サリチル酸とは…成分効果と毒性を解説

ピーリング成分 抗菌成分 育毛剤
サリチル酸
[化粧品成分表示名称]
・サリチル酸

殺菌防腐作用および角質溶解作用を有する薬物で、白色の針状結晶または結晶性の粉末です。

アルコールや熱湯に溶け、水には溶けにくい成分です。

医薬品ではイボやウオノメを除去する目的で、食品では防腐剤で、化粧品では古い角層をとるピーリング剤として広く使用されていましたが、最近は以前ほど使用されていません。

配合量によって肌への働きが変わってくるのですが、旧指定表示成分のため化粧品の配合上限は0.2%となっており、化粧品に配合される場合は、雑菌の繁殖を防ぎ、硬くゴワついた角層を柔軟にする目的でピーリング製品に使用されたり、比較的軽度なニキビにも有効であるためニキビ用化粧品にも使用されたり、育毛トニックなどにも使用されます。

実際にどのような製品に配合されているかというと、海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

サリチル酸の配合比較調査(1998-2000年)

サリチル酸はポジティブリストに分類されているため配合上限があり、以下のような配合基準となっています。

粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流すもの 0.2g/100g
粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流さないもの 0.2g/100g
粘膜に使用されることがある化粧品 0.2g/100g

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サリチル酸の安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

サリチル酸の現時点での安全性は、化粧品の配合範囲において、酸性度が高くなければ皮膚刺激はほとんどなく、眼刺激性はデータ不足により詳細不明ですが、皮膚感作(アレルギー)の報告もなく、また光毒性および光感作性もないため、安全性に問題のない成分であると考えられます。

ただし、酸性度が高い場合(pHがかなり低い場合)や皮膚炎を有している場合、乾燥肌および敏感肌の場合は皮膚刺激が起こる可能性が考えられるので注意が必要です。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Salicylic Acid, Butyloctyl Salicylate, Calcium Salicylate, 02-15 Alkyl Salicylate, Capryloyl Salicylic Acid, Hexyldodecyl Salicylate, Isocetyl Salicylate, Isodecyl Salicylate, Magnesium Salicylate, MEA-Salicylate, Ethylhexyl Salicylate, Potassium Salicylate, Methyl Salicylate, Myristyl Salicylate, Sodium Salicylate, TEA-Salicylate, and Tridecyl Salicylate」(文献1:2003)によると、

  • [ヒト試験] 27人の被検者(男性15人、女性12人)を用いて2%サリチル酸を含むゲルの累積刺激性を評価した。各被検者の背中に試験物質0.2gを週3回2週間にわたって合計6回、48時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去後に試験部位を0~4のスケールで毎回スコアリングした。すべての被検者の6回分のスコアを合計したところ2%サリチルさんを含むゲルの総刺激スコアは14.5であり、最小限の累積刺激を生じたと結論づけた(Harrison Research Laboratories Inc.,1993)
  • [ヒト試験] 27人の被検者を用いて1.5%サリチル酸を含むフェイスクリームの累積刺激性を評価した。各被検者の背中に試験物質0.2gを24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去時に試験部位をスコアリングし、同じ試験部位に新しいパッチを適用する手順を21日間繰り返したところ、1.5%サリチル酸を含むフェイスクリームは軽度の刺激に分類された(TKL Research, Inc.,1998a)
  • [ヒト試験] 27人の被検者を用いて1.5%およびpH2.78のサリチル酸を含むフェイシャルクリームおよび0.02%およびpH3.5のサリチル酸を含むスキンケアローションの累積刺激性を評価した。クリームは閉塞および半閉塞パッチ下で適用され、ローションは半閉塞パッチ下で適用された。閉塞パッチ下の1.5%サリチル酸を含むクリームは合計刺激スコア125.0および正規化刺激スコア45.7であった。半閉塞パッチ下の1.5%サリチル酸を含むクリームは合計刺激スコア45.0および正規化刺激スコア16.5であった。両方の試験条件下でこのクリームは有意な刺激を生じないと結論づけられた。0.02%サリチル酸を含むローションは合計刺激スコア50.0および正規化刺激スコア18.3であり、有意な刺激を生じないと結論づけられた(TKL Research, Inc.,1998b)
  • [ヒト試験] 上記の同じ手順で28人の被検者を用いて1.5%およびpH2.78サリチル酸を含むフェイスクリームの累積刺激性を評価した。各被検者に試験物質を閉塞および半閉塞パッチ下で適用した。閉塞パッチを使用した試験物質の合計刺激スコアは381.0および正規化刺激スコア132.0であり、わずかに刺激性があると判断された。半閉塞パッチを使用した試験物質の合計刺激スコアは69.0および正規化刺激スコア23.9であり、有意な刺激を生じないと判断された(TKL Research, Inc.,1998c)

