エチドロン酸4Na(エチドロン酸)とは…成分効果と毒性を解説

キレート剤
エチドロン酸4Na(エチドロン酸)
[化粧品成分表示名称]
・エチドロン酸4Na

[慣用名]
・エチドロン酸

わずかに特異なにおいのある無色透明の液体で金属イオン封鎖剤(キレート剤)です。

エチドロン酸とだけ表示されていることも多いです。

水によく溶け、重金属と結合して安定な水溶性錯塩をつくる作用があります。

硬水中で石けんを使用すると、硬水に含まれるカルシウムイオンにより不溶性の石灰石けんができますが、エチドロン酸4Naはカルシウムと水溶性の錯塩をつくり、石けんの沈殿を防ぎ起泡を維持することができるので、石けんに配合されたり、ヘアカラーの変色防止やコールドウェーブ剤の安定剤として使用されます。

また、同じ金属封鎖剤として有名なエデト酸(EDTA)は、旧表示指定成分に認定されていたり、アレルギー報告や刺激性の報告があるため、エデト酸の代わりに刺激性の少ないエチドロン酸4Naが配合されるケースが増えています。

実際のエチドロン酸4Naの2017年の配合状況の調査結果が、海外のものですが以下のように報告されています。

ちなみに製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

エチドロン酸4Naの配合状況調査結果(2017年)

ほぼすべてリンスオフ製品に配合されているのがわかります。

皮膚接触や粘膜が多いので、シャンプーなどのヘアケア製品や洗顔系の石鹸が主な配合製品だといえそうです。

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エチドロン酸4Naの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

エチドロン酸4Naの現時点での安全性は、皮膚刺激性や毒性はほとんどなく、軽度から中程度の眼刺激性が起こる可能性はありますが、皮膚感作性物質ではなく、重大なアレルギー(皮膚感作)の報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Etidronic Acid and Salts of Etidronic Acid as Used in Cosmetics」(文献1:2017)によると、

  • [動物試験] 3匹のウサギに30%エチドロン酸4Na0.5mLをOECD404ガイドラインに基づいて半閉塞パッチ下で48時間適用し、72時間観察したところ、1時間で最小限の紅斑が生じたことを除いて皮膚刺激の兆候はみられなかった
  • [動物試験] 6匹のウサギに31%エチドロン酸4Na水溶液を24時間閉塞パッチ下で2箇所に適用し、24,48,72時間後および7,10,14日後に観察したところ、すべてのウサギに浮腫、紅斑および痂皮が期間中ずっと改善することなく観察され、いくつかの部位では壊死や落屑も観察された。
  • [動物試験] 3匹のウサギに30%エチドロン酸4Na0.5mLをOECD404ガイドラインに基づいて半閉塞パッチ下で適用し、72時間観察したところ、1時間のうちにごくわずかな刺激反応がみられたが、24,48および72時間後には消失した
  • [動物試験] 6匹のウサギに31%エチドロン酸を2箇所に4時間閉塞パッチ下で適用し、24,48,72時間後および7,10日後に観察したところ、4匹のウサギにおいて軽度の紅斑およぎ痂皮が7日まで続き、10日まで改善されなかった。24時間で浮腫の兆候は1つしかなく、いずれの試験部位でも48時間までに皮膚刺激の兆候は観察されなかった
  • [動物試験] 3匹のウサギのそれぞれ4箇所に31%エチドロン酸0.5mLを4時間および24時間適用し、1,24,48,72時間後および14日目まで観察したところ、3匹の4時間適用した部位に軽微な刺激または紅斑が認められ、6匹中5匹の24時間適用部位では浮腫をともなう重度の紅斑を示し、そのうち1匹は両方の部位で表皮組織の損傷を有したが、すべての皮膚反応は10日目までに解決した。14日目に6匹のウサギは1箇所または両方の部位で刺激を示し続けたため、わずかに刺激ありと結論づけた

JETOC 日本化学物質安全・情報センターの初期評価プロファイル(文献2:2004)によると、

  • 皮膚刺激性物質ではない

と記載されています。

試験内容では一時的な軽度の紅斑や浮腫がみられる例も多かったのですが、結論としては軽度の皮膚刺激および皮膚刺激性なしとなっており、日本のJETOCの結論でも皮膚刺激性物質ではないと結論づけているため、洗い流し製品に使用されることがほとんどということもあり、リンスオフ製品に使用する場合において皮膚刺激性はほとんど起こらないと考えられます。

ただし、リーブオン製品に配合されている場合は軽度の皮膚刺激が起こる可能性があります。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Etidronic Acid and Salts of Etidronic Acid as Used in Cosmetics」(文献1:2017)によると、

  • [動物試験] 3匹のウサギの眼に30%エチドロン酸4Na水溶液0.1mLを点眼し、1,24,48,72時間後に経過観察したところ、最大平均刺激スコアは6.7で軽度の刺激ありと評価された
  • [動物試験] 6匹のウサギに31%エチドロン酸4Na水溶液0.1mLを点眼し、1,24,48,72時間後および7日後に採点したところ、2匹のウサギに疼痛反応がみられ、そのうち1匹の兆候は72時間で消失した。また点眼後1時間のうちに4匹のウサギの眼に混濁がみられ、24時間で結膜の赤みがみられたが、すべての刺激は7日後には治まった
  • [動物試験] 3匹のウサギの眼に23%エチドロン酸4Na水溶液0.1mLを点眼し、点眼後にすすぎ、24時間Draize法に基づいて刺激スコアを採点したところ、1時間後の刺激スコアはそれぞれ42,35,42(まぶたの部分的な浮腫や結膜の適度な赤みがみられた)で、24時間後の刺激スコアはそれぞれ33,29,35(浮腫や赤みが治まりはじめる)、48時間後は28,19,28、72時間後は21,13,19、120時間後は13,6,10(わずかな角膜混濁)、168時間後は6,2,4となっており、中程度の眼刺激性ありと評価された

JETOC 日本化学物質安全・情報センターの初期評価プロファイル(文献2:2004)によると、

  • 軽度の眼刺激性物質であることが明らかにされている

と記載されています。

試験結果では軽度~中程度の眼刺激性ありと結論付けられているため、軽度~中程度の眼刺激性が起こる可能性が高いと考えられます。

アレルギー(皮膚感作性)について

JETOC 日本化学物質安全・情報センターの初期評価プロファイル(文献2:2004)によると、

  • 皮膚感作物質ではない

と記載されています。

皮膚感作の報告はJETOCのひとつですが、国内でも重大なアレルギーの報告はないため、アレルギー(皮膚感作)はほとんど起こらないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
エチドロン酸4Na

参考までに化粧品毒性判定事典によると、エチドロン酸4Naは■(∗2)となっていますが、金属封鎖剤(キレート剤)はすべて■となっているので、その点を考慮する必要があります。

EDTAの毒性も■であり、エチドロン酸はEDTAに比べてほとんど毒性や刺激性がみられないことが評価されてEDTAに代わって使用が増えており、安全性試験結果や食品安全委員会でも経口摂取での安全性の懸念がないと判断していることから、毒性や刺激性はほとんどないと考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

エチドロン酸4Naは安定化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2017)「Safety Assessment of Etidronic Acid and Salts of Etidronic Acid as Used in Cosmetics」, <http://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/FR729.pdf> 2017年10月17日アクセス.
  2. JETOC 日本化学物質安全・情報センター(2004)「初期評価プロファイル」, <http://www.jetoc.or.jp/safe/siap_top.html> 2017年10月17日アクセス.

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