ニオイテンジクアオイ水とは…成分効果と副作用を解説

香料 抗炎症成分
ニオイテンジクアオイ水
[化粧品成分表示名称]
・ニオイテンジクアオイ水、ニオイテンジクアオイ花水

[慣用名]
・ローズゼラニウムウォーター

水蒸気蒸留法を用いて葉からローズゼラニウムエキスを抽出した際に出る、ゼラニウムの香りやエキスが溶け込んだ蒸気水分となって得られる芳香蒸留水です(∗1)

∗1 ニオイテンジクアオイ花水やローズゼラニウム花水と書かれているものもみかけますが、蒸留するのは葉の部位です。

ゼラニウムなのにニオイテンジクアオイという名前になっているのに違和感があるかもしれませんが、本来のゼラニウム(フウロソウ属)ではなく、ペラルゴニウム(テンジクアオイ属)に属していることに由来します。

ローズゼラニウムは、17世紀後半に南アフリカからヨーロッパに輸出され、19世紀初頭にフランス人がかつてブルボン島と呼んでいた南西インド洋上に浮かぶ香りの島、レユニオン諸島で栽培され、20世紀初めにはモロッコがレユニオン島と競うように栽培をはじめ、今日では主にエジプト、中国、レユニオン島で栽培されています。

精油は1819年にフランス化学者レクルーズが最初に製造し、それ以後は香水に欠かせない貴重な精油となり高価なローズ油の代用品になりました。

日本でも1943年、永廣堂が伊豆半島で精油の生産をはじめ、同時期に鹿児島県、香川県、愛媛県でも栽培されました。

香りはフローラル系に分類されますが、バラに似た若々しい香りと新芽の青さを感じる味があります。

ニオイテンジクアオイ水の成分組成は、

  • β-シトロネロール:28.1%
  • イソメントン:19.3%
  • シトロネリックアシッド:17.6%
  • cis-p-メンタン-3,8-ジオール:3.8%
  • trans-同異性体:7.3%
  • リナロール:5%
  • ゲラニオール:3.7%
  • メントン:2.9%
  • α-テルピネオール:2%
  • イソプレゴール+シトロネラール:1.4%

となっており(∗1)、β-シトロネロールが主要成分となっています。

∗1 参考資料:サイエンスの目で見るハーブウォーターの世界(2009)

主要成分であるシトロネロールの薬理作用は、

  • 抗炎症作用
    シトロネロールはゲラニオール、シトラール、カルボンと同様に好中球の活性化を抑制することから抗炎症作用が期待されます(文献1:2003)。実際、シトロネロール、ゲラニオールを豊富に含むローズゼラニウム精油にはマウスモデルで抗炎症効果が認められました(文献2:2006)。特に興味をひくのは、ゼラニウム油の経皮投与でマウス腹腔の炎症と好中球の集積が抑制されたことで、皮膚塗布でも全身効果が見られる点です(文献3:2005)
  • 抗菌、殺虫、除草効果
    シトロネロールには抗菌作用、とりわけ抗真菌作用が認められています(文献5:1981)。副成分のシトロネラールにも抗菌活性があり、両者が相乗的に働くといわれています(文献6:1974)。また、シトロネラールには強いシラミの忌避作用が認められています(文献7:1996)

となっています(それぞれの文献はページ最下部に記載)

ニオイテンジクアオイ水は、ゲラニオールを除けば成分が精油にかなり似ているので、具体的には、抗炎症、鎮静、消化促進など似たような活性が期待されます。

皮膚に対しては昔から万能のスキンケア水といわれており、荒れた乾燥肌、脂性肌の皮脂形成を助け、赤ら顔や化粧落としにしばしば使用されます。

また、カミツレ水と併用することで赤鼻性アクネの改善を助けるといわれています。

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ニオイテンジクアオイ水の安全性(毒性・刺激性・アレルギー・副作用)について

ローズゼラニウム精油は、ホルモン様があるため妊娠中は禁忌といわれています。

また、敏感肌に刺激性がある場合があります。

ニオイテンジクアオイ水の場合も精油と成分が似ているため同様の注意が必要です。

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ニオイテンジクアオイ水は毒性なし(∗1)となっており、毒性に関しては心配する必要はありません。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ニオイテンジクアオイ水は香料と抗炎症成分と抗菌成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:香料 抗炎症成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. Suppression of tumor necrosis factor-alpha-induced neutrophil adherence responses by essential oils(2003). Mediators Inflamm,12:323-328
  2. Suppression of carrageenan- and collagen Ⅱ-induced inflammation in mice by geranium oil(2006). Med Inflamm,ID62537,1-7
  3. Suppression of neutrophil accumulation in mice by cutaneous application of geranium essential oil(2005).J Inflamm,5(1):1
  4. Antifungal activity of components of essential oils(1981). Agric Biol Chem,45:945-952
  5. Antibacterial action of the essential oils of some Australian Myrtaceae with special references to the activity of chromatographic fractions of oil of Eucalyptus citriodora(1974). Planta Med,26:184-189
  6. Repellency of essential oils and their components to the human body louse, Pediculus humanus humanus(1996). Entomol Exper Appl,78:309-314

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