乳酸とは…成分効果と毒性を解説

ピーリング成分 抗菌成分 保湿成分
乳酸
[化粧品成分表示名称]
・乳酸

[医薬部外品表示名称]
・乳酸

生物に多く含まれている有機酸で、化粧品原料として用いられる場合は、デンプンなどを基にして発酵させたり、アセトアルデヒドに青酸を作用させる合成法によりつくられる無色~淡黄の液体です。

配合量により肌への働きが大きく異なる成分で、使用目的により配合量が調整されています。

配合量が極端に少ない場合は、殺菌目的で洗浄製品に配合されたり、成分そのものの腐敗菌の繁殖防止など防腐目的で様々な化粧品に使用されます。

配合量が少ない場合は、角層の柔軟剤として主に保湿・柔軟目的の化粧品に配合されます。

配合量の多い場合は、おだやかな角層剥離剤として働くため、ピーリング、収れん、毛穴ケアなどに適しています。

実際にどのような製品に配合されているかというと、海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

乳酸の配合比較調査(1995-2014年)

保湿成分の乳酸Naとは肌への作用がまったく異なるので混同しないように注意してください。

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乳酸の安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

乳酸の現時点での安全性は、皮膚感作性(アレルギー性)および光感作性はほとんどありませんが、pHや濃度に関係なく、皮膚一次刺激性、累積刺激性、スティンギング(刺すような痛み)が生じる可能性があり、また最小限~中等の眼刺激が起こる可能性があるため、注意が必要な成分であると考えられます。

とくに乾燥肌や敏感肌の場合、皮膚刺激が起こりやすいと考えられるので注意してください。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Glycolic Acid,Ammonium,Calcium,Potassium,and Sodium Glycolates,Methyl,Ethyl,Propyl,and Butyl Glycolates,and Lactic Acid,Ammonium,Calcium,Potassium,Sodium,and Tea-Lactates,Methyl,Ethyl,Isopropyl,and Butyl-Lactates,and Luryl,Myristyl,and Cetyl Lactates」(文献1:1998)によると、

  • [ヒト試験] 20人の被検者にpH4.3および4%乳酸を含むローションの一次刺激性試験を実施したところ、一次刺激スコアは0~8の範囲で0.93であり、中等の刺激性と結論付けられた
  • [ヒト試験] 19人および20人の被検者グループにpH3.8~4.3の範囲にわたって6%乳酸を含むローションの一次刺激性試験を実施したところ、一次刺激スコアは0~8の範囲で0.25~1.88であり、非刺激~重大な刺激性まで様々な結論がなされた 各試験結果表
  • [ヒト試験] 20人の被検者グループにpH4.1および4.3で8%乳酸を含むローションの一次刺激性試験を実施したところ、一次刺激スコアは0~8の範囲で0.74および0.70であり、軽度の刺激性と結論づけられた 各試験結果表
  • [ヒト試験] 乳酸の累積刺激に対するpHの影響を調べるために23人の被検者を用いてpH3.5~4.5の範囲にわたって10%,15%および20%濃度の乳酸を含む3つの製剤の14日間累積刺激性試験を実施した。またpH4.2~4.6の範囲で5~12%濃度の乳酸を含む4つの商業的に入手可能な製剤およびpH7.2で2.5%濃度の乳酸を含む製剤も使用した。試験材料0.2mLを各被検者の上背部に24時間(土曜は48時間)2週間にわたって半閉塞パッチ適用し、試験部位を毎日0~4のスケールで評価し、最大刺激スコアは14日間の合計値966として計算された。10%乳酸製剤の累積スコアはpH3.0で590、pH3.5で124、pH4.0で1であった。15%乳酸製剤の累積スコアはpH3.5で78、pH4.0で4、pH4.5で16であった。20%乳酸製剤の累積スコアはpH4.0で10、pH4.5で9であった。乳酸を含む市販製剤の累積スコアは2.5%およびpH7.2で37、5%およびpH4.3で8、8%およびpH4.2で7、12%およびpH4.6で2であった。2.5%およびpH7.2の製剤で得られた37の刺激スコアは36人の被検者のうちの1人の被検者によるものであった(他の被検者のスコアはすべて0であった)
  • [ヒト試験] 乳酸を含む製剤の顔に対するスティンギング(刺すような刺激)を評価するために試験を実施した。これまでの試験の結論としてpHまたは濃度に対する効果の明確な関係は明らかではなかった。30人の被検者(男性15人、女性15人)にスティンギングテストを実施し、0~4のスケールで10秒および2.5分および5分後にスコアリングしたところ、5人の被検者がスティンギングが示された。この5人の被検者はいずれも過去に石けんや化粧品の刺激に悩まされた経験があり、敏感な皮膚に該当すると報告されている
  • [ヒト試験] 剥離した皮膚への影響を調べるため、3人の被検者の頬にスコッチテープをつけてそれを剥がして肌バリアを崩し、発汗15分後に5%乳酸を両頬に塗布したところ、重度の刺すような刺激が皮膚を剥がした側で示されたが、皮膚を剥がした側で刺すような刺激を感じなかった被検者は反対側の頬でかなりの刺すような刺激を示した。剥がした皮膚に対するスティンギングは敏感肌のものよりも反応が早く、一般的に2.5分以内に急速に低下していった
  • [ヒト試験] 41人の女性被検者にpH4.2および6%乳酸を含むローションを6ヶ月使用してもらう臨床試験が行われた。1週間のプレコンディニング期間の後、最初の2週間は毎日1回、それ以降は毎日2回顔にローションを塗布し続けたところ、刺激は報告されず、敏感肌の方でも十分に許容されると結論付けられた(CTFA,1994)

