グリコール酸とは…成分効果と毒性を解説

ピーリング成分
グリコール酸
[化粧品成分表示名称]
・グリコール酸

[医薬部外品表示名称]
・グリコール酸

自然界ではサトウキビ、ブドウの実や葉などに含まれている有機酸で、化粧品原料としてはクロロ酢酸またはアミノ酸のグリシンに亜硫酸を作用させて得られる水に溶けやすい白色の結晶または結晶性粉末です。

角質の柔軟効果や除去作用があり、乾燥などでザラついた肌を滑らかに整えるピーリング目的の化粧品に配合されます。

近年では、ケミカルピーリング剤として古くなった角質を強制的に剥がし、新しい皮膚の再生を促すために医療で使われる場合も増えている成分です。

実際にどのような製品に配合されているかというと、海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

グリコール酸の配合比較調査(1995-2014年)

2016年7月1日に厚生労働省からの「毒物及び劇物指定令の一部改正について」により、グリコール酸およびこれを含有する製剤(ただし、グリコール酸3.6%以下を含有するものを除く)が劇物に指定されました(文献2:2016)

スポンサーリンク

グリコール酸の安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

グリコール酸の現時点での安全性は、3.6%以下において、眼刺激性はほとんどなく、皮膚感作(アレルギー)もほとんどなく、光毒性および光感作の報告もありませんが、基本的にpHが低いほど(酸性度が高いほど)皮膚一次刺激および累積刺激のリスクが増し、またpHや濃度と関連なくスティンギング(刺すような痛み)が起こる可能性があるため、注意が必要な成分であると考えられます。

とくに乾燥肌や敏感肌の場合、皮膚刺激が起こりやすいと考えられるので注意してください。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Glycolic Acid,Ammonium,Calcium,Potassium,and Sodium Glycolates,Methyl,Ethyl,Propyl,and Butyl Glycolates,and Lactic Acid,Ammonium,Calcium,Potassium,Sodium,and Tea-Lactates,Methyl,Ethyl,Isopropyl,and Butyl-Lactates,and Luryl,Myristyl,and Cetyl Lactates」(文献1:1998)によると、