と記載されています。

試験結果では、1.5%濃度およびpH2.78では刺激範囲は有意な皮膚刺激なし~わずかな刺激が起こる可能性ありまで報告されていますが、0.02%濃度およびpH3.5では皮膚刺激なしと報告されており、また配合上限が0.2%となっているため、pHの酸性度が強い場合は皮膚刺激が起こる可能性も考えられますが、配合範囲内においてPh濃度が穏やかな酸性に調整されている場合において皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

ただし、皮膚炎を有している場合や乾燥肌および敏感肌の場合は、刺激が起こる可能性が考えられるので注意が必要です。

眼刺激性について

高い濃度の試験結果や安全データはみつかっており、基本的には濃度依存滴に刺激性は増していきますが、化粧品に配合される範囲内での試験結果や安全データはみあたらなかったため、データ不足により詳細は不明です。

皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Salicylic Acid, Butyloctyl Salicylate, Calcium Salicylate, 02-15 Alkyl Salicylate, Capryloyl Salicylic Acid, Hexyldodecyl Salicylate, Isocetyl Salicylate, Isodecyl Salicylate, Magnesium Salicylate, MEA-Salicylate, Ethylhexyl Salicylate, Potassium Salicylate, Methyl Salicylate, Myristyl Salicylate, Sodium Salicylate, TEA-Salicylate, and Tridecyl Salicylate」(文献1:2003)によると、

  • [ヒト試験] 25人の被検者にサリチル酸のMaximization皮膚感作試験を実施した。濃度はそれぞれ誘導期間20%およびチャレンジ期間10%。で実施したところ、いずれの被検者も感作されなかった(Kligman,1966)
  • [ヒト試験] 2%サリチル酸を含む保湿クリームまたはローションの感作性を評価するために2回の反復傷害パッチ試験(RIPT)をそれぞれ114人または99人の被検者を用いて実施した。各被検者の背中に試験物質0.5gを閉塞パッチ適用し、48~72時間ごとにこの手順を繰り返し合計9回適用した。2週間の無処置期間の後に未処置部位に24時間チャレンジパッチを適用し、パッチ除去48および72時間後に評価したところ、誘導期間において唯一疑わしい反応としてほとんど知覚できない紅斑と浮腫を伴わない明確な紅斑が観察されたが、チャレンジ期間においては反応は観察されず、この試験物質は増感剤ではなかった(TKL Research, Inc.,1993a,1993b,1993c)
  • [ヒト試験] 193人の被検者の背中に誘導期間において2%サリチル酸を含むゲル0.2gを週3回3週間にわたって合計9回、24時間閉塞パッチ適用し、試験部位はパッチ除去24または48時間後にスコアリングした。2週間の無処置期間を経た後に未処置部位に24時間チャレンジパッチを適用し、パッチ適用48,72および96時間後に試験部位をスコアリングした。誘導期間において193人のうち5人の被検者は最小限の紅斑が観察され、チャレンジ期間においては7人の被検者が最小限の反応を示したが、2%サリチル酸を含むゲルは感作剤ではないと結論付けられた(HRL,1993)
  • [ヒト試験] 198人の被検者に上記と同様の手順で2%%サリチル酸を含むゲルの感作性を再び評価したところ、誘導期間において2人の被検者は最小限の反応を示し、チャレンジ期間では5人の被検者が最小限の反応を示したが、2%サリチル酸を含むゲルは再び感作剤ではないと結論付けられた(HRL,1997)

