ライスパワーNo.6(米エキスNo.6)とは…成分効果と毒性を解説

皮脂抑制
ライスパワーno.6(米エキスNo.6)
[医薬部外品表示名称]
・ライスパワーNo.6、米エキスNo.6

2015年に皮脂分泌抑制の有効成分として承認された、イネ科植物ジャポニカ米(学名:O. sativa japonica)を菌や酵母など複数の微生物を用いて発酵・熟成・抽出することによって得られる米発酵エキスです(文献2:2019)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品に使用されています。

皮脂腺の脂質合成低下による皮脂抑制作用

皮脂腺の脂質合成低下による皮脂抑制作用に関しては、まず前提知識として皮脂の構造と役割について解説します。

以下の皮膚の最外層である角質層の構造図および皮脂の流れ図をみてもらえるとわかりやすいと思いますが、

角質層の構造

皮脂の流れ

皮脂とは、狭義には皮脂腺で合成された脂質が毛包を通って皮膚表面に分泌される脂肪のことをいい、主にスクアレン、ワックス(ロウ)、脂肪酸系物質(トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド、遊離脂肪酸)(∗1)で構成されています(文献3:2002;文献4:2002)

∗1 遊離脂肪酸は、オレイン酸ステアリン酸パルミチン酸などです。

また、表皮細胞(角化細胞)は分化の過程においてコレステロール、コレステロールエステルなどの表皮脂質を産生し、この表皮脂質と皮脂腺由来の皮脂が皮膚表面で混ざったものを皮表脂質といいます(文献3:2002;文献4:2002)

このような背景から皮表脂質の組成は、ヒトによって含有量が異なり、また同じヒトであっても日によって変動がありますが、

由来 成分 含量(%) 含量範囲(%)
表皮細胞
(角化細胞)
コレステリルエステル 2.5 1.5 – 2.6
コレステロール 1.5 1.2 – 2.3
皮脂腺 スクアレン 10 10.1 – 13.9
ワックス 22 22.6 – 29.5
トリグリセリド 25 19.5 – 49.4
モノグリセリド、ジグリセリド 10 2.3 – 4.3
(ジグリセリドのみ)
遊離脂肪酸 25 7.9 – 39.0

このように報告されており(文献5:1990;文献6:1969)、皮脂腺由来の脂肪が約90%を占めることから、広義には皮表脂質も皮脂と呼ばれています。

皮表脂質は、皮膚表面で汗と混合(乳化)して薄い脂肪の膜をつくり、皮表脂質膜(皮脂膜)を形成することで、

  • 皮膚や毛髪にうるおいやなめらかさを付与する
  • 外界の刺激から皮膚を保護
  • 弱酸性を示し外部の影響などによってアルカリ性となった皮膚を元のpH値に戻す緩衝作用
  • 有害な細菌の増殖を抑制

このような生理的役割を担っています(文献7:1988)

しかし、皮脂の分泌が過剰な場合は、脂性肌という主観的な認識に結びつき、肌のテカリやベタつきといった皮脂由来の直接的な肌の悩みだけでなく、皮膚表面の洗浄作用が低下し、ほこりや雑菌が付着、繁殖しやすくなり、脂漏性湿疹、ざ瘡(ニキビ)発症の原因となります(文献3:2002;文献8:1986)

さらに、過剰な皮脂は毛包周辺の角層細胞とともに角栓を形成し、毛穴の開大を招いたり、皮膚表面上の皮脂が紫外線により酸化し、この過酸化脂質が角層細胞にダメージを与え、バリア機能を低下させるなどの悪影響をもたらすことが知られています。

このような背景から、過剰な皮脂を抑制することは、皮膚を健常に保つ上で重要であると考えられます。

2017年に勇心酒造によって報告されたライスパワーNo.6の皮脂に対する影響検証よると、

培養した皮脂腺細胞を用いてライスパワーNo.6を添加し、脂質合成量を測定したところ、以下のグラフのように、

皮脂腺に対するライスパワーNo.6の脂質合成抑制作用

ライスパワーNo.6が皮脂腺細胞において脂質合成を抑制する効果が確認された。

次にライスパワーNo.6のヒトに対する効果を検証するために、健常な皮膚を有する24人の男女被検者に、ライスパワーNo.6を1日2回(朝晩)7日間にわたって毎日連で塗布してもらい、あぶらとり紙で皮脂を吸着させ、皮脂採取量を測定したところ、以下のグラフのように、