  • [ヒト試験] 各20人の被検者を用いて2%グリコール酸を含むクリームまたはローション(pH3.7~pH4.0)の一次刺激性を評価したところ、0~4のスケールで0.63~0.78であり、すべて軽度の皮膚刺激性であった
  • [ヒト試験] 各19人または20人の被検者を用いて4%グリコール酸を含むクリームまたはローション(pH3.7~pH4.0)の一次刺激性を評価したところ、0~4のスケールで0.28~1.60であり、試験結果は無刺激が3回、わずかな皮膚刺激が4回、軽度の皮膚刺激が3回、中等の皮膚刺激が15回、重度の皮膚刺激が1回であった 各試験結果表
  • [ヒト試験] 各19人または20人の被検者を用いて8%グリコール酸を含むクリームまたはローション(pH3.6~pH4.0)の一次刺激性を評価したところ、0~4のスケールで0.45~1.53であり、試験結果はわずかな皮膚刺激が1回、軽度の皮膚刺激が1回、中等の皮膚刺激が5回、重度の皮膚刺激が1回であった 各試験結果表
  • [ヒト試験] 各20人の被検者を用いて10%グリコール酸を含むクリームまたはローション(pH3.6~pH3.9)の一次刺激性を評価したところ、0~4のスケールで0.53~1.25であり、試験結果は軽度の皮膚刺激が2回、中等の皮膚刺激が2回であった 各試験結果表
  • [ヒト試験] 21人の被検者を用いて9%および13%グリコール酸を含むクリームと8%および13%グリコール酸を含むローションの14日間累積刺激試験が実施された。なおpHはすべて3.25、3.80および4.40であった。8%グリコール酸の累積刺激スコアはpH4.40、3.80、3.25の順でそれぞれ1/882、49/882、119/882であり、グリコール酸の刺激はpHによって調整され、濃度依存性ではないようであると示唆された(DiNardo,1994)
  • [ヒト試験] 23人の被検者を用いて累積刺激に対する製剤のpHの影響を調べるためにpH2.0,2.5,3.0,3.25,3.8および4.4で10%グリコール酸製剤の14日間累積刺激試験が実施された。またpH3.8の15%および20%グリコール酸製剤およびpH2.4~3.6で5~9%グリコール酸を含む4つの製剤も使用された。各試験製剤0.2mLを各被検者の上腰部に1週間にわたって毎日24時間反閉塞パッチ適用し、パッチ除去後に0~4のスケールで試験部位を評価し、各日の刺激スコアの合計によって累積スコア計算した。10%製剤では最大累積スコア966のうちpH2.76で768、pH2.5で746、pH3.0で631、pH3.25で404、pH3.8で38、pH4.4で18であった。pH3.8の15%および20%グリコール酸製剤の累積スコアはそれぞれ14および37であった。商業的に入手可能なグリコール酸配合物では5%濃度およびpH2.4で770、9%およびpH3.25で481、8%およびpH3.6で258、8%およびpH3.6で148であった。これらの結果からグリコール酸の含有量や成分の組み合わせとは対照的に製品のpHが累積刺激性の主要な要因と思われると結論づけた(DiNardo,1995)各試験結果表
  • [ヒト試験] 18人の被検者を用いてpH3.8~4.0のグリコール酸を含む8つのクリームの21日間累積刺激試験を実施した。各被検者の背中に試験物質を毎日24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去後に毎日スコアリングした。陽性対照として0.1%ラウリル硫酸ナトリウムおよび生理食塩水を2つの部位に適用した。4%グリコール酸を含む2つのクリームでは57.4および93.1の合計スコアが得られ、これらのクリームは通常の使用ではおそらく軽度の刺激性であると分類された。8%グリコール酸を含む2つのクリームでは225.2および267.8の合計スコアが得られ、これらのクリームは通常の使用ではおそらく軽度の刺激性であると分類された(Hill Top Research,1994)
  • [ヒト試験] 20人の女性被検者に10%グリコール酸(pH3.8)を含むローションを14日間、毎日2回、腕、手および脚に適用したところ、3人の被検者は湿疹の病歴を有しており、最終日に以下の反応を示した。1人の被検者は左前腕外側に軽度の紅斑を示し、別の1人の被検者は左右の前腕に軽度の紅斑を示し、残りの1人の被検者は右前腕に小さな紅斑を示し、左足首の上に9個の小さな脱毛した丘疹を示した。さらに5人の被検者は剃毛したての脚に適用したときにかなりのスティンギング(刺すような刺激)を経験した(CTFA,1991)
  • [ヒト試験] 5%までの乳酸水溶液に中等の刺激性を示した20人の女性被検者の頬に1.5%グリコール酸を含むローションのスティンギング(刺すような痛み)試験を実施した。スティンギングは適用10秒後および2,5および8分で評価したところ、4人の被検者は中等の刺激反応を示し、スティンギング反応の可能性を示すと結論付けられた(Consumer Product Testing Co.,1993)

と記載されています。

試験結果では、pHが低い(酸性度が高い)ほど、一次刺激性および累積刺激性が高くなり、またスティンギング反応を示す報告もいくつかあるため、皮膚刺激性はpHが低い(酸性度が高い)ほど刺激度は高くなり、また濃度およびpHに関係なくスティンギング(刺すような刺激)が起こる可能性があると考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Glycolic Acid,Ammonium,Calcium,Potassium,and Sodium Glycolates,Methyl,Ethyl,Propyl,and Butyl Glycolates,and Lactic Acid,Ammonium,Calcium,Potassium,Sodium,and Tea-Lactates,Methyl,Ethyl,Isopropyl,and Butyl-Lactates,and Luryl,Myristyl,and Cetyl Lactates」(文献1:1998)によると、

