クエン酸とは…成分効果と毒性を解説

pH調整剤 キレート剤
クエン酸
[化粧品成分表示名称]
・クエン酸

[医薬部外品表示名称]
・クエン酸

柑橘類の果実に多く含まれている有機酸の一種で酸味成分であり、無色透明の結晶・粒・塊あるいは白色の結晶性粉末です。

工業的にはでんぷん質などの糖質を発酵させて製造します。

化粧品に配合する場合、クエン酸Naと組み合わせてpHの調整またはキレート作用目的で微量使用されることが多いですが、収れん作用をもつため、収れん化粧品に配合されることもあります。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2011年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

クエン酸の配合製品数および配合量の調査結果(2011年)

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クエン酸の安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

クエン酸の現時点での安全性は、100%クエン酸はスティンギング(刺すような刺激)を起こしやすいのですが、10%以下の配合では皮膚刺激性はほとんどなく、眼刺激性も濃度依存的で10%以下の場合は非刺激または最小限の眼刺激性であり、皮膚感作(アレルギー)の報告もなく、一般的な化粧品に使用される場合はpH調整およびキレート目的でごく微量配合であるため、安全性に問題のない成分であると考えられます。

ただし、アトピー性皮膚炎を含むアレルギー性皮膚炎を有する場合はごくまれにアレルギー反応が起こることがあるため、注意が必要です。

また、収れん化粧品またはピーリング化粧品などで高濃度で配合されている場合は、軽度から中等の皮膚刺激を引き起こす可能性があるため、注意が必要となります。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Citric Acid, Inorganic Citrate Salts, and Alkyl Citrate Esters as Used in Cosmetics」(文献1:2014)によると、

  • [ヒト試験] 被検者の前腕の擦過した皮膚にクエン酸、酢酸、アコニット酸、酒石酸、アスコルビン酸、それぞれ0.1~0.2mLを5分適用し、スティンギング反応(刺すような刺激)および一次刺激性を比較したところ、クエン酸は最もスティンギング反応が高く、また一次刺激性は最も低かった(Laden K,1973)
  • [ヒト試験] 20人の被検者(男性6人、女性14人)の背中に5%クエン酸水溶液(pH4)50μLを朝晩1日2回4日間連続で閉塞パッチ適用し、水分蒸散量や皮膚の色を観察したところ、皮膚刺激は観察されなかった(chlicmann-VVillers S, et al.,2005a)
  • [ヒト試験] 20人の被検者(男性6人、女性14人)の背中に5%クエン酸水溶液(pH2)50μLを朝晩1日2回4日間連続で閉塞パッチ適用し、水分蒸散量や皮膚の色を観察したところ、皮膚刺激は観察されなかった(chlicmann-VVillers S, et al.,2005b)
  • [ヒト試験] 133人の被検者に1%クエン酸水溶液を48時間閉塞パッチ適用したところ、陽性反応は示されなかった(Torgcrson RR, et al.,2007)
  • [ヒト試験] アトピー性皮膚炎を有した49人および健常な56人の被検者に2.5%クエン酸を含む水溶液を20分間閉塞パッチ適用したところ、即時反応(非免疫学的接触性蕁麻疹)はなかった(Lahti A,1980)
  • [ヒト試験] 702人の接触性皮膚炎患者の背中にほぼ100%クエン酸を48時間Finn Chamber適用したところ、皮膚反応は観察されなかった(Rcider N,2005)

と記載されています。

医療および食品添加物としても使用されており、化粧品での使用実績も長く、また幅広く非常に多くの化粧品に使用されている中で、試験データをみるかぎり、皮膚刺激の報告がないため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

ただし、収れん化粧品またはピーリング化粧品などで高濃度で配合されている場合は、軽度から中等の皮膚刺激を引き起こす可能性があるため、注意が必要となります。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Citric Acid, Inorganic Citrate Salts, and Alkyl Citrate Esters as Used in Cosmetics」(文献1:2014)によると、

  • [動物試験] 3匹のウサギの眼に10%および30%クエン酸水溶液0.1mLを滴下し、Draize法に従って眼を評価したところ、10%濃度では最大眼刺激スコア110のうち9.3で最小限の眼刺激性、30%濃度では16.0で軽度から中等の眼刺激性であった(F. Hoffmann-LaRoche Ltd,2001)
  • [動物試験] ウサギの眼にクエン酸(濃度および用量不明)を適用し、眼刺激性を評価したところ、24時間から72時間で角膜刺激スコアは2.8、虹彩刺激スコアは0.0、結膜刺激スコアは1.7であった(Kowalski RL,1991)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、濃度依存的に眼刺激性が報告されているため、濃度依存的に眼刺激が起こり、10%以下では非刺激または最小限の眼刺激性、30%以上では軽度以上の眼刺激性が起こる可能性があると考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Citric Acid, Inorganic Citrate Salts, and Alkyl Citrate Esters as Used in Cosmetics」(文献1:2014)によると、

  • [ヒト試験] 56人の被検者に4%クエン酸を含むキューティクルクリームを誘導期間において週3回3週間にわたって半閉塞パッチ適用し、2週間の休息期間の後にチャレンジパッチを適用したHRIPT試験の結果、皮膚刺激および皮膚感作性の兆候は示されなかった(linical Research Laboratories Inc,2007)
  • [ヒト試験] 慢性蕁麻疹患者を含む91人の被検者に2.5%クエン酸水溶液を皮膚に1滴たらし、検査用の針を皮膚の表面に押し当てて15分後に反応を観察(プリック試験)したところ、3人の被検者に陽性反応が観察され、このうち1人は安息香酸およびプロピオン酸でも陽性反応を示した(Malanin G, KAlimo K,1989)

と記載されています。

医療および食品添加物としても使用されており、化粧品での使用実績も長く、また幅広く非常に多くの化粧品に使用されている中で、試験データをみるかぎり、ほとんど皮膚感作の報告がみあたらないため、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

ただし、アトピー性皮膚炎を含むアレルギー性皮膚炎を有する場合に、ごくまれにクエン酸で陽性反応が起きることがあるので注意が必要です。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
クエン酸 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、クエン酸は毒性なし(∗2)となっており、安全性に問題ない成分であると考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

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クエン酸は安定化成分にカテゴライズされています。

他の安定化成分など安定化成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分

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文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2014)「Safety Assessment of Citric Acid, Inorganic Citrate Salts, and Alkyl Citrate Esters as Used in Cosmetics」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/1091581814526891> 2018年5月15日アクセス.

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