アルギン酸Naとは…成分効果と毒性を解説

増粘
アルギン酸Na
[化粧品成分表示名称]
・アルギン酸Na

[医薬部外品表示名称]
・アルギン酸ナトリウム

褐藻類(学名:Phaeophyceae 英名:Brown algae)の細胞膜に含まれる疎水性(水に不溶)のアルギン酸にナトリウム塩を反応させて水溶性にしたアルギン酸ナトリウム塩であり、化学構造的にグルロン酸とマンヌロン酸が1,4-グリコシド結合した直鎖状多糖類(海藻抽出物:植物系水溶性高分子)です。

分子量は約5万-24万です(文献2:2016)

主に食品分野でゲルや粘度の硬さやテクスチャーを調整する目的でゼリー、デザート類、飲料類などに、粘結剤目的で歯磨き粉などに使用されています(文献2:2016;文献3:-)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、メイクアップ化粧品、洗浄製品、洗顔料&洗顔石鹸、シート&マスク製品など様々な製品に使用されています(文献1:2015;文献2:2016)

増粘・ゲル化

増粘・ゲル化に関しては、カルシウムイオン(∗1)の存在下で接触と同時に速やかにゲル化し、化学構造的には箱状構造をしたグルロン酸が連なったユニットにカルシウムイオンを抱え込み、三次元構造を形成することで起こるため、グルロン酸の比率が高いアルギン酸Naの場合は硬くて脆いゲルが得られ、マンヌロン酸の比率が高いアルギン酸Naの場合は柔軟なゲルが得られます(文献4:2009)

∗1 2価以上の金属イオンと反応してゲル化しますが、最も反応性が高いのがカルシウムイオンであり、実質ほとんどのケースでカルシウムイオンが使用されます。

pH4以下ではアルギン酸Naがアルギン酸に変化することで水に溶けにくくなりますが、pH5以上の弱酸性-中性域で安定したゲルを形成し、希薄な溶液になっても乳化物が分離沈殿することがない長期安定性が高く評価されています(文献3:-)

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2013-2015年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

アルギン酸Naの配合製品数と配合量の調査結果(2013-2015年)

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アルギン酸Naの安全性(刺激性・アレルギー)について

アルギン酸Naの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2015)によると、

  • [ヒト試験] アレルギーの既往歴のない12人の被検者に20%アルギン酸Na水溶液を対象にパッチテストを実施し、ICDRG(International Contact Dermatitis Research Group)が推奨する基準に基づいてパッチ適用2および3日目の皮膚反応を評価したところ、1人の被検者で2および3日目に±の反応が観察されたが、アルギン酸Na水溶液は皮膚刺激性およびアレルギー性接触性皮膚炎の反応を示さなかった(D Kawahara,1993)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激および皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2015)によると、

  • [動物試験] ウサギの眼に2%アルギン酸Na水溶液を点眼し、点眼1および24時間および2,3,4および7日後に眼刺激性を評価したところ、眼刺激性スコア(0-110)は10以下であり、角膜の混濁は発生せず、眼刺激性も示されなかった(J P Guillot,1982)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、眼刺激性なしと報告されているため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

∗∗∗

アルギン酸Naは安定化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2015)「Safety Assessment of Polysaccharide Gums as Used in Cosmetics」Final Report.
  2. 日光ケミカルズ(2016)「高分子」パーソナルケアハンドブック,106-134.
  3. “多糖類.com”(-)「アルギン酸」, <https://www.tatourui.com/about/type/10_sodium_alginate.html> 2019年5月29日アクセス.
  4. 宮島 千尋(2009)「アルギン酸類の概要と応用」繊維学会誌(65)(12),444-448.

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