クエン酸アセチルトリブチルとは…成分効果と毒性を解説

可塑
クエン酸アセチルトリブチル
[化粧品成分表示名称]
・クエン酸アセチルトリブチル

アセチル化したクエン酸とブタノールとのトリエステルで可塑剤です。

化粧品に配合される場合は、ネイルエナメルのベースをつくる皮膜形成剤を柔らかくしなやかにする可塑剤としてマニキュア、ネイルカラー、ネイルエナメル、トップコート、ネイル除光液などネイル製品に広く使用されています。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の1998-1999年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

クエン酸アセチルトリブチルの配合製品数と配合量の調査結果(1998-1999年)

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クエン酸アセチルトリブチルの安全性(刺激性・アレルギー)について

クエン酸アセチルトリブチルの現時点での安全性は、皮膚刺激性は非刺激または軽微の紅斑が生じる可能性がありますが、眼刺激性はほとんどなく、皮膚感作性(アレルギー性)の報告もないため、総合的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Acetyl Triethyl Citrate, Acetyl Tributyl Citrate, Acetyl Trihexyl Citrate, and Acetyl Trioctyl Citrate」(文献1:2002)によると、

  • [ヒト試験] 皮膚病既往歴のない59人の被検者(21~60歳)の上腕にクエン酸アセチルトリブチル0.4mLで湿らせた閉塞パッチを誘導期間において週3回3週間連続で適用し、適用24時間後に各パッチを除去した。2週間の無処置期間の後に同じ試験部位と未処置部位の2箇所にチャレンジパッチを適用し、適用48および96時間後に試験部位を評価したところ、クエン酸アセチルトリブチルは皮膚に対して刺激性がなく、接触感作を示唆する反応は観察されなかった(Hill Top Research,1978)
  • [動物試験] 4匹のモルモットに0.05%,1%,1.25%,および100%クエン酸アセチルトリブチルを適用した刺激試験において0.05%では2匹のモルモットにかすかなピンク色の浮腫が生じ、残りの2匹には浮腫を伴う淡いピンク色の紅斑が生じた。1%では3匹のモルモットで浮腫を伴う淡いピンク色の紅斑を生じ、1.25%ではあまり刺激を生じないと分類された。100%ではパッチ除去24および48時間後で1匹にほとんど知覚できない紅斑を誘発した((Unilever Limited,1976a)
  • [動物試験] 4匹のモルモットを用いた50%クエン酸アセチルトリブチルのmaximization皮膚感作試験において、パッチ除去24および48時間後に1匹のモルモットでほとんど知覚できない紅斑が観察され、別の1匹では24時間でほとんど知覚できない紅斑および48時間で散在した軽度の紅斑が観察された。これらの反応は2回目のチャレンジパッチの後にも同様に観察され、処置および未処置対照群では観察されなかった。また3回目のチャレンジパッチでクエン酸アセチルトリブチルとクエン酸アセチルトリエチルまたはクエン酸トリエチルとの交差反応の可能性を評価したところ、クエン酸アセチルトリブチルはクエン酸アセチルトリエチルまたはクエン酸トリエチルと交差反応しないことを示した。クエン酸アセチルトリブチルは非感作物質として分類された((Unilever Limited,1976b)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、ヒト試験では皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されていますが、動物試験では皮膚感作性はなしと報告されているものの、皮膚刺激性において軽微な紅斑が報告されているため、皮膚刺激性は非刺激または軽微の皮膚刺激が生じる可能性があり、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Acetyl Triethyl Citrate, Acetyl Tributyl Citrate, Acetyl Trihexyl Citrate, and Acetyl Trioctyl Citrate」(文献1:2002)によると、

  • [動物試験] 3匹のウサギの眼にクエン酸アセチルトリブチルを点眼し、点眼後に眼を検査したところ、点眼から20分以内に3匹のうち2匹で中等の紅斑が観察された。紅斑は点眼3時間後まで持続し、5時間後に1匹で沈静化した。24時間で中等の紅斑が観察された1匹のウサギの症状がわずかに増加したが、他の2匹のウサギは眼刺激に対して陰性に分類された。点眼から48および72時間ですべての眼が陰性であった(CTFA,1998)
  • [動物試験] ウサギの結膜嚢に1滴のクエン酸アセチルトリブチルを滴下した後に眼を検査したところ、炎症は観察されなかった(Larionov and Cherkasova,1998)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、一過性のわずかな発赤が報告されていますが、共通して刺激性なし(陰性)であると報告されているため、眼刺激性は一過性のわずかな発赤が生じる可能性がありますが眼刺激性はほとんどないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
クエン酸アセチルトリブチル 掲載なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、クエン酸アセチルトリブチルは掲載なしとなっていますが、試験データをみるかぎり、安全性に問題はないと考えられます。

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クエン酸アセチルトリブチルはその他にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:その他

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文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2002)「Final Report on the Safety Assessment of Acetyl Triethyl Citrate, Acetyl Tributyl Citrate, Acetyl Trihexyl Citrate, and Acetyl Trioctyl Citrate」,<http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1080/10915810290096504> 2018年6月1日アクセス.

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