額・鼻・頬に対するライスパワーNo.6の皮脂分泌抑制効果

ライスパワーNo.6の塗布7日目で皮脂分泌を約60%抑制する効果が確認された。

このような検証結果が明らかにされており(文献1:2017)、ライスパワーNo.6に皮脂腺の脂質合成低下による皮脂抑制作用が認められています(∗2)

∗2 試験において濃度が不明ですが、医薬部外品の有効成分として承認されていることから、実際の医薬部外品(薬用化粧品)においては効果を発揮する濃度が配合されていると考えられます。

皮脂を抑制することから、過剰に皮脂を抑制して皮膚の乾燥を招いたり、角質層の細胞間脂質の合成への影響が懸念されますが、ライスパワーNo.6の皮脂腺に対する脂質合成低下メカニズムは、皮脂腺そのものに直接働きかけ、皮脂腺の脂質合成を抑制し、その結果として皮脂腺が縮小し、皮脂分泌量が減少するというもので、皮脂腺細胞に特異的なものであり、角質層の細胞間脂質合成や皮膚の乾燥など皮膚に有害な影響を及ぼすことなく、過剰な皮脂のみを抑えることが確認されています(文献1:2017;文献9:2018)

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ライスパワーNo.6(米エキスNo.6)の安全性(刺激性・アレルギー)について

ライスパワーNo.6(米エキスNo.6)の現時点での安全性は、

  • 医薬部外品有効成分
  • 2018年からの使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

勇心酒造の安全性データ(文献1:2017)によると、

  • [ヒト試験] 61人の被検者を対象としたライスパワーNo.6の3ヶ月連用試験において、皮膚科専門医が湿疹、紅斑、炎症、鱗屑、皮脂欠乏症などを評価したところ、有害事象は発生しなかった

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激および皮膚感作などの有害事象は発生なしと報告されているため、一般に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

また、医薬部外品の新規有効成分であることから、少なくとも2年間の安全性に関する市販後調査が必要ですが、ライスパワーNo.6配合製品は2018年4月の発売から2020年6月現在において安全性に関する問題は報告されていないことから、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

∗∗∗

ライスパワーNo.6(米エキスNo.6)は皮脂抑制成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:皮脂抑制成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. 勇心酒造株式会社(2017)「日本初!「皮脂分泌を抑制する」効能の医薬部外品 勇心酒造株式会社が製造販売承認を取得 皮脂腺に直接働きかける新規有効成分ライスパワーNo.6を開発」, <http://www.yushin-brewer.com/news/2017/1201/20171201_no6.pdf> 2018年3月18日アクセス.
  2. 松野 孝祐, 他(2019)「各種機能性を有する米発酵エキスの研究開発」化学と生物(57)(2),129-133.
  3. 朝田 康夫(2002)「皮脂腺の機能と構造」美容皮膚科学事典,38-45.
  4. 朝田 康夫(2002)「皮表脂質の組成とその由来」美容皮膚科学事典,45-48.
  5. 鈴木 敏幸(1990)「スキンケアと界面化学」表面科学(11)(4),260-264.
  6. D.T. Downing, et al(1969)「Variability in the Chemical Composition of Human Skin Surface Lipids」Journal of Investigative Dermatology(53)(5),322-327.
  7. 松尾 聿朗, 他(1988)「皮表脂質の生理的役割」油化学(37)(10),827-831
  8. D.T. Downing, et al(1986)「Essential fatty acids and acne」Journal of the American Academy of Dermatology,(14)(2)221-225.
  9. 横山 聡美, 他(2018)「皮脂分泌抑制効果を示す米発酵抽出液の作用メカニズムの検討」第91回日本生化学会大会,2P-080.

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