クオタニウム-18ヘクトライトとは…成分効果と毒性を解説

増粘
クオタニウム-18ヘクトライト
[化粧品成分表示名称]
・クオタニウム-18ヘクトライト

[医薬部外品表示名称]
・ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト

化学構造的に粘土鉱物のヘクトライト陽イオン界面活性剤の第四級アンモニウム塩の一種であるクオタニウム-18を反応させて得られる分子量343.6の疎水性の有機変性粘土鉱物です(文献3:2020)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的でメイクアップ化粧品などに使用されています。

疎水性増粘・顔料分散安定化

ヘクトライトはスメクタイト型粘土の一種であり、スメクタイト型粘土はその層状構造を有する結晶片が水中で膨潤(∗1)し、剥離分散することにより増粘(親水性増粘)しますが、有機溶媒中では分散できないことが知られています(文献4:1974)

∗1 膨潤とは、水分を含んで膨れる(膨張する)ことです。

このような背景から、ヘクトライトの結晶層の層間に陽イオン界面活性剤をインターカレート(∗2)し親水性から疎水性に変更することによって、有機溶媒中で膨潤して剥離分散することを可能にしており(文献5:2014;文献6:2016)、疎水性増粘および顔料分散安定化目的でアイペンシル、アイシャドー、マスカラ、パウダーファンデーション、パウダーチーク、リキッドファンデーションなどに使用されています。

∗2 インターカレート(Intercalate)とは、分子または分子集団の空隙に他の元素が侵入する可逆反応のことであり、クオタニウム-18ヘクトライトの場合は、ヘクトライトの層間に存在する陽イオンをクオタニウム-18にイオン交換することを意味します。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2011-2012年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

クオタニウム-18ヘクトライトの配合製品数と配合量の調査結果(2011-2012年)

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クオタニウム-18ヘクトライトの安全性(刺激性・アレルギー)について

クオタニウム-18ヘクトライトの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 50年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし-わずか
  • 眼刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし
  • 光毒性:ほとんどなし
  • 光感作性:ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1990;文献2:2013)によると、

  • [ヒト試験] 50人の被検者に10%クオタニウム-18ヘクトライトを含むアイシャドーを1日2回30日間にわたって使用してもらい、使用前および週1で皮膚刺激性および皮膚感作性を評価したところ、いずれの被検者も皮膚刺激および皮膚感作の兆候は観察されなかった(NL Industries,1971)
  • [ヒト試験] 12人の被検者に1.0%-5.0%クオタニウム-18ヘクトライトを含む3つの製品を23時間半閉塞パッチを3週間にわたって適用したところ、この試験物質はわずかな皮膚刺激剤に分類された(NL Industries,1971)
  • [ヒト試験] 175人の被検者に1.0%-5.0%クオタニウム-18ヘクトライトを含む3つの製品を週3回3週間にわたって閉塞パッチ適用したところ、この試験物質は皮膚感作剤ではなかった(NL Industries,1971)
  • [ヒト試験] 50人の被検者に100%クオタニウム-18ヘクトライトを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、この試験物質は皮膚刺激剤および皮膚感作剤ではなかった( Elementis Specialties,2011)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚感作なしと報告されており、皮膚刺激は非刺激-わずかな刺激が報告されているため、皮膚感作性はほとんどなく、皮膚刺激性は非刺激-わずかな皮膚刺激を引き起こす可能性があると考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1990)によると、

  • [動物試験] ウサギの片眼に50%クオタニウム-18ヘクトライト水溶液0.1mLを点眼し、Draize法に基づいて点眼後に眼刺激性を評価したところ、この試験物質は眼刺激を誘発しなかった(NL Industries,1971)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、眼刺激なしと報告されているため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

光毒性および光感作性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1990)によると、

  • [ヒト試験] 25人の被検者の両腕に10%クオタニウム-18ヘクトライトを含むブラッシャーを対象に光感作性試験をともなうHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、いずれの被検者も光毒性および光感作反応を示さなかった(Ashland Chemical Co,1973)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、光毒性および光感作なしと報告されているため、光毒性および光感作性はほとんどないと考えられます。

∗∗∗

クオタニウム-18ヘクトライトは安定化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(1990)「Final Report on the Safety Assessment of Quaternium-18, Quaternium-18 Hectorite, and Quaternium-18 Bentonite」Journal of the American College of Toxicology(1)(2),71-83.
  2. Cosmetic Ingredient Review(2013)「Safety Assessment of Ammonium Hectorites as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(32)(6_Suppl),33S-40S.
  3. “Pubchem”(2020)「Quaternium 18-hectorite」, <https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Quaternium-18-hectorite> 2020年1月18日アクセス.
  4. S Olejnik, et al(1974)「Swelling of Montmorillonite in Polar Organic Liquids」Clays and Clay Minerals(22),361-365.
  5. 皆瀬 慎(2014)「有機変性粘土鉱物の工業的利用」オレオサイエンス(14)(5),205-211.
  6. クニミネ工業株式会社(2016)「スメクトンSAN」技術資料.

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