ポリエチレンとは…成分効果と毒性を解説

感触調整粉体 スクラブ剤
ポリエチレン
[化粧品成分表示名称]
・ポリエチレン

[医薬部外品名]
・高融点ポリエチレン末、ポリエチレンワックス

エチレンを重合してつくられる融点100~120℃の固形状オイルで、白色の粉末、顆粒または粒です。

他のオイルと混合して口紅やリップなど固形状ベースの硬さを調整したり、クリームや乳液などの粘性や乳化安定性を高めたり、感触にコクを与えるために配合されます。

他にも化粧水の白濁剤として、またシャンプーやリンスにはコンディショニング剤として、球状の粉体や微粉体はメイクアップ化粧品に使用され、スクラブ剤としても使用されるなど幅広く使用されています。

実際の配合製品数や配合量の範囲は、海外の2009年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ポリエチレンの配合製品数と配合量の調査(2004年)

ポリエチレンの配合状況の調査結果

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ポリエチレンの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

ポリエチレンの現時点での安全性は、皮膚刺激性はほとんどなく、軽度~中等の眼刺激性はありますが、皮膚感作(アレルギー)もほとんどないため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Polyethylene」(文献1:2007)によると、

  • [動物試験] 3匹のウサギ(体重2.77~2.94kg)のそれぞれ背側腹部領域を脱毛し、0.5gポリエチレン(平均分子量450)を蒸留水0.5mLで希釈した水溶液を閉塞パッチ適用した。適用から4時間後にパッチを除去し、その部位を1,24,48および72時間後にDraize法に基づいて検査したところ、ポリエチレンの一次刺激スコアは0.0で、皮膚刺激および腐食作用は認められなかった(Safepharm Laboratories, Ltd.,1997a)
  • [動物試験] 上記と同じ手順を用いて、3匹のウサギ(体重2.40~2.75kg)を用いてポリエチレン(平均分子量655)の急性皮膚刺激性を試験した。ポリエチレンは、24時間のパッチ処置で1つの部位にわずかな紅斑を引き起こしたが、他の2つの部位では刺激は観察されず、腐食作用は認められなかった(Safepharm Laboratories, Ltd.,1997b)

と記載されています。

動物試験結果によると、ごくまれにわずかな紅斑が観察されますが、皮膚刺激性や腐食作用は認められなかったため、皮膚刺激性および毒性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Polyethylene」(文献1:2007)によると、

  • [動物試験] 3匹のウサギの右眼の結膜嚢にポリエチレン(平均分子量450)66mgの個体物質を入れてまぶたを1秒間閉じた。ウサギの眼は処置1,24,48および72時間後に評価したところ、処置後1時間ではすべての処置された眼で中等の結膜刺激が認められた。24時間で、処置された1つおよび2つの眼に中等の結膜刺激がみられた。処置24および48時間後の観察で1つの眼で角膜混濁が観察され、また別の眼で虹彩の炎症が観察された。処置したすべての眼は48時間後および7日目で正常だった。ポリエチレンは軽度の刺激剤として分類された(Safepharm Laboratories, Ltd.,1997c)
  • [動物試験] ウサギを用いて13%ポリエチレンビーズ含有製品0.1mLをOECDテストガイドライン405に基づいて試験したところ、1時間後に最大眼球刺激スコアは最大110のうち8で、48時間後には刺激は消失した。角膜擦過傷は観察されなかった(CTFA,2004a)

と記載されています。

試験結果では共通して一過性の軽度~中等の眼刺激性が認められたため、軽度~中等の眼刺激性があると考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Polyethylene」(文献1:2007)によると、

  • [ヒト試験] 201人のボランティアに誘導期間として13%ポリエチレンビーズを含む洗浄製品を48時間パッチを9回連続で適用し、10~14日間の無処置期間を経て同じ部位にチャレンジパッチを48時間適用した。また未処置部位にも48時間閉塞パッチを適用した。48時間および96時間で評価したところ、いずれの誘導パッチでも刺激は観察されなかった。チャレンジパッチは1人の被検者において+1のスコアを有する感作反応が生じたが、臨床的に重要であるとは考えられず、この製品は低い刺激性および感作性を有する可能性があると結論づけた(CFTA,2004b)
  • [動物試験] 34匹のウサギの無傷の左横腹に誘導期間として50%ポリエチレン(平均分子量450)を含むピーナッツオイルを6時間コットンパッチ適用し、7日目および14日目にさらに2回の適用を行い合計3回適用し、それぞれ適用から24時間後に処置部位を評価した。28日目にチャレンジパッチとして50%ポリエチレンを含むピーナッツオイルを処置部位と同じ箇所に6時間適用し、25%ポリエチレンを含むパッチを反対側の未処置部位に適用した。6時間後にパッチを除去し、24および48時間後に紅斑および浮腫を評価したところ、誘導期間およびチャレンジ期間のいずれも反応は観察されなかったため、ポリエチレンは感作を引き起こさないと結論づけた(Safepharm Laboratories, Ltd.,1997d)

と記載されています。

試験結果では共通してほとんど感作性が起こらなかったため、皮膚感作(アレルギー)が起こる可能性はほとんどないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ポリエチレン

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ポリエチレンは■(∗2)となっており、これは合成ポリマーに共通する判定ですが、安全性の試験結果をみる限りでは、毒性はほとんどないと考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ポリエチレンはその他にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:その他

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2007)「Final Report on the Safety Assessment of Polyethylene」,<http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1080/10915810601163962> 2017年10月31日アクセス.

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