カルボマーとは…成分効果と毒性を解説

増粘剤
カルボマー
[化粧品成分表示名称]
・カルボマー

[医薬部外品表示名称]
・カルボキシビニルポリマー

アクリル酸を主体とする水溶性高分子で、水に分散させると酸性を示しますがアルカリで中和することで透明な高粘度の溶液が得られる白色粉末の増粘剤です。

アルカリで中和すると増粘するため、増粘剤として使用されている場合は、カルボマーと一緒に水酸化Naや水酸化KまたはTEAなどが配合されているか、または結合させた表示名としてカルボマーNa、カルボマーK、カルボマーTEAとと表示されていることもあります。

水溶性ですが、水以外の液体も増粘させることができ、アルコール類や高分子原料などともよく混ざります。

増粘剤ではキサンタンガムをはじめとする天然のガム類も有名ですが、カルボマーは天然ガム質と違い、増粘効果、品質の均一性、温度変化に対する粘度の安定性に優れており、皮膚上でサラッとした感触の良さから、増粘剤の中では最も広く使用されています。

増粘効果については、フジフィルムの特許に関する公開情報の中に、カルボマーとキサンタンガムの水中での増粘効果の比較があったので記載しておきます。

カルボマーとキサンタンガムの水中での増粘効果比較

数値はピンとこないかもしれませんが、同じ0.25%配合でカルボマーのほうが4倍以上も増粘することがわかると思います。

つまり、カルボマーは他の増粘剤に比べても微量でも優れた増粘効果が期待できると考えられます。

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カルボマーの安全性(刺激性・アレルギー)について

カルボマーの現時点での安全性は、皮膚刺激性や毒性および眼刺激性はほとんどなく、アレルギー(皮膚感作性)もないので、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内海外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Carbomers」(文献1:1990)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギに100%カルボマーを0.5mLの水で湿らせた0.5gを24時間皮膚に適用したところ、すべての部位で紅斑がみられたが、72時間後には3つの部位でほとんど観察できないほど消えており、また3匹のウサギにおいて軽度の浮腫が認められたが72時間後にはなくなっていたため、FHSAで定義されている刺激剤ではないと結論づけた
  • [動物試験] 6匹のウサギに100%カルボマーの0.5gを水で湿らせて擦過傷および無傷の皮膚に24時間適用したところ、擦過傷のほうは6匹中3匹にごく僅かな紅斑を示し、無傷のほうは6匹中2匹に同じ紅斑を示した。Draize法により評価したところ、24時間および72時間での浮腫および紅斑については陰性で、皮膚刺激は最小であることを示した
  • [ヒト試験] 男女100名ずつ合計200名の被検者に10%カルボマー水溶液を背中に5日間毎日塗布し、3週間の休息後48時間にわたって再適用したところ、いずれの被検者も皮膚刺激または感作の兆候を示さなかった
  • [ヒト試験] 男女100名ずつ合計200名の被検者に10%カルボマー水溶液を背中に5日間毎日塗布し、3週間の休息後48時間にわたって再適用したところ、いずれの被検者も皮膚刺激の兆候を示さなかった
  • [ヒト試験] 男女25人ずつ合計50人の被検者の背中に10%カルボマー水溶液を24時間、1日おきに15回(30日間)閉塞パッチ下で乾燥樹脂として適用し、3週間の休止後48時間にわたって再適用したところ、皮膚の炎症は観察されなかった
  • [ヒト試験] 5ヶ月~86歳までの65人(男性28人、女性37人)の被検者に0.5%カルボマーNaを15日間毎日1滴塗布し、1週間休止した後24時間再適用され、その後27日目までの日々の検査では刺激の反応はなかった
  • [ヒト試験] 20~79歳の50人(男性38人、女性12人)の被検者に0.5%カルボマーを含む水性ゲルを毎日14日間適用し、6日間の休息後に24時間再適用し、その後4日間検査したところ、いずれの反応も観察されませんでしたが、6日目から10日目に2人の被検者が適用部位にかゆみを訴えました。この結果からカルボマーは皮膚刺激剤でも皮膚感作剤でもないと結論付けられた
  • [ヒト試験] 30人の成人女性被検者に0.2%カルボマーを含む保湿剤を1日あたり3回、28日間にわたって顔面、眼窩周囲に適用したところ、いずれの被検者においても眼窩周囲に結膜の炎症はなく、皮膚刺激は観察されなかった
  • [ヒト試験] 18~78歳の入院患者(男性32名、女性26名)に1.0%カルボマー、1.0%カルボマーNaの水溶液を胸の皮膚に毎日1滴適用し、1週間の休止期間後、24時間再適用したところ、いずれの被検者においても一次刺激性は観察されなかった

