ブタノールとは…成分効果と毒性を解説

溶剤
ブタノール
[化粧品成分表示名称]
・ブタノール

[医薬部外品表示名称]
・ブタノール

[慣用名]
・ブチルアルコール、1-ブタノール

化学構造的に4個の炭素鎖の1個目(末端)にヒドロキシ基(水酸基:-OH)を結合した分子量74.1の揮発性一価アルコール(∗1)かつ低級アルコール(∗2)です(文献2:1994)

∗1 一価アルコールとは、一分子中にヒドロキシ基(水酸基:-OH)を1個もつアルコールのことです。

∗2 低級アルコールとは、ヒドロキシ基(水酸基:-OH)を1つだけもった一価アルコールの中で、炭素数6個以下のアルコールのことを指し、一方で炭素数8個以上のアルコールは高級アルコール(脂肪族アルコール)に分類されます。一般に炭素数が少ないほど親水性が強くなり(親油性が弱くなり)、炭素数が多いほど親油性が強くなる(親水性が弱くなる)特徴を有しています。

一般的な用途としては、塗料分野においてニトロセルロースの潜在溶剤として、また酢酸ブチルの原料や医薬品の製造原料として使用されています(文献2:1994;文献3:2005)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的でネイル製品などに汎用されています。

溶剤

溶剤に関しては、ブタノールはネイルエナメルの助溶剤として広く知られており、ネイルの皮膜形成剤や可塑剤を溶かし込む目的で(文献4:1990;文献5:2012)、ネイルカラー、ネイルコート、ネイルポリッシュネイル製品に他の溶剤と併用されています。

実際の配合製品の種類や配合濃度範囲は、海外の2002-2005年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ブタノールの配合製品数と配合量の調査(2002-2005年)

スポンサーリンク

ブタノールの安全性(刺激性・アレルギー)について

ブタノールの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 30年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:3%濃度以下においてほとんどなし
  • 眼刺激性:15%濃度以下において最小限-中程度
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし
  • 光毒性:ほとんどなし
  • 光感作性:ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1987)によると、

  • [ヒト試験] 210人の被検者に3%ブタノールを含むネイルカラーを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、いずれの被検者も臨床的に有意な皮膚反応は観察されなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1984)
  • [ヒト試験] 203人の被検者に3%ブタノールを含むネイルエナメルを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、誘導期間において最小限の紅斑が観察されたが、試験期間を通じて他に皮膚反応は観察されず、この試験条件下においてこの製品は皮膚刺激剤および皮膚感作剤ではないとみなされた(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association1,1982)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、3%濃度において共通して皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されていることから、一般に3%濃度以下において皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1987)によると、

  • [動物試験] 5匹のウサギの眼にブタノール0.005mLを点眼し、点眼18-24時間後に眼刺激性を0-10のスケールで評価(眼刺激スコア5以上は重度の損傷に等級される)したところ、ブタノールの眼刺激スコアは7であり、40%ブタノール水溶液の眼刺激スコアは5以上、15%ブタノール溶液の眼刺激スコアは5以下であった(CP Carpenter and HF Smith,1946)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、15%濃度以下において最小限-中程度の眼刺激が報告されているため、15%濃度以下において一般に眼刺激性は最小限-中程度の眼刺激を引き起こす可能性があると考えられます。

ただし、一般に使用される濃度は4%濃度以下であることから、4%濃度以下の試験データが必要であると考えられます。

光毒性および光感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1987)によると、

  • [ヒト試験] 30人の被検者に3%ブタノールを含むネイルエナメルを対象に光感作性試験をともなうHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、いずれの被検者も皮膚反応は観察されず、この試験条件下においてこの製品は光毒素および光アレルゲンではなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1979)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、3%濃度において光毒性および光感作なしと報告されていることから、一般に3%濃度以下において光毒性および光感作性はほとんどないと考えられます。

∗∗∗

ブタノールは溶剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:溶剤

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(1987)「Final Report on the Safety Assessment of n-Butyl Alcohol」Journal of the American College of Toxicology(6)(3),403-424.
  2. 有機合成化学協会(1994)「n-ブタノール」新版 溶剤ポケットブック,370-373.
  3. 環境省(2005)「1-ブタノール」化学物質の環境リスク評価(4)(14).
  4. 柴谷 順一, 他(1990)「最近の化粧品用樹脂の動向」色材協会誌(63)(4),217-225.
  5. 鈴木 一成(2012)「ブタノール」化粧品成分用語事典2012,655.

スポンサーリンク

TOPへ