カミツレ水とは…成分効果と副作用を解説

香料
カミツレ水
[化粧品成分表示名称]
・カミツレ水

[医薬部外品表示名称]
・カモミラ水

水蒸気蒸留法を用いて花からジャーマンカモミールエキスを抽出した際に出る、ジャーマンカモミールの香りやエキスが溶け込んだ蒸気水分となって得られる芳香蒸留水です。

ジャーマンカモミールはヒナギクに似た小さな花をつけ、白い花びらに囲まれた黄色い中心部に薬効成分が含まれています。

カモミールは古代エジプトで薬草としての高い評価を得て、太陽の神々に祈るときに用いたと伝えられています。

現在よく栽培されるカモミールは、1年草のジャーマン種、多年草のローマン種とダイヤーズ種で、精油が薬用に使われるのはジャーマン種とローマン種です。

参考:ローマカミツレ花水の成分効果と副作用を解説

カミツレ水の成分組成は、

  • ビサボロールオキサイドA:75.1%
  • ビサボロールオキサイドB:6%
  • 4-メチルアンゲリシン:6%
  • ボザボレンオキサイド:2.4%

となっており(∗1)、ビサボロールオキサイドAが主要成分で含有濃度57μg/mLです。

∗1 参考資料:サイエンスの目で見るハーブウォーターの世界(2009)

主要成分であるビサボロールオキサイドAの薬理作用は、

  • 抗炎症、鎮痙作用
    ジャーマンカモミール精油は外用では抗炎症作用と創傷治療効果が、内服では平滑筋の鎮痙作用が認められています(文献1:1987;文献2:1992)。マウスを用いた試験で、ジャーマンカモミールは非ステロイド抗炎症剤のベンジダミンに匹敵する抗炎症作用を示し、その作用はアピゲニン、α-ビザボロール、カマズレン、ビサボロールオキサイドAに基づくと報告されています(文献3:1984)。しかしながら、ラットのアジュバンド関節炎、紫外線浮腫などを用いた実験では、ビサボロールオキサイドAの解熱および消炎作用はα-ビサボロールよりかなり弱いことが判明しました(文献4:1979;文献5:1979)。ビサボロールオキサイドAは、モルモット回腸に対して鎮痙作用を示しますが、その強度はα-ビサボロールより弱いです(文献6:1980)
  • 抗菌作用
    α-ビサボロールには中程度の抗菌活性が認められますが、ビサボロールオキサイドAの活性は弱く、スピロエーテル体には中程度の抗真菌活性がありますが、抗細菌活性は弱いと報告されています(文献7:1991)。カミツレ水の抗カンジダ活性と抗白癬菌活性はいずれも弱いことが判明しました。
  • 抗掻痒作用
    興味深いことに、ビサボロールオキサイドAはα-ビサボロールより薬理活性が弱いなかで、皮膚の知覚神経刺激の抑制作用は逆に強くなっています。マウスを用いた実験で、かゆみ発生物質コンパウンド48/80起因の掻痒症にカモミール精油の内服で有効性が認められ、抗ヒスタミン剤と併用するとその効果は顕著に増加しました(文献8:2005)。カモミール成分の中では、ビサボロールオキサイドAの抑制効果が強く、α-ビサボロールは逆に刺激を増幅させます(文献9:2007)。このことがジャーマンカモミール精油の強いかゆみ止め効果につながるため、ビサボロールオキサイドAを主成分とするカミツレ水にもかゆみ止め効果が期待されます。

となっています(それぞれの文献はページ最下部に記載)

ジャーマンカモミールの精油には優れた抗炎症作用、抗アレルギー作用、強力な鎮静作用があり、胃腸の膨満、消化不良、不眠症に用いられます(α-ビサボロールやカマズレンの豊富な精油に限ります)。

肌につけると、皮膚の収れん作用、軟化作用があり、肌のひび割れ、挫傷、虫刺されなどに有効といわれます。

カミツレ水は成分的には精油と近似しており、作用も似ていると思われます。

カミツレ水には抗炎症、抗菌、抗真菌、鎮静作用のほか鎮痙作用に基づく消化管の不調の改善に効果があるといわれています(文献10:2004)

抗炎症作用のある化粧水として、日焼け肌、アレルギー肌、炎症肌、敏感肌、じんましんを発症した肌、ニキビ肌に適しているといわれます(文献10:2004)

保湿効果があるので化粧水に適しており、抗アレルギー作用やかゆみ止め効果が期待されます。

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カミツレ水の安全性(毒性・刺激性・アレルギー・副作用)について

ジャーマンカモミール精油は妊娠初期の人やキク科アレルギーの人は注意が必要です。

高沸点成分のピザイクロスピロエーテルは肝臓のP450酵素の阻害活性が報告され、ほかの薬剤と併用した場合、代謝が遅くなる可能性があります(文献11:2006)

参考までに化粧品毒性判定事典によると、カミツレ水は毒性なし(∗1)となってます。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

カミツレ水は香料にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:香料

∗∗∗

文献一覧:

  1. Effect of chamomile on wound healing-a clinical double-blind study(1987). Z Hautkr,62:67-71
  2. The medicinal use of Matricaria flos(1992). Br J Phytother,2:147-153
  3. Evalution of anti-inflammatory actibity of a chamomile extract topical application(1984). Planta Med,50:359
  4. Pharmacological investigations with compounds of chamomile. New investigations on the antiphlogistic effects of (-)-a-bisabolol and bisabolol oxides(1979). Planta Med,35:125-140
  5. Pharmacolofical investigations with compounds of chamomile on the pharmacology of (-)-a-bisabolol and bisabolol oxides(Review)(1979). Planta Med,35:118-124
  6. Pharmacological investigations with compounds of chamomile. Investigations on the spasmolytic effect of compounds of chamomile and Kamillosan on the isolated guinea pig ileum(1980). Planta Med,39:38-50
  7. Antimicrobial actibity of chamomile oil and its components(1991). Herba Polonica,37:29-38
  8. Antipruritic effect of the single oral administration of German chamomile flower extracts and its combined effect with antiallergic agents in ddY mice(2005). J Ethnopharmacol,101:308-312
  9. ジャーマンカモミールの抗炎症、抗掻痒効果(2007). aromatopia,No.83:10-14
  10. Understanding Hydrolats:The specific hydrosols for aromatherapy(2004). Churchill Livingstone, Elsevier,New York.
  11. Inhibitory effects of the essential oil of chamomile and its major constituents on human cytochrome P450 enzymes(2006). Life Sci,78:856-861

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