アルミナの基本情報・配合目的・安全性
化粧品表示名 | アルミナ |
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医薬部外品表示名 | 酸化アルミニウム |
部外品表示簡略名 | 酸化Al |
INCI名 | Alumina |
配合目的 | パール光沢、表面改質 など |
1. 基本情報
1.1. 定義
1.2. 物性・性状
アルミナの物性・性状は、
状態 | 白色の板状粉末 |
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粒径(μm) | 3-30 |
溶解性 | 水に不溶 |
1.3. 分布
アルミナは、自然界において鉱石の一種であるボーキサイトの主要成分として存在しています[4]。
2. 化粧品としての配合目的
- パール光沢付与
- 粉体の表面改質
主にこれらの目的で、メイクアップ製品、ネイル製品、化粧下地製品、コンシーラー製品などに汎用されています。
以下は、化粧品として配合される目的に対する根拠です。
2.1. パール光沢付与
パール光沢付与に関しては、アルミナは透明感のある白色の板状粉末であり、優れた光輝感をもつことから、パール光沢付与目的で主にメイクアップ製品、ネイル製品、化粧下地製品、コンシーラー製品などに汎用されています[3b][5a]。
2.2. 粉体の表面改質
粉体の表面改質に関しては、アルミナは透明感のある白色の板状粉末であり、発色が良好かつ優れた光輝感と非常になめらかな表面をもつため[3c][5b]、着色剤の表面にアルミナを被覆することにより様々な色のパール光沢を付与する目的でメイクアップ製品、ネイル製品などに汎用されています。
また、酸化チタンの表面に被覆することにより酸化チタンの表面に薄いアルミナ質の膜を形成し、これが酸化チタンの光触媒活性を抑制することから、酸化チタンの光触媒活性を防ぐ目的でも汎用されています[6][7]。
3. 混合原料としての配合目的
アルミナは混合原料が開発されており、アルミナと以下の成分が併用されている場合は、混合原料として配合されている可能性が考えられます。
原料名 | Mirinae A-6200S Brilliant Bronze or Mirinae A-6400S Brilliant Copper or Mirinae A-6600S Brilliant Russet |
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構成成分 | アルミナ、酸化鉄 |
特徴 | 滑らかな触感と高い輝度を有するアルミナベースのブロンズ系または銀色系または赤褐色系パール顔料 |
原料名 | Ronastar Diamond Black IQ |
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構成成分 | アルミナ、酸化鉄、シリカ |
特徴 | アルミナベースの高輝度黒色パール顔料 |
原料名 | Mirinae A-9001S Brilliant Silver or Mirinae A-7801S Brilliant Blue or Mirinae A-7901S Brilliant Green |
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構成成分 | アルミナ、酸化チタン、酸化スズ |
特徴 | 滑らかな触感と高い輝度を有するアルミナベースの白色系または青色系または緑色系パール顔料 |
原料名 | Mirinae A-7001S Brilliant Gold or Mirinae A-7401S Brilliant Red or Mirinae A-7805S Brilliant Turquoise |
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構成成分 | アルミナ、酸化チタン、酸化スズ、シリカ |
特徴 | 滑らかな触感と高い輝度を有するアルミナベースのゴールド系または赤色系またはターコイズ系パール顔料 |
原料名 | RonaFlair Softshade |
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構成成分 | マイカ、酸化チタン、アルミナ、シリカ |
特徴 | すりガラスのようなマットなソフトフォーカス効果を発揮する体質顔料 |
原料名 | MSP-AK06 |
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構成成分 | ポリメチルシルセスキオキサン、アルミナ |
特徴 | アルミナ微粒子内包によりオイルに濡れてもソフトフォーカス効果を損なわず、金平糖状形状の突起により接触面積が小さくなり球状粒子よりも滑り性が向上したアルミナ微粒子内包シリコーン粉末 |
原料名 | AL-40 |
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構成成分 | アルミナ、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー |
特徴 | 適度なカバー力とソフトフォーカス効果、良好な滑り性を付与する板状アルミナと真球状シリコンの複合化パウダー |
4. 配合製品数および配合量範囲
実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2012-2013年の調査結果になりますが、以下のように報告されています(∗1)。
∗1 以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を指し、またリンスオフ製品は、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。
5. 安全性評価
- 外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載
- 20年以上の使用実績
- 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
- 眼刺激性:詳細不明
- 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)
このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般に安全性に問題のない成分であると考えられます。
以下は、この結論にいたった根拠です。
5.1. 皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)
医薬部外品原料規格2021に収載されており、20年以上の使用実績がある中で重大な皮膚刺激および皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般に皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。
5.2. 眼刺激性
試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細不明です。
6. 参考文献
- ⌃日本化粧品工業連合会(2013)「アルミナ」日本化粧品成分表示名称事典 第3版,165.
- ⌃L.C. Becker(2016)「Safety Assessment of Alumina and Aluminum Hydroxide as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(35)(3_suppl),16S-33S. DOI:10.1177/1091581816677948.
- ⌃abcCQV Co., Ltd.(2017)「Mirinae」Product Information.
- ⌃大木 道則, 他(1989)「酸化アルミニウム」化学大辞典,865.
- ⌃abCQV Co., Ltd.(-)「Mirinae A-1000D」Product Catalog.
- ⌃柴田 雅史(2021)「白色の顔料-酸化チタン」美しさをつくる色材工学 -化粧品の開発からもっときれいになる使い方まで-,172-175.
- ⌃坂井 章人(2011)「微粒子粉体:紫外線防止と粉体」色材協会誌(84)(9),329-334. DOI:10.4011/shikizai.84.329.