症が起こったり湿疹を発症する可能性があるので注意が必要な成分です。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Chlorphenesin as Used in Cosmetics」(文献1:2012)によると、

  • [動物試験] ウサギ6匹を用いて1%クロルフェネシン水溶液を24時間適用しパッチを除去したところ、2匹のウサギに軽度の紅斑が観察されましたが皮膚の変性などはなく、非刺激性に分類された
  • [ヒト試験] 30人の被験者(女性20人、男性10人、平均年齢33.7歳)に2%クロルフェネシン(20μl)を塗布した閉塞パッチを前腕に24時間つけ、その30分後と1日後に反応を評価したところ、0.17±0.38の平均的スコアが報告された
  • [ヒト試験] 健康な被験者(女性6名、男性10名、平均年齢28.3歳)に0.4%クロルフェネシン溶液を浸した綿棒を両サイドの鼻と頬に9分間適用したところ、感覚刺激電位は平均スコア0.54で無添加溶液の平均スコア0.22よりも大きく、次に同じ手順でメチルパラベン、プロピルパラベン、およびクロルフェネシンを含む乳化物によって誘発された感覚刺激はクロルフェネシンだけを含まない同じ乳化物よりも大きかった
  • [ヒト試験] 25人の被検者(女性20人、男性5人、年齢19~62歳)に0.3%クロルフェネシン水溶液(0.1mL)を背中に48時間閉塞パッチし、パッチ除去から20分後に評価したところ、2人の被検者にかすかな最小の紅斑が観察され、1人に紅斑(スコア1)が観察されたため、皮膚刺激性はごくわずかである分類された

BASFの安全性データシート(文献1:2015)によると、

  • [動物試験] ウサギを用いた希釈水溶液でOECDガイドライン404に基いて判定したところ、皮膚刺激性なし
  • [動物試験] ウサギに用いたものと同等の希釈水溶液でヒトに試験したところ、皮膚刺激性なし

と記載されています。

安全性データが十分そろっており、ウサギでは共通して皮膚刺激性がないものの、ヒト試験では刺激性のないものもある一方、わずかな紅斑が観察されるものもいくつかあるため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられますが、ごくわずかに皮膚刺激が起こる可能性も考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Chlorphenesin as Used in Cosmetics」(文献1:2012)によると、

  • [動物試験] 3匹のウサギに1%クロルフェネシン水溶液(0.1mL)を点眼し、1時間後、次いで1,2,3,4,7日目に目を検査したところ、各ウサギに軽度の結膜刺激が報告され、これらの反応は点眼後24時間で消失したため、弱い目刺激性に分類された

BASFの安全性データシート(文献1:2015)によると、

  • [動物試験] ウサギを用いた希釈水溶液でOECDガイドライン405に基いて判定したところ、眼刺激性なし
  • [動物試験] ウサギを用いた希釈水溶液で眼刺激性試験したところ、わずかな眼刺激性あり

と記載されています。

安全データによると、眼刺激性はほとんどないまたはわずかな眼刺激性と記載されているため、人によってはわずかな眼刺激性が起こる可能性があります。

アレルギー(皮膚感作性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Chlorphenesin as Used in Cosmetics」(文献1:2012)によると、

  • [ヒト試験] 55人の被検者(男女、年齢27~67歳)に0.2mgのクロルフェネシンを含む半閉塞パッチを肩甲骨と背中の間に適用し、24時間後にパッチを除去し、パッチ除去後24時間後に刺激反応をスコアリングし、さらに新しいパッチを24時間適用するというサイクルを合計9回繰り返したところ(3週間の誘導期間)、試験中に刺激や感作反応は観察されず、クロルフェネシンは皮膚刺激性またはアレルギー性接触感作性を有さない
  • [ヒト試験] 53人の被検者(男女、年齢18~66歳)に0.2mLクロルフェネシンの半閉塞パッチを適用したところ、誘発の19日目に1人においてほとんど認められない程度の紅斑が観察され、22日目に軽度の紅斑が観察されたが、観察された軽度の紅斑は臨床的に重要ではない一時的で弱い反応として分類され、いずれの被検者においても皮膚感作性の根拠は認められなかった

BASFの安全性データシート(文献1:2015)によると、

  • [動物試験] 独自でテストを行ったわけではないが類似した構造・組成の物質に基づく評価として、モルモットによるマキシマイゼーションテストで皮膚感作性は認められない

また、個別のごくまれな事例になりますが、”Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Chlorphenesin as Used in Cosmetics」(文献1:2012)によると、

  • 60歳のアトピー性皮膚炎の女性はクロルフェネシンを含む基礎化粧品を塗布して数時間以内に顔面湿疹を発症したため、パッチテストを行ったところワセリン中の1%クロルフェネシンに対して陽性反応を示した
  • 29歳の女性がクロルフェネシンを含む消臭剤を使用したところ脇の下に慢性皮膚炎を発症したため、ヒアリングを行ったところ、女性は金属アレルギーを有しており、1%クロルフェネシンを含むワセリンでのパッチテストの結果は48時間および96時間で陽性でしたが、同様の試験をした5人の被検者は陽性反応は示さなかった
  • 43歳の女性が、クロルフェネシンを含む保湿化粧品を塗布したのち炎症が起こり湿疹を発症したためヒアリングを行ったところ、花粉症の病歴があり、パッチテストの結果は陽性であった

と記載されています。

安全性データやレポートをみる限り、健康な皮膚に対して皮膚感作性はほとんど起こっていませんが、アレルギー性皮膚炎、金属アレルギー、花粉症などなにかしらのアレルギーのある方はまれに炎症や湿疹などを発症する報告があるため、健康な皮膚の場合はアレルギー反応(皮膚感作)が起こる可能性は低いと考えられますが、アレルギー性皮膚炎、金属アレルギー、花粉症などアレルギーのある方はまれに炎症や湿疹などを発症する可能性が考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
クロルフェネシン

参考までに化粧品毒性判定事典によると、クロルフェネシンは■(∗2)となっており、やや毒性ありという判定になっています。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

クロルフェネシンは安定化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分

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文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2012)「Safety Assessment of Chlorphenesin as Used in Cosmetics」, <http://www.cir-safety.org/sites/default/files/Chlorp092012rep.pdf> 2017年9月27日アクセス.
  2. BASF(2015)「Safety Data Sheet」, <https://worldaccount.basf.com/wa/NAFTA~en_US/Catalog/Cosmetics/doc4/BASF/PRD/30314841/.pdf?asset_type=msds/pdf&language=EN&validArea=US&urn=urn:documentum:ProductBase_EU:09007af880153cc7.pdf> 2017年9月15日アクセス.

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