と記載されています。

試験結果は共通して皮膚感作剤ではないと報告されているため、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

光毒性および光感作性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Salicylic Acid, Butyloctyl Salicylate, Calcium Salicylate, 02-15 Alkyl Salicylate, Capryloyl Salicylic Acid, Hexyldodecyl Salicylate, Isocetyl Salicylate, Isodecyl Salicylate, Magnesium Salicylate, MEA-Salicylate, Ethylhexyl Salicylate, Potassium Salicylate, Methyl Salicylate, Myristyl Salicylate, Sodium Salicylate, TEA-Salicylate, and Tridecyl Salicylate」(文献1:2003)によると、

  • [ヒト試験] タイプⅠ~Ⅲの皮膚を有する10人の被検者(男性5人、女性5人)を用いて2%サリチル酸を含むクリームの光毒性を評価した。各被検者の腰部に15~30分乾燥させたクリーム0.2gの閉塞パッチを適用し、同様の方法で親水性軟膏で処理した第3の部位を対照とした。適用から24時間後に試験パッチおよび対照の1つを除去し、UVA(320~400nm)の20J/c㎡を照射した。次いで第2のパッチを覆って未照射処理対照とした。部位は各適用後および照射の24および48時間後に評価したところ、光毒性は観察されず、2%サリチル酸を含むクリームは検出可能な光毒性の可能性を示さないと結論づけた(Ivy Laboratories,1993a;HRL,1993a)
  • [ヒト試験] 25人の被検者(男性8人、女性17人)を用いて2%サリチル酸を含むクリームの光感作性を評価した。各被検者の腰部に15~20分空気乾燥させた試験試料100mgを24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去後にUV反射ダイクロイックミラーと厚さ1mmのSchott WG-320フィルター(290~400nm)を備えた150Wコンパクトソーラーシミュレーターから3MED(最小紅斑線量)を照射し、照射48時間後にパッチを再適用し、この手順を週3回3週間にわたって繰り返した。10日間の無処置期間を設けた後に未処置部位に25mg/c㎡を24時間閉塞チャレンジパッチを適用した。次いで1つのパッチを除去し、その部位に4J/c㎡のUVAを照射した。第2の部位は未照射対照とした。UVA照射48および72時間後に試験部位を評価したところ、異常な反応は認められず、2%サリチル酸を含むクリームは光感作性を示さないと結論づけた(Ivy Laboratories,1993b)
  • [ヒト試験] HRL(1993a)と同じ手順に従って2%サリチル酸を含むゲルの光毒性試験を10人の被検者(男性2人、女性8人)を用いて実施した。ただし、部位は17分間照射し、照射24,48および72時間後に評価した。1人の被検者は照射および未照射の両方の試験部位で最小限の紅斑反応を示したが、2%サリチル酸を含むゲルは光毒性ではないと結論づけた(HRL,1993b)

と記載されています。

試験結果は共通して光毒性および光感作性なしと報告されているため、光毒性および光感作性はないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
サリチル酸

参考までに化粧品毒性判定事典によると、サリチル酸は■(∗2)となっていますが、配合上限が0.2%までと決められており、これは裏を返せば配合範囲内であれば安全性が高いことが明らかになっていることでもあり、基本的には安全性に問題ないと考えられます(ただし、pHによります)。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

サリチル酸はピーリング成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ピーリング成分 抗菌成分

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文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2003)「Safety Assessment of Salicylic Acid, Butyloctyl Salicylate, Calcium Salicylate, 02-15 Alkyl Salicylate, Capryloyl Salicylic Acid, Hexyldodecyl Salicylate, Isocetyl Salicylate, Isodecyl Salicylate, Magnesium Salicylate, MEA-Salicylate, Ethylhexyl Salicylate, Potassium Salicylate, Methyl Salicylate, Myristyl Salicylate, Sodium Salicylate, TEA-Salicylate, and Tridecyl Salicylate」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/1091581803022S303> 2018年3月7日アクセス.

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