スクラブ剤の解説と成分一覧
スクラブ剤とは、
- マッサージ効果の増強
- 古い角質および皮脂の除去
主にこれらのいずれかまたは両方の目的で使用する粉末(粒子)のことであり、その作用は粒子の物理的な研磨によるものです。
スクラブ剤に用いられる粉末・粒子は、以下のように、
種類 | 成分名称 | |
---|---|---|
天然 | 糖類 | スクロース、乳糖、コーンスターチ |
塩類 | 海塩 | |
植物種子・皮 | アーモンド、オートミール、クルミ殻粒 | |
顔料 | シリカ | |
繊維 | セルロース | |
半合成 | 繊維 | 結晶セルロース |
合成 | 樹脂 | ポリエチレン |
鉱物 | 合成ワックス |
天然物から合成物まで様々な種類が使用されており、スクラブ剤は物理的な研磨作用によって効果を発揮することから、物質の硬さ、弾性、さらに吸着性などでスクラブ効果や皮膚刺激性に違いがあると考えられます。
スクラブ剤に用いられるポリエチレンは、マイクロビーズまたはプラスチックビーズと呼ばれていますが、このマイクロプラスチックビーズには生分解性(∗1)がほとんどないことから、2010年代より直径5mm以下のマイクロプラスチックビーズによる生物被害および環境汚染が問題提起されている現状があります。
∗1 生分解性とは、環境中の微生物・酵素の働きによって最終的に無害な物質まで分解される性質のことです。
このような背景があり、環境保護の観点からEU加盟国であるオランダ、オーストラリア、ベルギーおよびスウェーデンの4ヶ国は、2014年に化粧品へのマイクロビーズの使用を禁止する共同声明を発表し、それを皮切りに2017年にはアメリカおよび韓国がマイクロビーズを含む化粧品の製造禁止を発表、2018年にはフランス、イギリス、台湾、ニュージーランドおよびカナダがマイクロビーズを含む化粧品の製造禁止を発表しています(文献1:2015;文献3:2018)。
日本においては国による方針発表はないものの、2016年に日本化粧品工業連合会により化粧品販売企業に向けて、洗い流しのスクラブ製品におけるマイクロビーズの使用中止に関する文書の発信があり、2017年の三菱化学テクノリサーチによる調査結果では、市販150種類の洗顔料およびボディソープ(各75個)のうちポリエチレンの成分表示があったものは洗顔料に2種類のみであり、自主規制は着実に進んでいると考えられます(文献2:2017)。
∗∗∗
文献一覧:- The United Nations Environment Programme(2015)「Plastics in Cosmetics: Are we polluting the environment through our personal care (Factsheet)」, <http://wedocs.unep.org/handle/20.500.11822/21754> 2020年2月3日アクセス.
- 三菱ケミカルリサーチ(2017)平成28年度国内外におけるマイクロビーズの流通実態等に係る調査業務報告書.
- 環境省(2018)「プラスチックを取り巻く国内外の状況」, <http://www.env.go.jp/council/03recycle/y0312-01/y031201-2r3.pdf> 2020年2月3日アクセス.
スクラブ剤一覧
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- 結合、吸着、分散・懸濁安定化、増粘・ゲル調整、スクラブ目的で化粧品に配合される成分、セルロースの効果や安全性について解説します。
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- 結合、吸着、分散・懸濁安定化、増粘・ゲル調整、スクラブ目的で化粧品に配合される成分、セルロース末の効果や安全性について解説します。
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- 無水ケイ酸
- ベアリング効果およびチキソトロピー性による感触改良・粉体基剤、光散乱によるソフトフォーカス効果、遊色効果、表面処理、スクラブ、ウロキナーゼ吸着による抗炎症作用目的で化粧品に配合される成分、無水ケイ酸の効果や安全性について解説します。
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