
化粧品表示名 |
Al |
医薬部外品表示名 |
アルミニウム末 |
部外品表示簡略名 |
Al末 |
配合目的 |
パール光沢 |
1. 基本情報
1.1. 定義
以下の化学式で表される金属元素です[1]。

1.2. 性状
Alの性状は、
このように報告されています[2]。
1.3. 分布
Alは、地殻中において最も多く含まれる(8.3%)金属元素であり、鉱物においてはボーキサイトに酸化アルミニウムとして多く含まれています[3]。
1.4. 化粧品以外の主な用途
Alの化粧品以外の主な用途としては、
分野 |
用途 |
食品 |
精製されたアルミニウムは美麗な銀白色であり、薄く延ばせる性質から、箔や細粉に加工されて装飾などに用いられています[4]。 |
これらの用途が報告されています。
2. 化粧品としての配合目的
化粧品に配合される場合は、
主にこれらの目的で、メイクアップ製品、ネイル製品に汎用されています。
以下は、化粧品として配合される目的に対する根拠です。
2.1. パール光沢付与
パール光沢付与に関しては、Alはアルミニウム箔を細分化した鱗片状粉末であり、光の反射能が大きく、メタリックな銀色の金属光沢をもつことから、金属光沢付与目的でメイクアップ製品、ネイル製品に汎用されています[5][6]。
3. 混合原料としての配合目的
Alは混合原料が開発されており、Alと以下の成分が併用されている場合は、混合原料として配合されている可能性が考えられます。
原料名 |
Visionaire Splendid Silver Sea |
構成成分 |
Al、シリカ |
特徴 |
アルミベースのシルバー系メタリックパール顔料 |
原料名 |
Visionaire Bright Splendid Red 34 |
構成成分 |
Al、シリカ、赤220 |
特徴 |
アルミベースで青みがかったピンクのメタリックパール顔料 |
原料名 |
Visionaire Bright Splendid Champagne |
構成成分 |
Al、水酸化Al、シリカ |
特徴 |
アルミベースでシャンパン色(淡いゴールド)のメタリックパール顔料 |
原料名 |
Galaxy Hologram Silver |
構成成分 |
アクリレーツコポリマー、Al |
特徴 |
アクリレーツコポリマーにアルミニウムをコーティングした銀色のホログラム剤 |
原料名 |
Geonature C Bright Silver 008 HEX x 001 |
構成成分 |
セルロース、グリセリン、水、ポリウレタン-33、アクリレーツコポリマー、Al |
特徴 |
セルロースを基材とした銀の生分解性ラメ材 |
原料名 |
Silverdream Moonbeam |
構成成分 |
Al、イソプロパノール |
特徴 |
柔らかなシルバーの輝きと鏡面反射のようなクロム効果を付与する溶剤ベースのネイル専用アルミ顔料 |
原料名 |
Silverdream L-55350 |
構成成分 |
Al、酢酸エチル、アセトン |
特徴 |
シルバーの輝きと鏡面反射のようなクロム効果を付与する溶剤ベースのネイル専用アルミ顔料 |
原料名 |
Silverdream Prismatic H-115002 |
構成成分 |
Al、酢酸ブチル、アセトン |
特徴 |
三次元レインボー効果/プリズム効果とシルバーメタリックのカバー力を付与する溶剤ベースのネイル専用アルミ顔料 |
原料名 |
Silverdream Lunaris |
構成成分 |
Al、酢酸ブチル、酢酸エチル、イソプロパノール、(スチレン/メチルスチレン)コポリマー |
特徴 |
非常に微細なアルミ顔料の表面反射により、本物の鏡を見ているような高い鏡面効果を実現する溶剤ベースのネイル専用アルミ顔料 |
4. 安全性評価
Alの現時点での安全性は、
- 食品添加物の既存添加物リストに収載
- 外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載
- 20年以上の使用実績
- 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
- 眼刺激性:詳細不明
- 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)
このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般に安全性に問題のない成分であると考えられます。
以下は、この結論にいたった根拠です。
4.1. 皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)
医薬部外品原料規格2021に収載されており、20年以上の使用実績がある中で重大な皮膚刺激および皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般に皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。
また、金属アレルギーの疑いがある133名を対象にAlでパッチテストしたところ、いずれの被検者においても陰性であったことなどから[7]、Alが金属アレルギーを誘発する可能性はほとんどないと考えられます。
4.2. 眼刺激性
試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細不明です。
5. 参考文献
- ⌃日本化粧品工業連合会(2013)「Al」日本化粧品成分表示名称事典 第3版,1.
- ⌃ダイヤ工業株式会社(-)「アルミニウムパウダー」製品資料.
- ⌃大木 道則, 他(1989)「アルミニウム」化学大辞典,122.
- ⌃樋口 彰, 他(2019)「アルミニウム」食品添加物事典 新訂第二版,32.
- ⌃日光ケミカルズ株式会社, 他(1991)「アルミニウム末」化粧品原料辞典,27.
- ⌃南 孝司(2003)「パール剤」化粧品事典,667-668.
- ⌃有田 孝司(2001)「金属アレルギーの診断と金属制限の実際」アレルギーの臨床(21)(14),1103-1115.