ナイロン-12とは…成分効果と毒性を解説

感触調整粉体
ナイロン-12
[化粧品成分表示名称]
・ナイロン-12

[医薬部外品名]
・ナイロン末

[慣用名]
・ポリアミド12

ω-ラウリンラクタムを主成分としたポリアミド系の繊維(ナイロンポリマー)で、球状パウダーから繊維状まで様々な形状の白色粉末です。

パウダー状のナイロンは、体質顔料として独特のしっとりとした感触や良好な滑り性と伸びを有しており、高級感のある付け心地を目的に広くメイクアップ製品に使用されており、また繊維状のナイロンは、まつ毛を太く長く見せる目的でマスカラに配合されています。

パウダー状のナイロンは約10μmの微粒子ですが、他の成分を内包することが可能なため、たとえばファンデーションに配合されている場合は、酸化チタン酸化亜鉛をナイロンの中に内包することでUV効果を高めることができます。

そのため、成分表示欄に、

  • ナイロン-12、酸化チタン、水酸化Al、ステアリン酸(順不同)
  • ナイロン-12、酸化亜鉛、メチルハイドロジェンポリシロキサン(順不同)

などがセットで配合されていたら、ナイロンに酸化チタンまたは酸化亜鉛を内包して表面処理してUV加工を施していると推測できます。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2012年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

のナイロン-12の配合状況の調査結果(2012年)

この調査結果をみると、ほとんどがリーブオン製品、つまりメイクアップ製品で最大35%も配合しているのはファンデーションなどのパウダーであることがわかります。

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ナイロン-12の安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

ナイロン-12の現時点での安全性は、皮膚刺激性や毒性および眼刺激性はほとんどなく、アレルギー(皮膚感作)も起こっていないため、安全性に問題のない成分であると考えられます。

ただし、ごくまれにアレルギー体質またはアレルギー性皮膚炎の発症歴がある場合にナイロンでかゆみが起こるケースがあるため、該当する場合は注意が必要です。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Nylon as Used in Cosmetics」(文献1:2012)によると、

  • [ヒト試験] 30人の被検者に3%ナイロン-12を含むリップ製品の反復パッチテスト(HRIPT)を行ったところ、皮膚刺激は観察されなかった

ダイセル・エボニック株式会社の安全性データシート(文献2:2014)によると、

  • 現在までのところ有害性の知見はない

と記載されています。

皮膚刺激のデータは後述する皮膚感作試験結果と一緒に行ったデータがあり、共通して皮膚刺激がないため、皮膚刺激性や毒性の懸念はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Nylon as Used in Cosmetics」(文献1:2012)によると、

  • [ヒト試験] 33人の女性被検者(約50%がハードまたはソフトコンタクトレンズを装着)に5%ナイロン-12を含むアイシャド-を少なくとも1日1回4週間にわたって通常通り使用してもらい、使用前および使用後に眼科検査したところ、いずれの被検者も正常範囲内だったため、5%ナイロン-12を含むアイシャドーは眼刺激を起こさず、健常な人または眼刺激に敏感な人でも安全に使用できる

ダイセル・エボニック株式会社の安全性データシート(文献2:2014)によると、

  • 現在までのところ有害性の知見はない

と記載されています。

共通して眼刺激性はまったく起こっていないため、眼刺激性が起こる懸念はほとんどないと考えられます。

アレルギー(皮膚感作性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Nylon as Used in Cosmetics」(文献1:2012)によると、

  • [ヒト試験] 30人の被検者に3%ナイロン-12を含むリップ製品の反復パッチテスト(HRIPT)を行ったところ、アレルギー感作は観察されなかった
  • [ヒト試験] 103人の被検者に5%ナイロン-12を含むアイシャドー0.2gを1c㎡の半閉塞パッチしたところ、皮膚感作は観察されず、アイシャドーに皮膚刺激または皮膚感作性は認められなかった
  • [ヒト試験] 103人の被検者に6%ナイロン-12を含むコンシーラー0.2gを1c㎡半閉塞パッチしたところ、皮膚感作は観察されず、コンシーラーに皮膚刺激または皮膚感作性は認められなかった
  • [ヒト試験] 221人の被検者に35%ナイロン-12を含むフェイスパウダー0.2gを3/4c㎡閉塞パッチしたところ、フェイスパウダーは皮膚刺激またはアレルギー感作性の可能性を示さないと結論づけた

ダイセル・エボニック株式会社の安全性データシート(文献2:2014)によると、

  • 現在までのところ有害性の知見はない

と記載されています。

多くのヒト試験結果が報告されていますが、共通して皮膚感作性は観察されておらず、国内でも重大なアレルギーの報告はないため、アレルギー(皮膚感作)はほとんど起こらないと考えられます。

ただし、ごくまれにアレルギー体質またはアレルギー性皮膚炎の発症歴がある場合にナイロンでかゆみが起こるケースがあり、とくにナイロンが使用されている衣類のナイロン使用部位でかゆみを感じる場合をはじめ顔にかゆみを感じる場合は注意が必要です。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ナイロン-12

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ナイロン-12は■(∗1)となっており、やや毒性ありという判定になっていますが、これは合成ポリマーに共通した判定であり、安全性レポートやデータシートを参照する限りでは、毒性はほとんどないと考えられます。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ナイロン-12はその他にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:その他

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2012)「Safety Assessment of Nylon as Used in Cosmetics」,<http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/1091581814563524> 2017年10月5日アクセス.
  2. ダイセル・エボニック株式会社(2014)「安全データシート ダイアミド MSP-100」,<http://www.daicel-evonik.com/msds/pdf/SDS%20DAIAMID%20MSP-100%20(Japanese)%20Ver.5.pdf> 2017年10月5日アクセス.

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