BASFの安全性データシート(文献2:2016)によると、

  • 皮膚刺激性なし

日光ケミカルズの安全性データシート(文献3:2016)によると、

  • [ヒト試験] 20名の被検者に2%カルボマー水溶液(pH7.0~7.5)を24時間閉塞パッチしたところ、刺激指数10.0が観察されましたが、皮膚刺激性は許容できる

と記載されています。

カルボマーは皮膚への影響が心配された成分であり、試験結果が豊富ですが、濃度に関係なく、共通して最小の刺激性または刺激性なしという結論のため、皮膚刺激性や毒性はほとんどないと考えられます。

ただし、ごくまれにわずかな紅斑やかゆみが生じる例があり、ほとんどは数時間または数日で消えているようです。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Carbomers」(文献1:1990)によると、

  • [動物試験] ウサギで行われた研究によると、0~20%カルボマーで0~中程度の眼刺激を引き起こしたが、カルボマーは吸湿性のゲル形成ポリマーであるため、眼組織から刺激を与えるような方法で水分を吸い上げて吸入することが予想される
  • [動物試験] pH7.0で中和した1.0%カルボマーゲルをひとつはTEA(トリエタノールアミン)で中和し、もうひとつは水酸化Naで中和し、それぞれ6匹のウサギに点眼したところ、TEAで中和したカルボマーゲルは点眼24時間後に6匹中1匹に角膜損傷を引き起こしたが、48時間後は角膜は透明に戻っており、72時間後も透明でした。また、水酸化Naで中和したカルボマーゲルは眼刺激性や異常はみられず、1匹だけが一時刺激を起こしたので、陰性とみなす必要があり、有害物質表示法の規定に基づき、眼刺激性を構成する成分とはみなされない
  • [動物試験] 0.20%カルボマーを含む保湿剤を9匹のウサギに適用し、6匹は洗浄せず、3匹は滴下してから30秒後に洗浄したところ、一般的には軽度の結膜炎および軽度の虹彩炎が起こる特徴があるが、刺激レベルは洗浄された眼がより低く、最小の眼刺激性と考えられる
  • [動物試験] 1.0%カルボマーと1.0%カルボマーNaを含む水溶液をそれぞれ4匹ずつ合計8匹のウサギの右眼に注入したところ、1.0%カルボマーを注入した1匹および1.0%カルボマーNaを注入した2匹がすぐに結膜の赤みを示しましたが、徐々に赤みはひき、1日目、2日目、3日目はいずれも目刺激性は観察されなかった

BASFの安全性データシート(文献2:2016)によると、

  • 眼刺激性なし

日光ケミカルズの安全性データシート(文献3:2016)によると、

  • 眼刺激性は起こらないと考えられる(ただし、試験したわけではなく類似成分のデータからの結論)

と記載されています。

眼刺激性の試験では、動物試験で結膜が一時的に赤くなった結果もあるため、まれにわずかな眼刺激性が起こる可能性がありますが、眼刺激性が起こる可能性は低いと考えられます。

アレルギー(皮膚感作性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Carbomers」(文献1:1990)によると、

