ホウケイ酸(Ca/Al)の基本情報・配合目的・安全性

化粧品表示名 ホウケイ酸(Ca/Al)
INCI名 Calcium Aluminum Borosilicate
配合目的 パール光沢感触改良

1. 基本情報

1.1. 定義

ホウケイ酸のカルシウム塩とアルミニウム塩から成る非晶質体(∗1)(ホウケイ酸ガラス)です[1]

∗1 非晶質体とは、結晶とは異なり、原子や分子が規則正しい空間格子をつくらず、乱れた配列をしている無定形物質です。

1.2. 性状

ホウケイ酸(Ca/Al)の性状は、

状態 白色の中空で無孔の球体またはフレーク
粒径(μm) 2-38

このように報告されています[2a][3a][4a]

ホウケイ酸ガラスは、メタリックな金属光沢や様々な色のパール光沢を演出するため、その表面に金属や金属酸化物を被覆して用いられることが多いですが、その場合は板状固体であるフレークを基材とします[5a]

フレーク基材として用いられるホウケイ酸ガラスは、尖った部分を丸く加工するなど肌への安全性に配慮した技術が用いられています。

2. 化粧品としての配合目的

化粧品に配合される場合は、

  • パール光沢付与
  • 滑り性およびなめらかさ向上による感触改良

主にこれらの目的で、メイクアップ製品、ネイル製品などに汎用されています。

以下は、化粧品として配合される目的に対する根拠です。

2.1. パール光沢付与

パール光沢付与に関しては、ホウケイ酸(Ca/Al)は表面が非常になめらかで微細なガラスであり、キラキラとした光輝感をもつことから、パール光沢付与目的でメイクアップ製品、ネイル製品などに汎用されています[5b][6]

ホウケイ酸(Ca/Al)のフレークは、基盤としてその表面に金属や金属酸化物を被覆することにより、メタリックな金属光沢や様々な色のパール光沢を付与することができることから、ホウケイ酸ガラスを基材とした様々なパール光沢を付与する目的でもメイクアップ製品やネイル製品に使用されています[4b][5c]

2.2. 滑り性およびなめらかさ向上による感触改良

滑り性およびなめらかさ向上による感触改良に関しては、ホウケイ酸(Ca/Al)は表面が非常になめらかで微細な球体であり、滑り性を高めて製剤の流動性やなめらかさを向上させることから[3b]、基剤の感触を調整する目的でメイクアップ製品に汎用されています。

3. 混合原料としての配合目的

ホウケイ酸(Ca/Al)は、混合原料が開発されており、ホウケイ酸(Ca/Al)と以下の成分が併用されている場合は、混合原料として配合されている可能性が考えられます。

原料名 Ronastar Series or Xirona Series
構成成分 ホウケイ酸(Ca/Al)酸化チタンシリカ酸化スズ
特徴 ガラスフレークをベースとした様々な色のパール顔料

4. 配合製品数および配合量範囲

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2012年の調査結果になりますが、以下のように報告されています(∗2)

∗2 以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を指し、またリンスオフ製品は、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

ホウケイ酸(Ca/Al)の配合製品数と配合量の調査結果(2012年)

5. 安全性評価

ホウケイ酸(Ca/Al)の現時点での安全性は、

  • 20年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

5.1. 皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ[2b]によると、

  • [ヒト試験] 105名の被検者に31%ホウケイ酸(Ca/Al)0.2gを含むアイシャドーを対象にHRIPT(皮膚刺激性&皮膚感作性試験)を実施したところ、いずれの被検者においても皮膚反応はみられず、この試験物質は皮膚刺激剤および皮膚感作剤ではなかった(TKL Research Inc,2007)

このように記載されており、試験データをみるかぎり皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されているため、一般に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

5.2. 眼刺激性

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ[2c]によると、

  • [in vitro試験] 正常ヒト表皮角化細胞によって再構築された3次元培養角膜モデル(EpiOcular)を用いて、モデル角膜表面に31%ホウケイ酸(Ca/Al)0.2gを含むアイシャドーを処理したところ、この試験物質は眼刺激剤ではなかった(Institute for In Vitro Sciences Inc,2007)

このように記載されており、試験データをみるかぎり眼刺激なしと報告されているため、一般に眼刺激性はほとんどないと考えられます。

6. 参考文献

  1. 日本化粧品工業連合会(2013)「ホウケイ酸(Ca/Al)」日本化粧品成分表示名称事典 第3版,888.
  2. abcL.C. Becker, et al(2013)「Safety Assessment of Borosilicate Glasses as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(32)(5_Suppl),65S-72S. DOI:10.1177/1091581813507089.
  3. abPotters Industries, LLC(2013)「High Performance Solid Glass Polymer Additives」Technical Data Sheet.
  4. abNippom Sheet Glass Co., Ltd.(2018)「METASHINE」Technical Data Sheet.
  5. abc日本板硝子株式会社(-)「メタシャイン」製品カタログ.
  6. 柴田 雅史(2021)「きらめく光と色-パール顔料」美しさをつくる色材工学,201-207.

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