ポリエチレンとは…成分効果と毒性を解説

ベース成分 感触調整粉体 着色 スクラブ
ポリエチレン
[化粧品成分表示名称]
・ポリエチレン

[医薬部外品表示名称]
・ポリエチレンワックス、ポリエチレン末、高融点ポリエチレン末

エチレンを重合して得られる平均分子量400-50,000の炭化水素(∗1)です。

∗1 炭化水素とは、炭素と水素のみからなる化合物で、化学的に極めて不活性な物質です。

それまでは石油をはじめとする鉱物および動植物による天然ワックスしか存在しませんでしたが、従来にはないより硬く、より耐熱性のある、すなわち高分子量のワックスが求められる中で、天然ワックスでは1,000以上の分子量のものは得られませんでしたが、1951年にアライドケミカル(Allied chemical)社によってエチレン重合技術が企業化したことから、高分子合成ワックスが普及し、現在に至っています(文献3:1983)

エチレンを重合して得られるワックスとして合成ワックスがありますが、この製造方法においてポリエチレンも合成ワックスと同一物質であり、化粧品においては低分子量(目安としては700以下)のものは「合成ワックス」として表示・使用され、高分子(目安としては1,000以上)のものは「ポリエチレン」として表示・使用されます(文献3:1983)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、メイクアップ化粧品、スキンケア化粧品、洗顔料、ボディ製品などに使用されています(文献1:2007;文献2:2016)

感触改良

感触改良に関しては、酸化安定性が高く、また融点が100-120℃と高く、乳化しやすい特性をもち、パラフィンと同様に硬さおよび耐温性を向上させるために油性基剤やクリームに用いられます(文献3:1997)

また粘性や感触にコクを付与するためにクリーム、乳液、ヘアワックスに配合されることもあります(文献5:2015)

着色

着色に関しては、白色の粉末であり、メークアップ化粧品の粉体として、また化粧水などの白濁剤として配合されます(文献2:2016;文献4:2012)

スクラブ

スクラブに関しては、弾性のある柔軟なスクラブ成分・マイクロビーズ成分として洗顔料に広く使用されています(文献4:2012)

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2002-2004年および2013-2015年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

ポリエチレンの配合状況の調査結果(2002-2004年および2013-2015年)

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ポリエチレンの安全性(刺激性・アレルギー)について

ポリエチレンの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし-軽度
  • 皮膚感作性:ほとんどなし

これらの結果から、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2007)によると、

  • [ヒト試験] 201人の被検者に13%ポリエチレンを含む洗浄製品を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、チャレンジパッチにおいて1人の被検者に+1のスコアを有する感作反応が生じたが、臨床的に重要であるとは判断されず、この製品は皮膚刺激性および皮膚感作性を誘発する可能性が低いと結論づけた(CFTA,2004)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、一般的に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2007)によると、

  • [動物試験] 3匹のウサギの右眼の結膜嚢にポリエチレン(平均分子量450)66mgの個体物質を適用してまぶたを1秒間閉じ、適用1,24,48および72時間後および7日後に眼刺激性を評価したところ、処置後1時間ではすべての処置された眼で中等の結膜刺激が認められた。24時間で、処置された1つおよび2つの眼に中等の結膜刺激がみられた。処置24および48時間後の観察で1つの眼で角膜混濁が観察され、また別の眼で虹彩の炎症が観察された。処置したすべての眼は48時間後および7日目で正常だった。ポリエチレンは軽度の刺激剤として分類された(Safepharm Laboratories Ltd,1997)
  • [動物試験] ウサギの片眼に13%ポリエチレンを含む製品0.1mLを対象にOECD405テストガイドラインに基づいて眼刺激性試験を実施したところ、1時間後に最大眼球刺激スコア(0-110)は8であり、48時間後には眼刺激は消失した。角膜の損傷は観察されなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,2004)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、最小限-軽度の眼刺激が報告されているため、眼刺激性は非刺激-軽度の眼刺激が起こる可能性があると考えられます。

∗∗∗

ポリエチレンはベース成分、着色剤、その他にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分 着色剤 その他

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2007)「Final Report on the Safety Assessment of Polyethylene」International Journal of Toxicology(26)(1),115-127.
  2. 日光ケミカルズ(2016)「炭化水素」パーソナルケアハンドブック,27.
  3. 府瀬川 健蔵(1983)「ポリエチレンワックス」ワックスの性質と応用,122-133.
  4. 鈴木 一成(2012)「ポリエチレン末」化粧品成分用語事典2012,550.
  5. 宇山 光男, 他(2015)「ポリエチレン」化粧品成分ガイド 第6版,180.

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