ニトロセルロースとは…成分効果と毒性を解説

皮膜形成剤
ニトロセルロース
[化粧品成分表示名称]
・ニトロセルロース

セルロースの硝酸エステルで、ネイルエナメルに使う溶剤や樹脂および顔料などとよく混ざる性質がある硬めの皮膜形成剤です。

密着性、光沢、持ちなどを高める目的で他の樹脂原料と組み合わせて使用されており、半乾きで溶剤を含んだ状態でも固まって取れることがないのでネイルエナメルの性質上欠かせない原料です。

実際にどういう製品にどれくらいの配合量で使用されているのかというと、2016年の海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

ニトロセルロースの配合状況調査(2016年)

ほぼ100%ネイルエナメルに使用されており、配合量も11~41%と多量なのがわかります。

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ニトロセルロースの安全性(刺激性・アレルギー)について

ニトロセルロースの現時点での安全性は、皮膚刺激性や毒性および眼刺激性はほとんどなく、重大なアレルギー(皮膚感作)の報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

ただし、皮膚炎を有していたり、とくに過去にネイル除光液で皮膚炎を生じたことがある場合は、皮膚刺激が起こる可能性が高くなるので使用の際は注意が必要です。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Nitrocellulose and Collodion as Used in Cosmetics」(文献1:2016)によると、

  • [ヒト試験] 51人の被検者の背中に10.5%ニトロセルロースを含むネイルエナメル0.2mLを半閉塞パッチで48時間適用し、パッチ除去24時間後に試験部位を評価したところ、いずれの被検者にも刺激の兆候はみられなかった
  • [ヒト試験] 108人の被検者の背中に誘導期間として8.85%ニトロセルロースを含むネイルエナメルを24時間半閉塞パッチで週3回3週間にわたって合計9回適用し、パッチ除去24および48時間後に評価した。2週間の無処置期間を経て未処置部位に24時間チャレンジパッチを適用し、パッチ除去48時間および72時間後に評価したところ、誘導およびチャレンジ期間の間にいずれの部位においても目に見える皮膚反応は観察されなかった
  • [ヒト試験] ネイル除光液で皮膚炎が生じた19人の患者と様々な皮膚病の25人の患者に他のネイル除光液と同様の成分である酢酸ブチル中のニトロセルロース溶液を用いてパッチ試験を行ったところ、様々な皮膚病の患者では25人中17人に紅斑がみられ、1人の患者では紅斑および浮腫が観察された。また1人の患者に小胞形成が観察された。ネイル除光液で皮膚炎が生じた患者では刺激反応が著しく増加した。すべての患者に皮膚反応を生じ、多くの患者において著しい紅斑を伴う小胞形成または小胞形成が観察された。溶液中にはベンゾールが存在することが判明した
  • [ヒト試験] 1977年9月から1983根8月までに12人の皮膚科医によって281,100人の患者が診察された。そのうち13,216人は接触性皮膚炎を有すると判定され、713例は化粧用皮膚炎であると判定された。パッチ試験によりこれら713例の中でニトロセルロースに対する反応はわずか1例であった
  • [動物試験] 6匹のウサギの無傷および擦過した皮膚に33%ニトロセルロース水溶液をDraize法に基づいて適用したところ、一次刺激スコアは0.2未満であり、有意な皮膚刺激は観察されなかった

と記載されています。

試験結果は健常な皮膚の被検者のものと皮膚患者のものがありますが、健常な肌の場合は共通して皮膚刺激性や皮膚感作性は観察されていないため、健常な皮膚においては皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

皮膚炎の患者においては健常な皮膚と比べると皮膚刺激が生じる可能性は高まるようで、とくにネイル除光液で皮膚炎を生じたことがある方は皮膚炎が起こる可能性がかなり高くなると考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Nitrocellulose and Collodion as Used in Cosmetics」(文献1:2016)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギを用いて33%ニトロセルロース水溶液(チッ素含有量13.1%)をDraize法に基づいて試験したところ、一次刺激剤ではなかった

と記載されています。

試験結果はひとつしかみあたりませんが、一次刺激性はなかったため、現時点では眼刺激性はほとんどないと考えられます。

安全性についての捕捉

ニトロセルロースの発がん性に対する懸念があったので補足しておきますが、2年間の食事研究において、マウス、ラット、またはイヌにおけるニトロセルロース投与による腫瘍の有意な増加は報告されていない(文献1:2016)と記載されています。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ニトロセルロース

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ニトロセルロースは■(∗2)となっており、やや毒性ありという判定になっていますが、これは合成ポリマーに共通した判定であり、安全性レポートを参照する限りでは、ネイルエナメルに配合される場合に限っては毒性はほとんどないと考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ニトロセルロースはその他にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:その他

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2016)「Safety Assessment of Nitrocellulose and Collodion as Used in Cosmetics」,<http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/1091581816651607> 2017年10月22日アクセス.

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