  • [ヒト試験] 男女100名ずつ合計200名の被検者に10%カルボマー水溶液を背中に5日間毎日塗布し、3週間の休息後48時間にわたって再適用したところ、いずれの被検者も皮膚感作の兆候を示さなかった
  • [ヒト試験] 男女25人ずつ合計50人の被検者の背中に10%カルボマー水溶液を24時間、1日おきに15回(30日間)閉塞パッチ下で乾燥樹脂として適用し、3週間の休止後48時間にわたって再適用したところ、皮膚感作は観察されなかった
  • [ヒト試験] 5ヶ月~86歳までの65人(男性28人、女性37人)の被検者に0.5%カルボマーNaを15日間毎日1滴塗布し、1週間休止した後24時間再適用され、その後27日目までの日々の検査では皮膚感作の反応はなかった
  • [ヒト試験] 30人の成人女性被検者に0.2%カルボマーを含む保湿剤を1日あたり3回、28日間にわたって顔面、眼窩周囲に適用したところ、いずれの被検者においても皮膚感作は観察されなかった
  • [ヒト試験] 25人の被検者に0.25%カルボマーを含む皮膚保湿剤を適用したところ、いずれの被検者においても皮膚感作は観察されず、皮膚保湿剤は通常の使用条件下で接触感作のリスクを示す可能性は低い
  • [ヒト試験] 18~78歳の入院患者(男性32名、女性26名)に1.0%カルボマー、1.0%カルボマーNaの水溶液を胸の皮膚に毎日1滴適用し、1週間の休止期間後、24時間再適用したところ、いずれの被検者においても皮膚感作性は観察されなかった

BASFの安全性データシート(文献2:2016)によると、

  • 皮膚感作性のエビデンスなし

日光ケミカルズの安全性データシート(文献3:2016)によると、

  • [ヒト試験] 56名の被検者に対して2%カルボマー水溶液(pH7.0~7.5)とを適用し、RIPT法で判定したところ、皮膚感作性なし

と記載されています。

共通して皮膚感作性は観察されていないので、アレルギーが起こる可能性は低いと考えられます。

光毒性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Carbomers」(文献1:1990)によると、

  • [ヒト試験] 10人の成人被検者に対して0.25%カルボマーを含む保湿剤を適用し、6時間および24時間の接触後にソーラーシミュレーターを照射したところ、光毒性は観察されなかったため、通常使用の条件下では光毒性のリスクを示す可能性は低いと結論づけた
  • [ヒト試験] 25人の成人被検者に0.25%カルボマーを含む保湿剤を24時間適用し、ソーラーシミュレーターを照射を週に2回合計6回繰り返し、最後の誘導の6日後にチャレンジ試験を行ったところ、光接触による感作性は観察されなかった

と記載されています。

共通して光毒性は観察されていないため、光毒性なしと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
カルボマー

参考までに化粧品毒性判定事典によると、カルボマーの毒性は■(∗2)となっており、やや毒性ありという判定ですが、これは合成ポリマーに共通している判定で、安全性試験結果をみる限りでは、毒性はほとんど観察されず、安全性の高い成分だと考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

安全性についての捕捉

ネットでカルボマーを調査していると、皮膚に張り付いて皮膚呼吸ができなくなるという記事も見かけましたが、カルボマーは分子が大きく隙間だらけで、空気を通さないということはありません。

∗∗∗

カルボマーは 安定化成分 にカテゴライズされています。

他の安定化成分など安定化成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分一覧

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文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(1990)「Final Report on the Safety Assessment of Carbomers」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.3109/10915818209013151> 2017年10月1日アクセス.
  2. BASF(2016)「Safety data sheet」, <https://worldaccount.basf.com/wa/AP~en_GB/Catalog/Cosmetics/doc4/BASF/PRD/30537848/.pdf?asset_type=msds/pdf&language=EN&validArea=REG_EU&urn=urn:documentum:ProductBase_EU:09007af88028a932.pdf> 2017年10月1日アクセス.
  3. 日光ケミカルズ(2016)「安全データシート」, <https://www.chemical-navi.com/product_search/detail686.html> 2017年10月1日アクセス.

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