ヨモギ水(ヨモギ葉水)とは…成分効果と副作用を解説

香料
ヨモギ水(ヨモギ葉水)
[化粧品成分表示名称]
・ヨモギ葉水、ヨモギ水

水蒸気蒸留法を用いて葉からヨモギエキスを抽出した際に出る、ヨモギの香りやエキスが溶け込んだ蒸気水分となって得られる芳香蒸留水です。

ヨモギは人家に近い山野によく見られるキク科の多年草で、全草から独特な香りがし、舌に触れると苦味のある女性がよく用いるハーブです。

ヨモギは30以上の種類があり、薬用と食用では用いるヨモギが違いますが、薬用のヨモギとしてはオウシュウヨモギが有名です。

ヨモギ水の成分組成は、

  • 1,8-シネオール:26.8%
  • カンファー:16.2%
  • ボルネオール:15.8%
  • cis-ベルベノール:7.5%
  • テルピネン-4-オール:4.5%
  • ヨモギアルコール:5.3%
  • ピペリトン:4.4%
  • 1-オクテン-3-オール:4%
  • α-テルピネオール:2.5%

となっており(∗1)、1,8-シネオールが主要成分です。

∗1 参考資料:サイエンスの目で見るハーブウォーターの世界(2009)

主要成分である1,8-シネオールには多彩な薬理作用があり、呼吸器系に関する作用に関しては1,8-cineole componet of choice for respiratory pathologies(文献1:2007)の総説があります。

他には、

  • 鎮痙作用
    ラットの十二指腸を用いた実験で、1,8-シネオールはアセチルコリンや塩化カルシウム起因の痙攣作用を抑制します(文献2:1987,文献3:1989)。モルモット心筋を用いた実験で、腸管と同じく心筋の収縮力も弱める作用があります(文献3:1989)。1,8-シネオールは胃の膨張性の低下、血圧低下と徐拍をもたらします。これは消化管や血管平滑筋への直接作用と自律神経系を通した交感神経の抑制によると説明されています(文献4:2007)。1,8-シネオールを主成分とするEucalyptus tereticornisは鎮痙作用に基づく気管支拡張作用が認められます。実際に慢性の閉鎖性肺疾患患者に1,8-シネオールを7日間経口投与すると気管支拡張効果が認められました(文献5:1998)
  • 鎮痛、鎮静作用
    1,8-シネオールを腹腔投与すると鎮静効果と自発運動の低下、解熱効果が得られました(文献6:1989)。これに関連して吸入、または注射で脳細胞の酵素消費を減退させます(文献7:1969,文献8:1987)
  • 鎮咳作用
    クエン酸で誘発したヒトの咳に対してユーカリ精油を3時間吸引すると発作が治まります(文献9:2004)。しかしこの効果はメントールより弱いようです。
  • 抗炎症作用
    1,8-シネオールの抗炎症性はよく知られています(文献10:2006)。1,8-シネオールは試験管内で刺激したヒト単球とリンパ球のサイトカインの産生を抑制し(文献11:2004)、炎症性サイトカインが惹起する気管支喘息にも臨床的に有効でした(文献12:2003)
  • 抗ウィルス作用
    1,8-シネオールの抗菌活性は弱いですが、強い抗ウィルス作用が認められます(文献13:1992)。その作用はツヨンよりは弱いですが、ほかの精油成分よりは高い活性を示します(文献14:1999)
  • 代謝
    1,8-シネオールはラット肝のグルクロニルトランスフェラーゼの活性を高めることで、水に不溶な薬物を水溶性のグルクロン酸抱合体にして排泄する薬物代謝を促進します(文献15:1971)。また肝チトクロームの複数のP-450酵素を誘導して活性化させることで薬物代謝を促進させます(文献7:1969)。したがって併用薬物の半減期を短くして効果を弱める可能性があります。

となっています(それぞれの文献はページ最下部に記載)

ヨモギ精油は韓国では健康食品として使われているようです。

オウシュウヨモギ精油は抹消血流の改善効果と呼吸障害に有用といわれており、抗炎症、鎮咳効果も記載されています。

ヨモギ水の成分はオウシュウヨモギに似ているので、同様の作用が期待されます。

「Hydrosols(2006)」を著したCattyによると、オウシュウヨモギ水には駆虫効果、血液循環促進作用、アレルギー性呼吸疾患、外用では筋肉のこわばり、痛み、張りに有用といわれており、日本産ヨモギ水にも似た効果が期待されます。

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ヨモギ水の安全性(毒性・刺激性・アレルギー・副作用)について

オウシュウヨモギは、ツヨンを含有しているため子どもや妊婦には禁忌といわれます。

日本のヨモギ精油やヨモギ水はツヨンを含まないため安全性は不明ですが、ヨモギ水は、シネオールやカンファーの濃度がきわめて低いこともあり、大きな問題は予見されないと考えられます。

ただし、キク科アレルギーやヨモギアレルギーの方は注意が必要です。

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ヨモギ水は毒性なし(∗1)となってます。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ヨモギ水は香料にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:香料

∗∗∗

文献一覧:

  1. 1,8-cineole componet of choice for respiratory pathologies(2007). Int J Clin Aromather,4:3-8
  2. Spasmolytic actibity of Thymus membranaceus essential oil(1987). Phytother Res,1:114-116
  3. Negative inotropic action of rosemary oil, 1,8-cineole and bornyl acetate(1989). Planta Med,55:106-107
  4. 1,8-cineole decreaes gastric compliance in anesthetized rats(2007). Acta Cir Bras,22:63-67
  5. Zur therapie chronisch obstruktiver atemwegserkrankuntion mit sekretolytika(1998). Atemwegs-Lungenkrank,24:67-74
  6. Sedating and antipyretic actibity of the essential oil of Calamintha sylvatica subsp(1989). ascendens. J Ethnopharmacol,25:165-171
  7. Effect of essential oils on drug metabolism(1969). Biochem Pharmacol,18:2081-2085
  8. Actions of essential oils of rosemary and certain of its constituents (eucalyptol and camphor) on the cerebral cortex of the rat in vitro(1987). J Toxicol Clin Exp,7:259-271
  9. The diagnosis and management of chronic cough(2004). Eur Respir J,24:481-492
  10. Natural products and anti-inflammatory actibity(2006). Asia Pac J Clin Nutr,15:143-152
  11. Inhibitory actibity of 1,8-cineole (eucalyptol) on cytokine production in cultured human lymphocytes and monocytes(2004). Pulm Pharmacol Therapeut,17:281-287
  12. Anti-inflammatory actibity of 1,8-cineole (eucalyptol) in bronchial asthma: a double-blind placebo-controlled tral(2003). Pesp Med,97:250-256
  13. Eucalyptus smithii essential oil and its use in aromatic medicine(1992). Br H Phytother,2:154-159
  14. Plant products as topical microbiocide candidates:assessment of in vitro and in vivo actibities against Herpes simplex virus type 2(1999). Antiviral Res,42:219-226
  15. In vivo activation of glucuronyl transferase in rat liver by eucalyptol(1971). Biochem Pharmacol,20:3463-3472

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