レブリン酸の基本情報・配合目的・安全性
化粧品表示名 | レブリン酸 |
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医薬部外品表示名 | レブリン酸 |
INCI名 | Levulinic Acid |
配合目的 | 防腐補助 など |
1. 基本情報
1.1. 定義
∗1 ケト酸(別名:ケトカルボン酸)とは、ケトン基(>C=O)とカルボキシ基(−COOH)を含む有機酸のことをいいます。
1.2. 分布
レブリン酸は、自然界においてパパイヤ(学名:Carica papaya)などに存在しています[3]。
1.3. 化粧品以外の主な用途
レブリン酸の化粧品以外の主な用途としては、
分野 | 用途 |
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医薬品 | 可溶目的の医薬品添加剤として経皮に用いられています[4]。 |
これらの用途が報告されています。
2. 化粧品としての配合目的
- 防腐補助
主にこれらの目的で、スキンケア製品、ボディ&ハンドケア製品、マスク製品、洗顔料、シャンプー製品、コンディショナー製品、ボディソープ製品、ヘアカラー製品などに使用されています。
以下は、化粧品として配合される目的に対する根拠です。
2.1. 防腐補助
防腐補助に関しては、レブリン酸は酸性域(pH4.0-6.0)で主に細菌(グラム陰性菌、グラム陽性菌)に対してやや高い抗菌性を、真菌(カビ、酵母)に対してやや弱い抗菌活性を示す低毒性の水溶性防腐助剤として知られており、サトウキビなど植物から合成されることから防腐剤の配合量を低減する目的で主に天然系・オーガニック系製品に使用されています[5]。
3. 配合製品数および配合量範囲
化粧品に対する実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2019-2021年の調査結果になりますが、以下のように報告されています(∗2)。
∗2 以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を指し、またリンスオフ製品は、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。
4. 安全性評価
- 外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載
- 15年以上の使用実績
- 皮膚刺激性:濃度4%以下においてほとんどなし
- 眼刺激性:詳細不明
- 皮膚感作性(アレルギー性):濃度4%以下においてほとんどなし
このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般に安全性に問題のない成分であると考えられます。
以下は、この結論にいたった根拠です。
4.1. 皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)
Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ[6]によると、
- [ヒト試験] 被検者(人数不明)に4%レブリン酸を含む軟膏を48時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去後に皮膚刺激性を評価したところ、いずれの被検者においても皮膚刺激は観察されなかった(Anonymous,1979)
- [ヒト試験] 26名の被検者に4%レブリン酸を含む軟膏を対象にmaximization皮膚感作性試験を実施したところ、この製品は皮膚感作反応を示さなかった(Anonymous,1979)
このように記載されており、試験データをみるかぎり皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されているため、一般に濃度4%以下において皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。
4.2. 眼刺激性
実際の配合濃度範囲における試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細不明です。
5. 参考文献
- ⌃日本化粧品工業連合会(2013)「レブリン酸」日本化粧品成分表示名称事典 第3版,1093.
- ⌃大木 道則, 他(1989)「レブリン酸」化学大辞典,2548.
- ⌃合成香料編集委員会(2016)「レブリン酸」増補新版 合成香料 化学と商品知識,450-451.
- ⌃日本医薬品添加剤協会(2021)「レブリン酸」医薬品添加物事典2021,737.
- ⌃Evonik Dr. Straetmans GmbH(2019)「dermosoft 700B」Technical Data Sheet.
- ⌃W.F. Bergfeld, et al(2021)「Safety Assessment of Levulinic Acid and Sodium Levulinate as Used in Cosmetics(∗3)」,2021年11月14日アクセス.
∗3 PCPCのアカウントをもっていない場合はCIRをクリックし、表示されたページ中のアルファベットをどれかひとつクリックすれば、あとはアカウントなしでも上記レポートをクリックしてダウンロードが可能になります。