ダマスクバラ花エキスとは…成分効果と毒性を解説

香料
ダマスクバラ花エキス
[化粧品成分表示名称]
・ダマスクバラ花エキス

バラ科植物ロサ・ダマスケナ(∗1)(学名:Rosa × damascena)の花からエタノールBG、またはこれらの混液あるいはスクワランで抽出して得られる抽出物植物エキスです。

∗1 ロサ・ダマスケナ(学名:Rosa × damascena)は、ロサ・ガリカ(学名:Rosa gallica)とロサ・フェニキア(学名:Rosa phoenicia)の交雑で得られた雑種であり(文献1:2010)、一般に「ダマスクローズ」の名称で知られています。

ロサ・ダマスケナは、小アジアを原産とし(文献1:2010)、11-13世紀にヨーロッパへ渡来し、古くから香りが良いことからローズウォーターやローズオイルとして香水や化粧料に用いられてきた歴史があり、現在はブルガリア、ペルシア、インドを中心に栽培されています(文献2:2005)

ダマスクバラ花エキスは天然成分であることから、地域、時期、抽出方法によって成分組成に差異があると推察されますが、その成分組成は主に、

分類 成分名称
フラボノイド フラボノール ケルセチン、ケンペロール
テルペノイド モノテルペン シトロネロールゲラニオールリナロール
セスキテルペン ファルネソール

これらの成分で構成されていることが報告されています(文献3:2005;文献4:2007;文献5:2009)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、メイクアップ化粧品、ボディ&ハンドケア製品、スキンケア化粧品、アウトバストリートメント製品、シャンプー製品、ボディソープ製品、ボディ石鹸、洗顔料、洗顔石鹸、ネイル製品、練り香水など様々な製品に汎用されています。

ローズ花香の賦香

ローズ花香の賦香(∗2)に関しては、ダマスクバラ花エキスはローズ香をもつテルペンアルコールのシトロネロールゲラニオールを中心にした華やかさを感じる香りにリナロールやセスキテルペンアルコールのファルネソールなどが加わって高級感のある香気を有していることから(文献6:2012)、ローズ花香を賦香する目的で、メイクアップ化粧品、ボディ&ハンドケア製品、スキンケア化粧品、アウトバストリートメント製品、洗顔料、シャンプー製品、ボディソープ製品などに使用されています。

∗2 賦香(ふこう)とは、香りを付けるという意味です。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2019-2020年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

ダマスクバラ花エキスの配合製品数と配合量の調査結果(2019-2020年)

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ダマスクバラ花エキスの安全性(刺激性・アレルギー)について

ダマスクバラ花エキスの現時点での安全性は、

  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

日光ケミカルズの安全性試験データ(文献7:2020)によると、

  • [ヒト試験] 20人の被検者にダマスクバラ花エキス(スクワラン抽出)原液を24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去後にPII(Primary Irritation Index:皮膚一次刺激性指数)を評価したところ、PIIは0.0であり、この試験物質は皮膚刺激剤ではなかった
  • [ヒト試験] 56人の被検者にダマスクバラ花エキス(スクワラン抽出)原液を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、この試験物質は皮膚感作なしと結論付けられた

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されているため、一般に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

∗∗∗

ダマスクバラ花エキスは香料にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:香料

∗∗∗

文献一覧:

  1. 蓬田 勝之, 他(2010)「現代バラとその香り」におい・かおり環境学会誌(41)(3),164-174.
  2. 北野 佐久子(2005)「ローズ」基本 ハーブの事典,230-234.
  3. A. Schieber, et al(2005)「Flavonol Glycosides from Distilled Petals of Rosa damascena Mill」Verlag der Zeitschrift für Naturforschung C(60)(5-6),379-384.
  4. H. Loghmani-Khouzani, et al(2007)「Essential Oil Composition of Rosa damascena Mill Cultivated in Central Iran」Scientia Iranica(14)(4),316-319.
  5. N. Yassa, et al(2009)「Chemical Composition and Antioxidant Activity of the Extract and Essential oil of Rosa damascena from Iran, Population of Guilan」DARU-Journal of Faculty of Pharmacy(17)(3),175-180.
  6. 長島 司(2012)「ローズ・ダマセナ」ビジュアルガイド精油の化学,142.
  7. 日光ケミカルズ(2020)「NIKKOL アロマスクワラン ローズ」安全性データシート.

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