オキシベンゾン-9とは…成分効果と毒性を解説

退色防止
オキシベンゾン-9
[化粧品成分表示名称]
・オキシベンゾン-9

[医薬部外品表示名称]
・ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム

ベンゾフェノン構造を有する水溶性のベンゾフェノン誘導体(ベンゾフェノン系紫外線吸収剤)です。

オキシベンゾン-9の物性は、

分子量 極大吸収波長(nm)
478.4 333

このように記載されています(文献2:2006)

極大吸収波長とは、最も吸収する紫外線波のことであり、オキシベンゾン-9は333に極大吸収波長を有し、333という数値はUVA波長領域(320-400nm)であることから、UVA吸収剤に分類されています。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ヘアミスト&ヘアスタイリング製品などに使用されています。

製品自体の退色・変色防止

製品自体の退色・変色防止に関しては、水溶性であり、UVA吸収作用を有していることから、紫外線で劣化しやすい香料および着色剤を紫外線から防御する目的でスキンケア化粧品、ヘアミスト&ヘアスタイリング製品などに配合されます(文献2:2006)

製品自体の退色・変色防止目的で配合されている場合は、配合量が微量であるため全成分表示欄には末尾に記載されます。

ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウムはポジティブリストであり、化粧品に配合する場合は以下の配合範囲内においてのみ使用されます。

種類 最大配合量(g/100g)
粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流すもの 10
粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流さないもの 10
粘膜に使用されることがある化粧品 配合不可

ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウムは医薬部外品(薬用化粧品)への配合において配合上限があり、配合範囲は以下になります。

種類 配合量 その他
薬用石けん・シャンプー・リンス等、除毛剤 1.0 紫外線吸収剤の合計は10以下とする
育毛剤 1.0
その他の薬用化粧品、腋臭防止剤、忌避剤 1.0
(日焼け止め剤のみ10)
薬用口唇類 配合不可
薬用歯みがき類 配合不可
浴用剤 配合不可

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の1983年および2002年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

オキシベンゾン-9の配合製品数と配合量の調査(1983年および2002年)

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オキシベンゾン-9の安全性(刺激性・アレルギー)について

オキシベンゾン-9の現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1983)によると、

  • [ヒト試験] 14人の被検者に2.68%,5.36%および10.72%オキシベンゾン-9を含む軟膏を対象に単回皮膚刺激性試験を実施したところ、いずれの被検者も皮膚刺激性を示さなかった(Industrial Biology Labs,1967)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激性なしと報告されているため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1983)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に2.68%,5.36%および10.72%オキシベンゾン-9を含む軟膏0.1mLを点眼し、点眼1,2,3および7日目に眼刺激性を評価したところ、いずれの観測においても眼刺激性はみられず、この試験物質は眼刺激性を示さなかった(Industrial Biology Labs,1967)
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に5.36%オキシベンゾン-9水溶液0.1mLを点眼し、点眼1,2,3,4および7日目に眼刺激性を評価したところ、1および2日目には中程度の眼刺激性がみられたが、徐々に回復し5日目には消失した。この試験物質は中程度の眼刺激性に分類された(Industrial Biology Labs,1965)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して眼刺激性なしと報告されているため、化粧品配合範囲内において眼刺激性はほとんどないと考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

ポジティブリストおよび医薬部外品として配合上限が定められていることから、化粧品配合範囲内および通常使用下において、一般的に皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

安全性についての捕捉

ベンゾフェノン(∗1)は、環境省によって内分泌かく乱物質の疑いがある物質としてリストアップされていますが、スウェーデンのNGO(non‐governmental organization:国際協力に携わる非政府組織)団体である ChemSec が運営する SIN-LIST(Subtitute it Now List)(∗2)にはオキシベンゾン-9はリストアップされていないため、現時点で内分泌かく乱物質の疑いはないと考えられます。

∗1 ベンゾフェノンと記載されていますが、ベンゾフェノン誘導体も試験実施されていることから、ベンゾフェノン誘導体も含まれていると考えられます。

∗2 SIN-LISTは、EUのREACH規則下で使用が法的に制限される可能性がある化学物質リストであり、発がん性、変異原性、生殖毒性、内分泌かく乱の懸念がある物質などがリスト化されています。このリスト化はあくまでも可能性や懸念を元に法的に制限されるよう促す目的のためであり、確定ベースではありません。

内分泌かく乱物質とは、日本国政府において “内分泌系に影響を及ぼすことにより、生体に障害や有害な影響を引き起こす外因性の化学物質” と定義されています(∗3)

∗3 内分泌かく乱物質は、マスコミ向けの造語として「環境ホルモン」ともいいますが、環境ホルモンという単語は不明確な用語であり、正確に伝える必要がある場合は推奨されません。

内分泌かく乱物質によるヒトにおける影響に関しては、国立医薬品食品衛生研究所によると、

Q:内分泌かく乱化学物質はどの様な問題を引き起こすのでしょうか?

A:ヒトでは、環境からの化学物質暴露による内分泌かく乱作用により有害な影響を受けたと確認された事例は今までのところありません。

Q:ヒトに対してどのような影響があるのでしょうか? 特に子供に影響があると聞いて心配です。

A:現在までのところ、内分泌系への薬理作用を期待して医薬品として使用された例を除き、内分泌かく乱化学物質と疑われる物質によりヒトに有害な影響を受けたと確認された事例ありません。

成人の内分泌系は、恒常性維持機能が完成しており、化学物質による内分泌かく乱作用に対して、抵抗性があります。

しかし、内分泌系の未発達な胎児や未熟な幼児、小児ではこの抵抗性が弱い可能性があります。

これは、胎児においては、諸器官の形成に異常や遅滞を来すことにより不可逆的な影響が一生残ってしまう可能性にもつながります。

このような観点から特に子供に影響があるのではないかと危惧されていますが、明白な影響は現在のところ分かっていません。

化学物質の他に、食生活の変動や生活環境の変化等による影響もあり、疫学調査による確認も取れていません。

実験動物を用いた研究等により、胎児や未熟な幼児、小児で起こり得る影響の作用機序の解明を急いでおり、その結果を安全性評価の検討に役立てようとしているところです。

内分泌かく乱化学物質ホームページ「内分泌かく乱物質Q&A」より引用

このような情報が公開されており(文献3:-)、現在までヒトにおける内分泌かく乱による有害な影響の報告はないようです。

∗∗∗

オキシベンゾン-9は安定化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(1983)「Final Report on the Safety Assessment of Benzophenones-1, 3, 4, 5, 9, and 11」Journal of the American College of Toxicology(2)(5),35-77.
  2. 日光ケミカルズ(2006)「紫外線防御剤」新化粧品原料ハンドブックⅠ,445-459.
  3. “内分泌かく乱化学物質ホームページ”(-)「内分泌かく乱物質Q&A」, <http://www.nihs.go.jp/edc/question/qanda.htm> 2019年6月13日アクセス.

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