と記載されています。

試験結果では、pHおよび濃度と皮膚刺激に関連は見いだせていませんが、一次刺激および累積刺激の報告がいくつかあり、またスティンギング反応を示す報告もいくつかあるため、pHおよび濃度に関係なく、一次刺激、累積刺激およびスティンギング(刺すような刺激)が起こる可能性があると考えられます。

また、敏感肌の場合は刺激が起こる可能性が高く、刺激の程度も増す傾向にあるため、使用には注意が必要だと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Glycolic Acid,Ammonium,Calcium,Potassium,and Sodium Glycolates,Methyl,Ethyl,Propyl,and Butyl Glycolates,and Lactic Acid,Ammonium,Calcium,Potassium,Sodium,and Tea-Lactates,Methyl,Ethyl,Isopropyl,and Butyl-Lactates,and Luryl,Myristyl,and Cetyl Lactates」(文献1:1998)によると、

  • [動物試験] 3匹のウサギの片眼に85%乳酸の0.6%スキンクリーム0.1mLを適用し、眼はすすがず、眼の刺激性を評価したところ、2日目までは刺激反応が観察されたが3日目に消失したため、最小限の刺激性と結論づけられた(Avon Products Inc.,1995)
  • [in vitro試験] pH3.0~7.52および濃度0.12~8.0%までの乳酸を含む製剤をEytexシステムを用いてin vitro試験にて評価したところ、最小限の刺激から中等の刺激までの範囲が報告された 各試験結果表

と記載されています。

試験結果では、in vitroにおいては濃度依存的に眼刺激度が上がっている傾向もありますが、様々な試験で最小限の刺激性~中等の刺激性の範囲が報告されているため、眼刺激性は最小限~中等の眼刺激が起こる可能性があると考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Glycolic Acid,Ammonium,Calcium,Potassium,and Sodium Glycolates,Methyl,Ethyl,Propyl,and Butyl Glycolates,and Lactic Acid,Ammonium,Calcium,Potassium,Sodium,and Tea-Lactates,Methyl,Ethyl,Isopropyl,and Butyl-Lactates,and Luryl,Myristyl,and Cetyl Lactates」(文献1:1998)によると、

  • [ヒト試験] 99人の被検者を用いて2%,3%,4%および5%乳酸を含む無水エマルションの累積刺激および感作性を評価した。各被検者の肩甲骨間に試験材料0.2mLを週3回3週間にわたって合計10回、24時間半閉塞パッチ適用し、約2週間の休息期間を挟んだ後に同じ試験部位および前腕の未処置部位に解放チャレンジパッチを適用した。適用24および48時間後に試験部位を評価したところ、1人の被検者は2%乳酸製剤を適用して48時間後に最初の試験部位で軽度の紅斑反応を示し、別の1人の被検者は3%製剤で48時間後に軽度の紅斑反応を示した。さらに別の1人の被検者はチャレンパッチの未処置部位で3%,4%および5%乳酸製剤に対して軽度の紅斑反応を示した。これら3人の被検者に再度チャレンジパッチを適用したところ、2%製剤に反応した被検者の未処置部位で24時間後に軽度の紅斑反応が観察されたが48時間後には消失した。反応は弱く一時的かつ臨床的に重要ではないと判断された。3%製剤に反応した被検者の再チャレンジ適用は反応が観察されなかった。3%,4%および5%製剤に反応した被検者の再チャレンジパッチ適用は、24および48時間後に未処置部位で軽度の紅斑反応が観察された。この反応は過敏症によるものであり、おそらく臨床的に重要ではないと判断された。これらの結果から2%,3%,4%および5%乳酸を含む無水エマルションは皮膚刺激および皮膚感作を示すものではないと結論づけた(Consumer Product Testing Co.,1993)
  • [ヒト試験] pH3.9および6%乳酸化粧水、pH4.2および6%乳酸化粧水、pH3.7および10%乳酸クリームの3つの製剤を各27人の被検者を用いてMaximization試験にて感作性を評価したところ、いずれも皮膚感作剤ではないと結論付けられた(CTFA,1995)

と記載されています。

試験結果は共通して皮膚感作性ではないと報告されているため、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

光感作性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Glycolic Acid,Ammonium,Calcium,Potassium,and Sodium Glycolates,Methyl,Ethyl,Propyl,and Butyl Glycolates,and Lactic Acid,Ammonium,Calcium,Potassium,Sodium,and Tea-Lactates,Methyl,Ethyl,Isopropyl,and Butyl-Lactates,and Luryl,Myristyl,and Cetyl Lactates」(文献1:1998)によると、

  • [ヒト試験] pH4.2および6%乳酸を含む化粧水の光感作性を25人の被検者を用いて評価したところ、照射部位または非照射部位で増感反応は生じなかった(CTFA,1994)

と記載されています。

試験結果では、光感作性なしと報告されているため、光感作性はないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
乳酸 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、乳酸は毒性なし(∗2)となっていますが、pHおよび濃度と関連なく皮膚刺激、累積刺激、スティンギングなどの皮膚刺激を起こす可能性があるため、注意が必要な成分であると考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

乳酸はピーリング成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ピーリング成分 抗菌成分 保湿成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(1998)「Final Report on the Safety Assessment of Glycolic Acid,Ammonium,Calcium,Potassium,and Sodium Glycolates,Methyl,Ethyl,Propyl,and Butyl Glycolates,and Lactic Acid,Ammonium,Calcium,Potassium,Sodium,and Tea-Lactates,Methyl,Ethyl,Isopropyl,and Butyl-Lactates,and Luryl,Myristyl,and Cetyl Lactates」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/109158189801700101> 2018年3月1日アクセス.

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