クロルフェネシンとは…成分効果と毒性を解説

防腐
クロルフェネシン
[化粧品成分表示名称]
・クロルフェネシン

[医薬部外品表示名称]
・クロルフェネシン

p-クロロフェノールとグリシドールを縮合させて合成するクロロフェノール誘導体です。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、メイクアップ化粧品などに使用されています。

製品自体の抗菌・防腐作用

製品自体の抗菌・防腐作用に関しては、2015年に東京農工大学工学部バイオテクノロジー・ライフサイエンス部門および資生堂によって報告されたクロルフェネシンの抗菌活性検証によると、

通常の培地を用いたin vitro試験において、微生物に対するクロルフェネシンのMIC(minimum inhibitory concentration:最小発育阻止濃度)を検討したところ、以下のグラフのように、

微生物 MIC(mg/mL)
黄色ブドウ球菌(グラム陽性球菌)
Staphylococcus aureus
1.5
カンジダ(酵母)
Candida albicans
3

クロルフェネシンは、グラム陽性菌および酵母に抗菌活性を示した。

このような検証結果が明らかにされており(文献2:2015)、クロルフェネシンに製品自体の抗菌・防腐作用が認められています。

また、他にもコウジカビ(Aspergillus niger)、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)に作用する報告もあります(文献1:2014)

クロルフェネシンはポジティブリストであり、化粧品に配合する場合は以下の配合範囲内においてのみ使用されます。

種類 最大配合量(g/100g)
粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流すもの 0.30
粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流さないもの 0.30
粘膜に使用されることがある化粧品 配合不可

また、クロルフェネシンは医薬部外品(薬用化粧品)への配合において配合上限があり、配合範囲は以下になります。

種類 配合量
薬用石けん・シャンプー・リンス等、除毛剤 0.30
育毛剤 0.30
その他の薬用化粧品、腋臭防止剤、忌避剤 0.30
薬用口唇類 配合不可
薬用歯みがき類 配合不可
浴用剤 配合不可

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2011-2012年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

クロルフェネシンの配合製品数と配合量の調査(2011-2012年)

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クロルフェネシンの安全性(刺激性・アレルギー)について

クロルフェネシンの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:配合範囲内においてほとんどなし-最小限
  • スティンギング(チクチクと刺すような主観的な刺激感):ほとんどなし-まれに軽度
  • 眼刺激性:わずか
  • 皮膚感作性:ほとんどなし
  • 光感作性:ほとんどなし

このような結果となっており、配合上限濃度以下および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2014)によると、

  • [ヒト試験] 30人の被検者に2%クロルフェネシン20μLを24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去30分および1日後に皮膚刺激性を評価したところ、皮膚刺激スコアは0.17±0.38であった(E Lee et al,2007)
  • [ヒト試験] 健常な皮膚を有する15人の被検者に防腐剤として0.2%メチルパラベン、0.1%プロピルパラベンおよび0.25%クロルフェネシンを含む製剤および0.2%メチルパラベン、0.1%プロピルパラベン、0.25%クロルフェネシンおよび0.4%フェノキシエタノールを含む乳化物それぞれ20μLを週3回21日間にわたって累積刺激性試験を実施したところ、製剤の累積刺激スコアは0.40±0.91であり、乳化物の累積刺激スコアは0.87±1.19であった(E Lee et al,2007)
  • [ヒト試験] 健康な16人の被検者に0.4%クロルフェネシンを染み込ませた綿棒を擦り付け、9分までスティンギング(チクチクと刺すような主観的な刺激感)および燃焼感覚を記録したところ、陰性対照の感覚刺激スコアが0.22なのに対して試験物質の場合は0.54であり、対照よりもスコアが大きかった(E Lee et al,2007)
  • [ヒト試験] メチルパラベン、プロピルパラベンおよびクロルフェネシンを保存剤として配合した乳化物と、クロルフェネシンのみ除いた同じ配合物をスティンギングテストしたところ、クロルフェネシン配合の乳化物のほうがスティンギングが大きかった(E Lee et al,2007)
  • [ヒト試験] 25人の被検者に0.3%クロルフェネシン水溶液0.1mLを48時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去20分後に皮膚刺激性を評価したところ、2人の被検者は最小限の紅斑を示した(刺激スコア1)。クロルフェネシンは最小限の皮膚刺激物質に分類された(Harrison Research Laboratories Inc,1997)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、配合範囲の0.3%濃度において一部の被検者に最小限の皮膚刺激性が報告されているため、皮膚刺激性は非刺激性-最小限の皮膚刺激性およびスティンギングが起こる可能性があると考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2014)によると、

  • [動物試験] 3匹のウサギの片眼に1%クロルフェネシン蒸留水0.1mLを点眼し、約10秒間目を閉じさせ、点眼1時間後および1,2,3,4および7日後に眼刺激性を評価したところ、それぞれのウサギでわずかな結膜刺激が報告されたが、これらの反応は点眼から24時間以内に消失した。クロルフェネシンは弱い眼刺激性に分類された(EviC-CEBA,1994)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、わずかな眼刺激性が報告されているため、わずかな眼刺激性が起こる可能性があると考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2014)によると、

  • [ヒト試験] 55人の被検者に5%および9%クロルフェネシンを含む試験物質を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、試験期間中にいずれの被検者も皮膚刺激および皮膚感作を示さなかった(Collaborative Connections Inc,2002)
  • [ヒト試験] 53人の被検者に12%および17%クロルフェネシンを含む試験物質を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を半閉塞パッチにて実施したところ、誘導期間19日目に1人の被検者でほとんど知覚できない紅斑(刺激スコア0.5)が観察され、22日目には軽度の紅斑(刺激スコア1)が観察された。この紅斑は臨床的に一過性の皮膚刺激であると考えられた。この試験においていずれの被検者も皮膚感作反応は示さなかった(Collaborative Connections Inc,2002)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

光感作性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2014)によると、

  • [ヒト試験] ケトプロフェン(非ステロイド系抗炎症薬)に光感作を示す11人の患者にクロルフェネシンを対象に光パッチテストを実施した。試験開始2日目に試験部位にUVA(5J/c㎡)を照射し、3および4日目に試験部位を評価したところ、試験部位にクロルフェネシンに対する陽性反応はみられなかった(M Vigan et al,2002)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、光感作性なしと報告されているため、光感作性はほとんどないと考えられます。

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クロルフェネシンは安定化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2014)「Safety Assessment of Chlorphenesin as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(33)(2),5S-15S.
  2. H Gomyo, et al(2015)「Evaluation of a Microbial Sensor as a Tool for Antimicrobial Activity Test of Cosmetic Preservatives」Biocontrol Science(20)(4),247-253.

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