カルボマーとは…成分効果と毒性を解説

増粘
カルボマー
[化粧品成分表示名称]
・カルボマー

[医薬部外品表示名称]
・カルボキシビニルポリマー

化学構造的に代表的な重合開始剤であるアクリル酸を主鎖としてアリルショ糖やペンタエリスリトールなどを架橋した、水溶性のアクリル酸重合体(合成水溶性高分子)(∗1)です。

∗1 重合とは、複数の単量体(モノマー)が結合して鎖状や網状になる反応のことをいい、単量体(モノマー)が結合して鎖状または網状になった化合物を重合体(ポリマー)といいます。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、メイクアップ化粧品、日焼け止め製品、ヘアスタイリング製品、シート&マスク製品などに使用されています(文献1:1990)

塩(アルカリ)との中和反応による増粘作用

塩(アルカリ)との中和反応による増粘作用に関しては、1%水溶液のpHは約3.0の酸性であり、水酸化Na水酸化Kなどの苛性アルカリまたはTEAなどのアルカノールアミンで中和することによって、粘性の異なる種々の粘液の生成が可能であり(文献3:1990)、現在でも最も広く使用されている増粘剤のひとつです。

水溶性高分子の中ではとくに増粘効果に優れており、また経時的な変質および温度による粘度変化が少なく、さらにチキソトロピー性(∗2)が高く、分散安定性に優れているといった特徴を備えています(文献2:2016)

∗2 チキソトロピー性とは、混ぜたり振ったり、力を加えることで粘度が下がり、また時間の経過とともに元の粘度に戻る現象をいいます。よく例に出されるのはペンキで、ペンキは塗る前によくかき混ぜることで粘度が下がり、はけなどで塗りやすくなります。そしてペンキは塗られた直後に粘度が上がり(元に戻り)、垂れずに乾燥します。

ただし、アルカリ(塩)が過剰になると粘度が低下したり、長時間紫外線に照射されると解重合(∗3)によって粘度低下が起こります。

∗3 カルボマーは重合体(ポリマー)であり、重合とは複数の単量体(モノマー)が結合して鎖状や網状になることをいいますが、解重合は重合体の鎖状または網状の結合が末端から連鎖的に解けていく反応のことです。

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2001年および2018年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

カルボマーの配合比較調査(2001年および2018年)

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カルボマーの安全性(刺激性・アレルギー)について

カルボマーの現時点での安全性は、

  • 薬添規2018規格の基準を満たした成分が収載される医薬品添加物規格2018に収載
  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:最小限
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし
  • 光毒性・光感作性:ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1990)によると、

  • [ヒト試験] 200人の被検者に100%および10%カルボマー水溶液を5日間にわたって毎日閉塞パッチ適用し、3週間の休息期間を設けた後に48時間パッチ適用したところ、皮膚刺激および皮膚感作反応は示さなかった(Industrial Toxicology Laboratories,1952)
  • [ヒト試験] 10人の被検者に0.2%カルボマーを含む保湿剤を10日間毎日適用したところ、皮膚一次刺激性は観察されなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1978)
  • [ヒト試験] 30人の被検者に0.2%カルボマーを含む保湿剤を28日間で3回適用したところ、皮膚刺激および皮膚感作反応は観察されなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1978)
  • [ヒト試験] 50人の被検者に0.2%カルボマーを含む無香料の保湿剤を28日間で3回適用したところ、2人の被検者は疑わしい最小限の紅斑を示した(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1978)
  • [ヒト試験] 94人の被検者に0.15%カルボマーを吹く保湿ローションを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、いずれの被検者も一次刺激および皮膚感作性を示さなかった(Hill Top Research Inc,1977)
  • [ヒト試験] 68人の被検者に1%カルボマーを含むゲルを1日おきに15日間適用し、1週間の休息期間の後に24時間チャレンジパッチを適用したところ、皮膚刺激および皮膚感作反応はなかった(Industrial Toxicology Laboratories,1975)
  • [ヒト試験] 58人の被検者に1%カルボマー水溶液を15日間毎日閉塞パッチ適用し、1週間の休息期間の後に24時間チャレンジパッチ適用したところ、皮膚刺激および皮膚感作反応はなかった(Ohio State University,1960)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどなしと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1990)によると、

  • [動物試験] 9匹のウサギの片眼に0.2%カルボマーを含む保湿ローションを点眼し、眼刺激性を評価したところ、最小限の眼刺激であった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1978;J H Kay,1962)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、最小限の眼刺激性が報告されているため、最小限の眼刺激性が起こる可能性があると考えられます。

光毒性および光感作性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1990)によると、

  • [ヒト試験] 10人の被検者に0.25%カルボマーを含む保湿剤を閉塞パッチ適用し、適用6および24時間後にソーラーシミュレーターで照射したところ、光毒性は観察されなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1978)
  • [ヒト試験] 25人の被検者に0.25%カルボマーを含む保湿剤を対象に光感作性試験をともなうHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、いずれの被検者においても光感作反応は観察されなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1978)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、光毒性および光感作性なしと報告されているため、光毒性および光感作性はほとんどないと考えられます。

∗∗∗

カルボマーは安定化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(1990)「Final Report on the Safety Assessment of Carbomers-934, -910, -934P, -940, -941, and -962」International Journal of Toxicology(1)(2),109-141.
  2. 日光ケミカルズ(2016)「高分子」パーソナルケアハンドブック,106-134.
  3. 田村 健夫, 他(1990)「高分子化合物」香粧品科学 理論と実際 第4版,147-153.

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