ブタノールとは…成分効果と毒性を解説

溶剤
ブタノール
[化粧品成分表示名称]
・ブタノール

[慣用名]
・ブチルアルコール

脂肪族アルコールのひとつで、水には約7%しか溶けませんが、有機溶媒に溶解する揮発性の液体です。

化粧品に配合される場合は、ネイルエナメルの溶剤または助溶剤としてネイル製品に使用されます。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の1984-2005年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ブタノールの配合製品数と配合量の比較調査結果(1984-2005年)

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ブタノールの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

ブタノールの現時点での安全性は、ネイル製品に使用される範囲内において、皮膚刺激性はほとんどなく、眼刺激性は濃度依存的に眼刺激性が増加しますが、皮膚感作性(アレルギー性)および光感作性の報告もないため、総合的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of n-Butyl Alcohol」(文献1:1987)によると、

  • [ヒト試験] 3%ブタノールを含むネイルカラーの反復傷害パッチ試験を2つ実施した。試験は被検者の上背部に誘導期間において週3回3週間にわたって閉塞パッチ適用し、パッチ交換直前に0~4のスケールで試験部位を評価した。2週間の休息期間を設けた後に2つの48時間チャレンジパッチを誘導パッチに隣接する未処置部位に適用し、適用48および96時間後に部位を評価した。1つ目の試験は210人の被検者で実施され、臨床的に有意な反応は観察されなかった。2つ目の試験では115人の女性および41人の男性被検者において2回目チャレンジパッチ評価で2+の反応が観察された。これらの試験条件下で3%ブタノールを含むネイルカラー製品は刺激剤または増感剤であるとは考えられなかった(CTFA,1984;CTFA,1986)
  • [ヒト試験] 3%ブタノールを含むネイルカラーの反復傷害パッチ試験を2つ実施した。試験は被検者の上背部に誘導期間において週3回3週間にわたって閉塞パッチ適用し、パッチ交換直前に0~4のスケールで試験部位を評価した。2週間の休息期間を設けた後に2つの48時間チャレンジパッチを誘導パッチに隣接する未処置部位に適用し、適用48および96時間後に部位を評価した。1つ目の試験は182人の女性および34人の男性被検者で実施され、チャレンジ時に3+反応として強く浸潤した紅斑および付随する小胞が観察されたが、さらに試験するとこの反応は残留溶媒によるものであると判断された。2つ目の試験では144人の女性および59人の男性被検者においてチャレンジパッチ評価で1+の反応としてかすかな紅斑が観察された。これらの試験条件下で3%ブタノールを含むネイルカラー製品は刺激剤または増感剤ではないと考えられた(CTFA,1979a;CTFA,1982)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して刺激性および感作性なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of n-Butyl Alcohol」(文献1:1987)によると、

  • [動物試験] 5匹のウサギの片目の角膜にブタノール0.005mLを点眼し、まぶたを1分間閉じ、18~24時間後に眼を評価したところ、40%ブタノール溶液0.005mLは重度の刺激(壊死)とされる5.0を超える刺激スコアを有し、15%ブタノール溶液0.005mLは5.0を超えなかった(CARPENTER C.P.and SMYTH H.F.,1946)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、濃度依存的に刺激性がます傾向が推察されますが、メイル製品に使用する場合は最大でも4%以内と報告されているため、ネイル製品に使用される範囲内において、眼刺激性は軽度~中等の眼刺激が起こる可能性があると考えられます。

光毒性および光感作性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of n-Butyl Alcohol」(文献1:1987)によると、

  • [ヒト試験] 30人の被検者の背中に3%ブタノールを含むネイルエナメルを24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去後に試験部位を評価し、UVAおよびUVB領域(290~400nm)でキセノンアークソーラーシミュレーター(150W)を用いてMED(最小紅斑線量)を3回照射し、48時間後に部位を評価した。この誘導手順を週2回、合計6回繰り返し、次いで10日間の無処置期間を設けた後に被検者の背中の未処置部位に24時間チャレンジパッチを適用し、パッチ除去後にSchott345フィルターを用いて部位を3分間照射し、照射15分および24,48および72時間後に部位を評価した。いずれの被検者においても皮膚反応は観察されず、これらの試験条件下で3%ブタノールを含むネイルエナメルは光毒性または光感作剤ではなかった(CTFA,1979b)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、光毒性または光感作剤ではないと報告されているため、光毒性および光感作性はないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ブタノール

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ブタノールは■(∗1)となっていますが、試験データをみるかぎり、安全性に問題はないと考えられます。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ブタノールはその他にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:その他

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(1987)「Final Report on the Safety Assessment of n-Butyl Alcohol」,<http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.3109/10915818709098564> 2018年6月4日アクセス.
  2. 日光ケミカルズ(2016)「アルコール」パーソナルケアハンドブック,p47.

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