角質剥離成分の解説と成分一覧

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角質剥離成分

角質剥離成分とは、

  1. 角質の溶解
  2. 角質の分解

主にこれらの作用のいずれかを有する成分のことをいいます。

皮膚最外層である表皮は、以下の表皮構造図をみてもらうとわかりやすいと思いますが、

表皮細胞の新陳代謝(ターンオーバー)の仕組み

表皮細胞は、角化細胞(ケラチノサイト)とも呼ばれ、表皮最下層である基底層で生成された一個の角化細胞は、その次につくられた、より新しい角化細胞によって皮膚表面に向かい押し上げられていき、各層を移動していく中で有棘細胞、顆粒細胞と分化し、最後にはケラチンから成る角質細胞となり、角質層にとどまったのち、角片(∗1)として剥がれ落ちます(文献1:2002)

∗1 角片とは、体表部分でいえば垢、頭皮でいえばフケを指します。

この表皮の新陳代謝は一般的にターンオーバーと呼ばれ、正常なターンオーバーによって皮膚は新鮮さおよび健常性を保持しています(文献2:2002)

一方で、表皮のターンオーバーは様々な要因によって遅れることがあり、ターンオーバーが遅れると、剥がれ落ちるべき角質細胞が残ったままの状態となり、次第に角質層の異常堆積(∗2)が起こり、ターンオーバーのサイクルが狂いはじめます(文献3:2002)

∗2 堆積とは、幾重にも積み重なることをいいます。

その結果として、以下の皮膚の表面(皮表)の構造をみてもらうとわかりやすいと思いますが、

皮表の構造

角層が生理的範囲を超えて肥厚し、部分的に皮膚が硬くなり、皮丘と皮溝の高低差が増し、キメが粗くなる過角化(角質肥厚:ハイパーケラトーシス)と呼ばれる症状が現れます(文献3:2002;文献4:2018)

過角化(角質肥厚:ハイパーケラトーシス)のような症状を改善するためには、古い角質を除去し、表皮の新陳代謝(ターンオーバー)を促進・正常化する必要があり、角質剥離作用をもつ成分が効果を発揮すると考えられます。

また、ニキビ(尋常性ざ瘡)(∗3)においても角質剥離成分が効果を発揮することが知られていますが、まず前提知識としてニキビの種類および重症度について解説します。

∗3 ざ瘡とは、毛を包んでいる毛包と呼ばれる細長い管に生じる様々な炎症を伴った症状の総称であり、尋常性ざ瘡とはニキビの学術的な名称であり、いろいろなざ瘡の中で最も一般的な標準型という意味です(文献5:2002)。

以下のニキビの種類・重症度図をみるとわかりやすいと思いますが、

ニキビの種類・重症度

ニキビは、毛包漏斗部(毛穴開口部)が過剰な皮脂分泌によって硬くなったり、角質細胞と脂質の混合物が詰まることによってせばめられ、毛包内に皮脂が貯留している状態である微小面皰を形成することから進行していき、さらに毛穴が閉じて皮脂の貯留が増えていくと面皰(∗4)として、

∗4 面皰(めんぽう)はコメド(comedo)とも呼ばれ、脂腺性毛包において脂腺の活動性の亢進から皮脂の分泌が増加し、毛包漏斗部の角化亢進により皮脂の毛包内貯留をきたした状態を指します。炎症は起こしていない状態であり、毛穴開口部が閉じた閉鎖面皰(白色面皰:白ニキビ)と毛穴が開大した開放面皰(黒色面皰:黒ニキビ)に分けられます(文献5:2002)。微小面皰は面皰の前段階であり、皮疹としては認識できない程度の毛包内皮脂貯蔵に伴う病理組織学的な変化を指します(文献6:2017)。

重症度一般名称学術名称炎症性状態
軽度



重度
白ニキビ閉鎖面皰非炎症性正常の皮膚色で白っぽくポツンとできて毛穴が閉じている面皰であり、非炎症性で面皰の内容物はまだ外気に触れていない
黒ニキビ開放面皰貯留している皮脂が毛穴を押し拡げて毛穴が開き、外に出て空気中の汚れなどの付着と皮脂の酸化がみられると、面皰の先端部(毛穴の開口部)が黒っぽくなる
赤ニキビ紅色丘疹炎症性面皰の内容物のうち、皮脂成分による毛包への刺激と細菌による作用により、毛包周囲に炎症が誘導され、炎症性丘疹が起こる
黄ニキビ膿疱紅色丘疹が毛包周囲の組織にまで進行し、好中球などの白血球が浸潤して化膿を起こす

このように重症化していくことが知られています(文献5:2002;文献6:2017;文献7:2016)

ニキビ(尋常性ざ瘡)においては、面皰ができる軽度の段階で面皰頭部を開口し、面皰の内容物を外部に排出する目的で角質剥離成分が用いられています(文献8:2001)

美容医療分野においてはケミカルピーリング技術が確立しており、医師の立ち会いのもとで比較的角質剥離作用を強くした処方の製剤が使用されますが、化粧品分野においては一般にケミカルピーリングに使用される成分であってもpHや濃度を調整し、安全性を考慮した穏やかな効果となるように設計されています。

∗∗∗

文献一覧:
  1. 朝田 康夫(2002)「表皮を構成する細胞は」美容皮膚科学事典,18.
  2. 朝田 康夫(2002)「角質層のメカニズム」美容皮膚科学事典,22-28.
  3. 朝田 康夫(2002)「異常角化現象とは」美容皮膚科学事典,134-135.
  4. 清水 宏(2018)「過角化(角質増殖/角質肥厚/角質増生)」あたらしい皮膚科学 第3版,41-42
  5. 朝田 康夫(2002)「ニキビができるメカニズム」美容皮膚科学事典,213-220.
  6. 林 伸和, 他(2017)「尋常性ざ瘡治療ガイドライン2017」日本皮膚科学会雑誌(127)(6),1261-1302.
  7. 日光ケミカルズ(2016)「にきびケア剤」パーソナルケアハンドブックⅠ,579-585.
  8. 光井 武夫(2001)「にきび用薬剤」新化粧品学 第2版,173-175.

角質剥離成分一覧

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