  • [動物試験] ウサギの眼の角膜に4%グリコール酸(pH3.8~4.0)0.1mLを滴下し、15秒後に眼をすすぎ、滴下24,48および72時間後に眼を評価したところ、24時間で最大眼刺激スコア110のうち0.0であり、無刺激であった(TML,1994)
  • [動物試験] ウサギの眼の角膜に8%グリコール酸(pH3.8~4.0)0.1mLを滴下し、15秒後に眼をすすぎ、滴下24,48および72時間後に眼を評価したところ、24時間で最大眼刺激スコア110のうち2.0であり、無刺激であった(TML,1994b)
  • [動物試験] ウサギの眼の角膜に8%グリコール酸(pH3.8~4.0)0.1mLを滴下し、眼はすすがず、滴下24,48および72時間後に眼を評価したところ、24時間で最大眼刺激スコア110のうち3.3であり、最小限の眼刺激性であった(TML,1994c)
  • [動物試験] ウサギの眼に1~18%および24%グリコール酸0.1mLを眼に滴下し、24%濃度では眼をすすがず、評価したところ、1~18%濃度で軽度の眼刺激が観察され、24%濃度では重度の眼刺激が観察された(Haskell lab,1990)

と記載されています。

試験結果では、pH3.8~4.0で4%濃度で無刺激性、8%濃度までで無刺激から最小限の眼刺激性と報告されているいますが、2016年7月より3.7%以上のグリコール酸は厚生労働省により劇物に指定されているため、pH3.8~4.0で化粧品に使用される範囲内で、眼刺激性はほとんど無刺激であると考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Glycolic Acid,Ammonium,Calcium,Potassium,and Sodium Glycolates,Methyl,Ethyl,Propyl,and Butyl Glycolates,and Lactic Acid,Ammonium,Calcium,Potassium,Sodium,and Tea-Lactates,Methyl,Ethyl,Isopropyl,and Butyl-Lactates,and Luryl,Myristyl,and Cetyl Lactates」(文献1:1998)によると、

  • [ヒト試験] 28人の被検者にシクロデキストリンで処理した50%グリコール酸の2.5%水溶液(pH2.2)を誘導期間において半閉塞パッチで反復適用(RIPT)し、2週間の無処置期間を設けた後に47時間チャレンジパッチを適用した。試験部位を各誘導期間の72および96時間後およびチャレンジ適用の48および96時間後に評価したところ、大部分の被検者が誘発時に非常に強い刺激反応を示し、チャレンジ時の刺激は誘発時よりも強く、持続性があり、また感作性を示唆すると結論づけた。疑わしい反応を示した9人の被検者に再試験として2.5%製剤でpH5.16を用いて48時間パッチを10回適用したところ、1人の被検者が感作反応を示し、他の9人の被検者は感作反応を示さなかったが、刺激反応を示した(RTC,1996)
  • [ヒト試験] グリコール酸を含む製品の刺激性および感作性を評価するために誘導期間において0.2mLまたは0.2gを被検者の背中に閉塞パッチ下で24時間適用を週3回3週間にわたって合計10回行ない、10日間の無処置期間を経て、同じ試験部位にチャレンジパッチを適用し、パッチ除去24および48時間後に試験部位を評価したところ、ほぼすべての被検者で陰性でした(Consumer Product Testing Co.,1993)
  • [ヒト試験] グリコール酸を含む化粧品処方物の感作性を評価するために誘導期間において0.5%ラウリル硫酸ナトリウム0.1mLを被検者の背中、上腕外側、前腕手のひら側に24時間閉塞パッチ適用し、24時間後にパッチ除去し、グリコール酸製剤0.1mLを同じ部位に48または72時間閉塞パッチ適用し、この手順を合計5回繰り返した。10日間の無処置期間を設けた後に前処置として10%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液0.1mLを未処置部位に1時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去後にその部位にグリコール酸製剤を48時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去1および24時間後に試験部位を評価したところ、陰性であった(CTFA,1995)

