ブタノールの基本情報・配合目的・安全性

ブタノール

化粧品成分表示名称 ブタノール
医薬部外品表示名称 ブタノール
慣用名称 ブチルアルコール
配合目的 溶剤 など

1. 基本情報

1.1. 定義

以下の化学式で表される、4個の炭素鎖の1個目にヒドロキシ基(-OH)が結合したフルーツ様の特徴的な香気をもつ揮発性の一価アルコール(∗1)かつ低級アルコール(∗2)です[1a][2a][3a]

∗1 一価アルコールとは、化学的に1個のヒドロキシ基(-OH)が結合したアルコールで、2個以上のヒドロキシ基(-OH)が結合したものは多価アルコールと呼ばれ(n個結合したものはn価アルコールとも呼ばれる)、高い吸湿性と保水性をもっているため保湿剤・保水剤として化粧品に汎用されています。

∗2 低級アルコールとは、ヒドロキシ基(水酸基:-OH)を1個だけもつ一価アルコールの中で、炭素数6個以下のアルコールのことを指し、一方で炭素数8個以上のアルコールは高級アルコール(脂肪族アルコール)に分類されます。一般に炭素数が少ないほど親水性が強くなり(親油性が弱くなり)、炭素数が多いほど親油性が強くなる(親水性が弱くなる)特徴を有しています。ブタノールは炭素数4個の低級アルコールです。

ブタノール

1.2. 物性

ブタノールの物性は、

融点(℃) 沸点(℃) 比重(d 20/4) 屈折率(n 20/D)
-89.53 117.7 0.8095 1.3993

このように報告されています[4]

1.3. 分布

ブタノールは、自然界において果物や発酵生成物中に存在しています[3b]

1.4. 化粧品以外の主な用途

ブタノールの化粧品以外の主な用途としては、

分野 用途
塗料 塗料の溶剤、主にニトロセルロースの助溶剤に用いられています[2b][5a]
食品 香味を再現する目的で焼き菓子、アイスクリーム、ゼリー、プリン、清涼飲料水などに用いられています[3c]

これらの用途が報告されています。

2. 化粧品としての配合目的

化粧品に配合される場合は、

  • 溶剤

主にこれらの目的で、ネイル製品に汎用されています。

以下は、化粧品として配合される目的に対する根拠です。

2.1. 溶剤

溶剤に関しては、ブタノールはには溶けにくいですが、多くの有機溶剤と自由に混合するため、油類、油脂、樹脂、ロウなどの溶剤として用いられています[5b]

化粧品においては、ネイル製品の皮膜を形成するニトロセルロースや樹脂などを溶かす助溶剤としてマニキュア、トップコート、ベースコートなどネイル製品に汎用されています[1b][6]

3. 配合製品数および配合量範囲

配合製品数および配合量に関しては、海外の2002-2005年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ブタノールの配合製品数と配合量の調査(2002-2005年)

4. 安全性評価

ブタノールの現時点での安全性は、

  • 食品添加物の指定添加物リストに収載
  • 外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載
  • 40年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:濃度3%以下においてほとんどなし
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

4.1. 皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ[7]によると、

  • [ヒト試験] 210人の被検者に3%ブタノールを含むネイルカラーを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、いずれの被検者も臨床的に有意な皮膚反応は観察されなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1984)
  • [ヒト試験] 203人の被検者に3%ブタノールを含むネイルエナメルを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、誘導期間において最小限の紅斑が観察されたが、試験期間を通じて他に皮膚反応は観察されず、この試験条件下においてこの製品は皮膚刺激剤および皮膚感作剤ではないとみなされた(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association1,1982)

このように記載されており、試験データをみるかぎり濃度3%において共通して皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されていることから、一般に濃度3%以下において皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

4.2. 眼刺激性

化粧品使用濃度範囲における試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細不明です。

5. 参考文献

  1. ab日本化粧品工業連合会(2013)「ブタノール」日本化粧品成分表示名称事典 第3版,838.
  2. ab大木 道則, 他(1989)「ブチルアルコール」化学大辞典,1998.
  3. abc樋口 彰, 他(2019)「ブタノール」食品添加物事典 新訂第二版,300.
  4. 有機合成化学協会(1985)「1-ブタノール」有機化合物辞典,823.
  5. ab浅原 照三, 他(1976)「1-ブタノール」溶剤ハンドブック,350-353.
  6. 日光ケミカルズ株式会社(1977)「溶剤」ハンドブック – 化粧品・製剤原料 – 改訂版,799-802.
  7. K.R. Brandt(1987)「Final Report on the Safety Assessment of n-Butyl Alcohol」Journal of the American College of Toxicology(6)(3),403-424. DOI:10.3109/10915818709098564.

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