PVPとは…成分効果と毒性を解説

皮膜形成剤 分散剤 安定化成分
PVP(ポリビニルピロリドン)
[化粧品成分表示名称]
・PVP

[医薬部外品名]
・ポリビニルピロリドン

ビニルピロリドンを過酸化水素を触媒として重合させた白色~微黄色の粉末で、水によく溶け乾くと柔らかい膜になる皮膜形成剤です。

水にも有機溶媒にもよく溶け、溶媒が蒸発すると被膜を残しますが、この皮膜は乾燥した空気中ではもろく、化粧品に利用する場合は乾燥しないように柔軟性を与えるためにソルビトールやグリセリンなどの多価アルコールを添加することが多いです。

化粧品として使用される場合は、毛髪の保護や柔軟としてヘアスタイリング剤に、また泡の安定化やコンディショニング剤としてシャンプーに使用されます

他にも乳液やクリームなど油性のスキンケア化粧品に乳化安定剤や分散剤として使用されたり、メイクアップ化粧品に粘度調節や分散剤または皮膜形成剤として使用されます。

実際にどのような製品に配合されているのかというと、海外の1995年の調査報告を以下に掲載しておきます。

PVPの配合製品数と配合量の調査(1995)

また、同じく海外の資料になりますが、1998年と2013年の配合製品数や配合量の比較調査報告を以下に掲載します。

ちなみに製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

PVPの配合状況比較調査

これらの調査結果をみると、毛髪のリーブオン製品の製品数が格段に増加しており、ヘアスタイリング剤としての使用が多いことがわかります。

また、目の周りや皮膚接触での製品数も2倍前後に増えていることから、スキンケア製品やメイクアップ製品への配合数も増えてきていることがわかります。

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PVPの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

PVPの現時点での安全性は、皮膚刺激性や毒性および眼刺激性はほとんどなく、重大なアレルギー(皮膚感作)の報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Polyvinylpyrrolidone(PVP)」(文献1:1998)によると、

  • [ヒト試験] 誘導期間21日間において150人の被検者の背中にPVPを含む閉塞パッチを9回適用し、パッチは24時間後に除去しその部位の刺激を評価した。10日の無処置期間を経て24時間の単一閉塞パッチを適用し、パッチ除去24および48時間後に評価したところ、誘導期間中に5人の被検者(0.35%)に1度だけわずかな反応が認められた(刺激スコア2、最大8)が、チャレンジ期間には刺激反応は認められなかった(Toxigenics Inc.,1981)
  • [ヒト試験] 27名の腕に誘導期間として10%PVP水溶液を24時間閉塞パッチで3週間に9回1日おきに適用し、毎回パッチ除去後に試験部位を評価した。2週間の無処置期間を経て24時間単一チャレンジパッチを適用し、パッチ除去24および48時間後に評価したところ、誘導期間およびチャレンジ期間に刺激反応は認められなかった(Harrison Research Laboratories, Inc.,1983)

BASFの安全性データシート(文献2:2017)によると、

  • [動物試験] ウサギを用いたDraize法に基づく皮膚刺激試験において皮膚刺激性なし

と記載されています。

試験結果は共通して皮膚刺激がないため、皮膚刺激性や毒性の懸念はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Polyvinylpyrrolidone(PVP)」(文献1:1998)によると、

  • [ヒト試験] 白内障抽出後に25%PVP塩溶液で前眼房が改質され、術後に感染はなく、角膜浮腫の兆候は認められなかった。12名の患者は術後10日以内にわずかな炎症を生じたが、すぐに炎症は治まり後遺症もなかった。1例を除いて術後1日目にPVPが前眼房から消失しており、例外だった1例も3日目には消失していた。また、白内障の抽出中に硝子体を失った6例では硝子体とPVPの混合による合併症は認められなかった。1ヶ月から2年にわたるフォローアップ試験ではPVP関連の合併症は観察されなかった(Sarda, Makhija, and Sharma,1969)
  • [ヒト試験] 25%PVP塩溶液を使用して前眼房を回復させた全層角膜移植手術25例および開放角緑内障の8例にPVP関連の合併症は報告されていない(Sarda, Makhija, and Sharma,1969)

BASFの安全性データシート(文献2:2017)によると、

  • [動物試験] んウサギを用いたDraize法に基づく皮膚刺激試験において眼刺激性なし

と記載されています。

共通して眼刺激性は起こっていないため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

アレルギー(皮膚感作性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Polyvinylpyrrolidone(PVP)」(文献1:1998)によると、

  • [ヒト試験] 25人の被検者に2%PVPを含むファンデーション0.1mLを48時間閉塞パッチを5回適用し、10日の無処置期間を経て未処置部位に48時間単一チャレンジパッチを適用した。パッチ除去1,24時間後に評価したところ、接触アレルギーの兆候は観察されなかった(Ivy Laboratories,1993)

BASFの安全性データシート(文献2:2017)によると、

  • 試験データはないものの化学構造は感作性を示唆していない

と記載されています。

試験結果は少ないですが、皮膚感作性は観察されておらず、化学構造も感作性がないと考えられ、国内でも重大なアレルギーの報告はないため、アレルギー(皮膚感作)はほとんど起こらないと考えられます。

光毒性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Polyvinylpyrrolidone(PVP)」(文献1:1998)によると、

  • [ヒト試験] 10人の両前腕に10%PVP水溶液を24時間パッチ適用し、片腕に約10cmの距離でUVAライト(約3.3J/c㎡)を照射した。照射直後および24,48時間後に腕を採点したところ、反応は認められなかった(Harrison Research Laboratories, Inc.,1983)

と記載されています。

試験結果はひとつですが、ヒト試験で反応がなかったため、現時点では光毒性はないと考えられます。

光感作性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Polyvinylpyrrolidone(PVP)」(文献1:1998)によると、

  • [ヒト試験] 31人の被検者の両前腕に誘導期間として10%PVP水溶液0.2mLを24時間閉塞パッチにて合計9回適用し、パッチ除去後に各被検者の片腕に約10cmの距離でUVAライト(約3.3J/c㎡を放出)および約20cmの距離でUVBライト(約1.4J/c㎡)を15分間照射した。2週間の無処置期間を経て両前腕の未処置部位に24時間チャレンジを適用し、パッチ除去後に照射してから部位を評価したところ、誘導期間ではすべての被検者がわずかな紅斑またはわずかな浮腫を有したが、同様の反応は対照部位(PVPを適用していない部位)にも認められた。チャレンジ期間に反応は認められなかったため、PVPは接触光感作性を誘発しなかった(Harrison Research Laboratories, Inc.,1983)

と記載されています。

試験結果はひとつですが、ヒト試験で光感作を誘発しなかったため、現時点では光感作はほとんど起こらないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
PVP

参考までに化粧品毒性判定事典によると、PVPは■(∗2)となっており、やや毒性ありという判定になっていますが、これは合成ポリマーに共通した判定であり、安全性レポートやデータシートを参照する限りでは、毒性はほとんどないと考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

PVPはその他にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:その他

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(1998)「Final Report on the Safety Assessment of Polyvinylpyrrolidone(PVP)」,<http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/109158189801700408> 2017年10月15日アクセス.
  2. BASF(2017)「Safety Data Sheet」,<https://worldaccount.basf.com/wa/NAFTA~en_US/Catalog/Formulation/doc4/BASF/PRD/30581851/.pdf?asset_type=msds/pdf&language=EN&validArea=US&urn=urn:documentum:ProductBase_EU:09007af8802f9b53.pdf> 2017年10月15日アクセス.

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