DMEの基本情報・配合目的・安全性
化粧品表示名 | DME |
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医薬部外品表示名 | ジメチルエーテル |
部外品表示簡略名 | DME |
INCI名 | Dimethyl Ether |
配合目的 | 噴射 など |
1. 基本情報
1.1. 定義
以下の化学式で表されるエーテル(脂肪族エーテル)です[1a]。
化粧品表示名である「DME」は、「dimethyl ether:ジメチルエーテル」の略称です。
1.2. 物性・性状
DMEの物性・性状は(∗1)、
∗1 融点とは固体が液体になりはじめる温度のことです。
状態 | 融点(℃) | 沸点(℃) | 溶解性 |
---|---|---|---|
気体 | -141.5 | -24.8 | 水、有機溶媒に可溶 |
常温で気体ですが、常温付近で加圧することにより簡単に液化されるガスです[4a]。
1.3. 化粧品以外の主な用途
DMEの化粧品以外の主な用途としては、
分野 | 用途 |
---|---|
医薬品 | 噴射目的の医薬品添加剤として外用剤などに用いられています[5]。 |
これらの用途が報告されています。
2. 化粧品としての配合目的
- 噴射
主にこれらの目的で、スプレー系・ミスト系・ムース系の、日焼け止め製品、化粧水、ボディケア製品、ヘアフレグランス製品、プレスタイリング製品、ヘアスタイリング製品、ヘアカラー製品などに使用されています。
以下は、化粧品として配合される目的に対する根拠です。
2.1. 噴射
噴射に関しては、液化ガスであるDMEはLPGとは異なり水に極めて多量に溶解することから、水分の多い内容物を溶かして内部液として充填され、この内部液が加圧状態から大気圧に減圧されたときの瞬間的な気化膨張によって微細な噴霧粒子を容器の外に自力で均一に放出させることから[1b][4b][6a][7]、主にスプレー系製品、ミスト系製品に使用されています。
一般に単体での使用だけでなく、噴射の勢いや量を調節するためにLPGと併用されることも多いです[6b]。
3. 安全性評価
- 薬添規2018規格の基準を満たした成分が収載される医薬品添加物規格2018に収載
- 外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載
- 40年以上の使用実績
- 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
- 眼刺激性:詳細不明
- 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)
このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般に安全性に問題のない成分であると考えられます。
以下は、この結論にいたった根拠です。
3.1. 皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)
医薬品添加物規格2018および医薬部外品原料規格2021に収載されており、40年以上の使用実績がある中で重大な皮膚刺激および皮膚感作の報告がみあたらないことから、化粧品配合量および通常使用下において、一般に皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。
3.2. 眼刺激性
試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細不明です。
4. 参考文献
- ⌃ab日本化粧品工業連合会(2013)「DME」日本化粧品成分表示名称事典 第3版,15.
- ⌃大木 道則, 他(1989)「ジメチルエーテル」化学大辞典,1049.
- ⌃有機合成化学協会(1985)「ジメチルエーテル」有機化合物辞典,450.
- ⌃ab飯塚 宏(1968)「噴射剤」ハンドブック-基礎知識総説集,752-758.
- ⌃日本医薬品添加剤協会(2021)「ジメチルエーテル」医薬品添加物事典2021,286.
- ⌃ab森本 秀樹(2001)「エアゾールタイプ育毛剤について」香粧品製造学-技術と実際,370-373.
- ⌃薬科学大辞典編集委員会(2013)「プロペラント」薬科学大辞典 第5版,1388.