PVPとは…成分効果と毒性を解説

皮膜形成 安定化成分 泡立ち改良
PVP
[化粧品成分表示名称]
・PVP

[医薬部外品表示名称]
・ポリビニルピロリドン

ビニルピロリドンを重合(∗1)し直鎖状に結合した水溶性の合成樹脂(ポリビニル系ポリマー:合成水溶性高分子)です。

∗1 重合とは、複数の単量体(モノマー)が結合して鎖状や網状になる反応のことをいい、単量体(モノマー)が結合して鎖状または網状になった化合物を重合体(ポリマー)といいます。

PVPは低温で水溶性に優れ(高温では不溶)、粘稠な水溶液を形成し、また優れた被膜形成力、接着力を有していますが、PVPの被膜は乾燥した空気中では脆く、化粧品に使用する場合はグリセリンソルビトールなどの多価アルコール(∗2)を可塑剤(∗3)として添加して使用します(文献2:2016)

∗2 多価アルコールとは、非常に高い吸湿性と保水性をもっているため化粧品に最も汎用されている保湿剤であり、名称に「アルコール」がついているので勘違いしやすいですが、一般的なアルコール(エタノール)は一価アルコールで、多価アルコールと一価アルコール(エタノール:エチルアルコール)は別の物質です。

∗3 可塑(かそ)とは、柔らかく形を変えやすいという意味であり、可塑剤とは柔軟性や耐候性を改良するために添加される物質のことです。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、ヘアスタイリング製品、メイクアップ化粧品、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品などに使用されています(文献1:1998)

皮膜形成

皮膜形成に関しては、毛髪の保護材・柔軟剤としてヘアスプレーやヘアスタイリング剤など頭髪用化粧品に使用されます(文献3:1990;文献4:2012)

分散・乳化安定化

分散・乳化安定化に関しては、界面活性能を有しているため、高分子乳化剤として機能し、乳化安定剤・乳化安定補助剤としてスキンケア系乳化物やメイクアップ化粧品に使用されます(文献4:2012)

泡安定化

泡安定化に関しては、PVPは濃度依存的に泡硬度および泡膨張率を高くするため、エアゾール製品(∗4)に配合されます(文献5:1993)

∗4 エアゾール製品とは噴射式の製品のことです。

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2013および2017-2018年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

PVPの配合製品数と配合量の比較調査結果(2013および2017-2018年)

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PVPの安全性(刺激性・アレルギー)について

PVPの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし
  • 光毒性・光感作性:ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1998)によると、

  • [ヒト試験] 150人の被検者にPVPを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、誘導期間において5人の被検者(0.35%)に1度だけわずかな反応(刺激スコア最大8のうち2)が認められたが、チャレンジ期間においては皮膚反応は認められなかった(Toxigenics Inc,1981)
  • [ヒト試験] 27人に10%PVP水溶液を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、誘導期間およびチャレンジ期間に皮膚刺激および皮膚感作反応は認められなかった(Harrison Research Laboratories Inc,1983)
  • [ヒト試験] 25人の被検者に2%PVPを含むファンデーション0.1mLを対象に48時間閉塞パッチを5回適用し、10日の無処置期間を経て未処置部位に48時間単一チャレンジパッチを適用した。パッチ除去1,24時間後に皮膚反応を評価したところ、接触アレルギーの兆候は観察されなかった(Ivy Laboratories,1993)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されていることから、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1998)によると、

  • [ヒト試験] 白内障抽出後に25%PVP塩溶液で前眼房が改質され、術後に感染はなく、角膜浮腫の兆候は認められなかった。12人の患者は術後10日以内にわずかな炎症を生じたが、すぐに炎症は治まり後遺症もなかった。1例を除いて術後1日目にPVPが前眼房から消失しており、例外だった1例も3日目には消失していた。また、白内障の抽出中に硝子体を失った6例では硝子体とPVPの混合による合併症は認められなかった。1ヶ月から2年にわたるフォローアップ試験ではPVP関連の合併症は観察されなかった(Sarda et al,1969)
  • [ヒト試験] 25%PVP塩溶液を使用して前眼房を回復させた全層角膜移植手術25例および開放角緑内障の8例にPVP関連の合併症は報告されていない(Sardaet al,1969)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して眼刺激性なしと報告されているため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

光毒性および光感作性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1998)によると、

  • [ヒト試験] 10人の被検者に10%PVP水溶液を24時間パッチ適用し、片腕に約10cmの距離でUVAライト(約3.3J/c㎡)を照射した。照射直後,24および48時間後に光毒性を評価したところ、皮膚反応は認められなかった(Harrison Research Laboratories Inc,1983)
  • [ヒト試験] 31人の被検者に10%PVP水溶液0.2mLを対象に光感作試験(各パッチ除去後にUVAライトおよびUVBライトを15分間照射)をともなうHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、誘導期間においてはすべての被検者でわずかな紅斑またはわずかな浮腫が観察されたが、PVPを適用していない対照部位でも同様の反応が認められた。チャレンジ期間において皮膚反応は認められなかったため、PVPは接触光感作性を誘発しないと結論づけられた(Harrison Research Laboratories Inc,1983)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、光毒性および光感作性なしと報告されているため、光毒性および光感作性はほとんどないと考えられます。

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PVPはその他にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:その他

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(1998)「Final Report On the Safety Assessment of Polyvinylpyrrolidone (PVP)」International Journal of Toxicology(17)(4),95-130.
  2. 日光ケミカルズ(2016)「高分子」パーソナルケアハンドブック,106-134.
  3. 田村 健夫, 他(1990)「高分子化合物」香粧品科学 理論と実際 第4版,147-153.
  4. 鈴木 一成(2012)「ポリビニルピロリドン」化粧品成分用語事典2012,602-603.
  5. 松田 秀則(1993)「エアゾール泡沫化粧品」油化学(42)(10),775-783.

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