と記載されています。

ほとんどの試験結果が陰性の報告であるため、化粧品に配合される通常の範囲内において、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

光毒性および光感作性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Glycolic Acid,Ammonium,Calcium,Potassium,and Sodium Glycolates,Methyl,Ethyl,Propyl,and Butyl Glycolates,and Lactic Acid,Ammonium,Calcium,Potassium,Sodium,and Tea-Lactates,Methyl,Ethyl,Isopropyl,and Butyl-Lactates,and Luryl,Myristyl,and Cetyl Lactates」(文献1:1998)によると、

  • [ヒト試験] 25人の被検者に4%および5%グリコール酸(pH3.7および3.9)を含むクリームの光感作性を評価した。誘導期間において各被検者の腰部に試験物質を24時間適用し、パッチ除去の際に部位をキセノンアークシミュレーター(150W)からの3つのMED(最小紅斑線量)を照射し、この手順を週2回3週間にわたって繰り返した。10~14日の無処置期間の後、2箇所の未処置部位に試験物質を閉塞パッチ適用し、1つのパッチを除去し、Schott WG-345フィルターを用いてUVAを照射し、もう片方の部位は照射せず対照とし、試験部位をUVA照射48および72時間後に評価したところ、いずれのグリコール酸クリームも照射の有無にかかわらず、感作反応を起こさなかった(CTFA,1994)
  • [ヒト試験] 26人の被検者を用いて~1.5%グリコール酸を含む製品の光アレルギーを評価した。各被検者のMED(最小紅斑線量)はUVAおよびUVBの範囲で連続的な発光スペクトルを生成するキセノンアークランプ(150W)が用いられた。誘導期間において試験製剤0.2mLを2箇所に24時間適用し、パッチ除去後に1つの部位をキセノンアークランプで2つのMEDに照射し、この手順を週2回3週間にわたって繰り返した。約2週間の未処置期間を設けた後に腰部の未処置部位2箇所に試験物質を24時間適用し、パッチ除去後に1箇所をUVAライトで3分間照射し、もう片方は照射せず対照とし、照射部位を照射24,48および72時間後に評価したところ、約1.5%グリコール酸を含む製剤は光アレルギー反応を示す応答を誘導しなかった(Consumer Product Testing Co.,1994)
  • [ヒト試験] 10人の被検者の背中2箇所に4%グリコール酸(pH3.7)を含むクリーム50μLを24時間閉塞パッチ適用し、24時間後に1つのパッチを除去し、すぐに30J/c㎡のUVAライトを試験部位に照射した。もう1箇所は対象部位とした。照射24および48時間後に反応を評価したところ、4%グリコール酸を含むクリームは光毒性ではなかった(CTFA,1994)

と記載されています。

試験結果では、共通して光毒性および光感作性なしと報告されているため、光毒性および光感作性はないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
グリコール酸 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、グリコール酸は毒性なし(∗2)となっていますが、2016年7月には厚生労働省により3.7%以上のグリコール酸が劇物に指定されているため、3.6%以下で化粧品に配合される範囲においてはpHによっては皮膚刺激を起こす可能性はありますが、適切な処方で配合されれば安全性に問題はないと考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

グリコール酸はピーリング成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ピーリング成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(1998)「Final Report on the Safety Assessment of Glycolic Acid,Ammonium,Calcium,Potassium,and Sodium Glycolates,Methyl,Ethyl,Propyl,and Butyl Glycolates,and Lactic Acid,Ammonium,Calcium,Potassium,Sodium,and Tea-Lactates,Methyl,Ethyl,Isopropyl,and Butyl-Lactates,and Luryl,Myristyl,and Cetyl Lactates」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/109158189801700101> 2018年3月1日アクセス.
  2. 厚生労働省(2016)「毒物及び劇物指定令の一部改正について」, <http://www.nihs.go.jp/mhlw/chemical/doku/tuuti/H280701/20160701tuuti.pdf> 2018年3月1日アクセス.

スポンサーリンク

TOPへ