キサンタンガムとは…成分効果と毒性を解説

増粘
キサンタンガム
[化粧品成分表示名称]
・キサンタンガム

[医薬部外品表示名称]
・キサンタンガム

デンプンまたはグルコースをキサントモナス属菌(学名:Xanthomonas campestris)で醗酵して得られる水溶性の鎖状多糖類(産生粘性物:微生物系水溶性高分子)です。

化学構造的に2個のグルコースを主鎖とし、側鎖は2個のマンノースと1個のグルクロン酸であり、これらが繰り返し単位で構成されています(文献4:1975)

天然には細菌の一種であるキサントモナス属菌が熱や乾燥など自然の厳しい環境から自らを守るための保護膜として存在しています。

キサンタンガムの特性は、

分子量 溶解性 物性の変化
冷水 熱水 アルコール 耐熱 耐酸 耐塩 耐酵素
約200万または1,000万以上(∗1) 可溶 可溶 約50%濃度まで可溶

∗1 まったく異なる分子量が報告されるのは、高分子間の会合現象によるものだと考えられており、会合現象とは、同一の物質の分子が複数個結合して単一分子のようになる現象のことです。

ゲルに関与する因子 ゲル特性
ゲル化性 ゲル化点(℃) 融点(℃) 離水傾向
ローカストビーンガムとでゲル化 粘弾性に富むゲル 45前後 65前後

このように報告されています(文献3:2016)

日本においては増粘目的でドレッシング、タレ、ソースなどに、離水目的でねりわさび、缶詰、果実加工品、デザート類(プリン、ゼリー)などをはじめ食品分野で最も使用されています。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、メイクアップ化粧品、日焼け止め製品、洗浄製品、シート&マスク製品などに使用されています(文献1:2016)

増粘作用

増粘作用に関しては、他の増粘剤と比較して相対的に幅広いpH域で増粘安定性が高く、高濃度の塩類との相溶性が高く、また温度依存性がほとんどなく、高いシュードプラスチック性(∗2)を示すといった特徴があります(文献5:1998)

∗2 シュードプラスチック性とは、加える力を強くすることで粘度が低下する特性のことで、たとえばシュードプラスチック性を有するマヨネーズは、保管している状態(力が加わっていない状態)では液が動かず、チューブを押す(力を加える)と粘度が低下して液が絞り出されます。また口に入れると咀嚼による力が加えられるので、口の中では粘度を感じにくくなります。

粘度に関しては、DSP五協フードによって報告されている以下のグラフのように、

天然系水溶性高分子の濃度と粘度の関係

キサンタンガムは、粘度が高く、また他の多糖類と比較して低濃度で高粘度を示すのが特徴です(文献6:-)

また、キサンタンガムやガラクトマンナン(ローカストビーンガムやグアーガムなど)は単独ではゲルを形成しませんが、これらを併用することで、以下のグラフのように、

キサンタンガムとローカストビーンガムの併用例

キサンタンガムとグアーガムの併用例

キサンタンガムとローカストビーンガムを混合し加熱することにより弾力のあるゲルを形成し、キサンタンガムとグアーガムを混合すると相乗的に粘度が増加することが報告されています(文献6:-)

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2011-2012年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

キサンタンガムの配合比較調査(2011-2012年)

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キサンタンガムの安全性(刺激性・アレルギー)について

キサンタンガムの現時点での安全性は、

  • 薬添規2018規格の基準を満たした成分が収載される医薬品添加物規格2018に収載
  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2016)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの無傷および擦過した皮膚に1%キサンタンガム溶液0.5mLを対象に一次刺激性試験を閉塞パッチにて実施したところ、PII(Primary Irritation Index:皮膚一次刺激性指数)は0.13であり、非刺激性に分類された(K Kuroda,1989)
  • [動物試験] 3匹のウサギに1%キサンタンガム溶液2mLを対象に週5回6週間にわたって閉塞パッチを適用する累積刺激性試験を実施したところ、累積刺激スコアは0であり、非刺激性に分類された(K Kuroda,1989)
  • [動物試験] ウサギ(数不明)に1%キサンタンガム溶液を15日間毎日適用したところ、刺激性はなかった(Inchem,2010)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激性なしと報告されているため、皮膚刺激性はほとんどなしと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2016)によると、

  • [動物試験] ウサギの片眼に1%キサンタンガム溶液を点眼し、眼刺激性を評価したところ、AOII(Acute Ocular Irritation Index:急性眼刺激指数)は最大110のうち2.50であり、非刺激性に分類された(K Kuroda,1989)
  • [動物試験] ウサギの片眼に1%キサンタンガム溶液を点眼し、眼刺激性を評価したところ、AOII(Acute Ocular Irritation Index:急性眼刺激指数)は最大110のうち5.83であり、非刺激性に分類された(K Kuroda,1989)
  • [動物試験] ウサギの片眼の結膜嚢に1%キサンタンガム溶液を5日間点眼し、眼刺激性を評価したところ、非刺激性であった(Inchem,2010)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して眼刺激性なしと報告されているため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献2:2012)によると、

  • [動物試験] モルモットに0.1%キサンタンガム溶液を週3回合計10回皮内注射し、10日間の休息期間の後に皮内チャレンジ注射したところ、感作性はなかった(Inchem,2010)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

∗∗∗

キサンタンガムは安定化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2016)「Safety Assessment of Microbial Polysaccharide Gums as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(35)(1),5S-49S.
  2. Cosmetic Ingredient Review(2012)「Safety Assessment of Microbial Polysaccharide Gums as Used in Cosmetics」Final Report for public distribution.
  3. 日光ケミカルズ(2016)「高分子」パーソナルケアハンドブック,106-134.
  4. P E Jansson, et al(1975)「Structure of extracellular polysaccharide from Xanthomonas campestris.」Carbohydrate Research(45)(1),275-282.
  5. 南口 利一(1998)「増粘安定剤としての多糖類の香粧品への応用」Fragrance Journal(26)(7),48-56.
  6. “多糖類.com”(-)「キサンタンガム」, <http://www.tatourui.com/about/type/01_xanthane.html> 2019年5月26日アクセス.

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