オクテニルコハク酸デンプンAlとは…成分効果と毒性を解説

感触改良
オクテニルコハク酸デンプンAl
[化粧品成分表示名称]
・オクテニルコハク酸デンプンAl(改正名称)
・オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンAl(旧称)

無水オクテニルコハク酸とデンプンを反応して得られる5~20μmの微粒子アルミニウム塩です。

水に溶けない加工をしたデンプンでパウダリー感を与えつつ肌上で白残りしないため、化粧品に配合される場合は、パウダー系アイメイクアップ化粧品、パウダー系ファンデーション、ルースパウダー、チーク、ドライシャンプー、ボディパウダー、日焼け止めスプレーなどに使用されます。

また、油分を吸収しベタつきを軽減する働きがあるため、口紅をはじめ美容液、乳液、クリームなどのスキンケア化粧品にも使用されます。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の1998-1999年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

オクテニルコハク酸デンプンAlの配合製品数と配合量の調査結果(1998-1999年)

スポンサーリンク

オクテニルコハク酸デンプンAlの安全性(刺激性・アレルギー)について

オクテニルコハク酸デンプンAlの現時点での安全性は、皮膚刺激性は健常な皮膚ではほとんどなく、敏感な皮膚ではわずかな刺激が生じる可能性があり、眼刺激性は非刺激または一過性のわずかな刺激が生じる可能性がありますが、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどなく、総合的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

ただし、2000年に国内で1例のみですが、接触皮膚炎の報告があります。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Aluminum Starch Octenylsuccinate」(文献1:2002)によると、

  • [ヒト試験] 事前試験で10%乳酸水溶液でスティンギング反応が観察された12人の女性被検者に3%オクテニルコハク酸デンプンAlを含むローションを顔に適用し、主観的なスティンギングは2.5および5分で評価、皮膚反応は0~3のスコアで累積スコアを得た。したがって個々の最高スコアは6であり、最高累積スコアは72であり、3%オクテニルコハク酸デンプンAlを含むローションの累積スコアは5であった(2人の被検者の反応で1人は累積スコア4、もう1人は1であった)。これらの結果から3%オクテニルコハク酸デンプンAlを含むローションは通常の意図された使用下で刺すような痛みが生じる可能性はほとんどまたはまったくないと結論づけられた(Ivy Labs,1988)
  • [ヒト試験] 皮膚過敏症の10人の女性被検者の前腕を針で傷つけ、1%オクテニルコハク酸デンプンAlを含むローション0.3mLを24時間にわたって合計3回パッチ適用した。パッチ除去後に部位をすすぎ、30分後に0~4のスケールで皮膚反応を評価したところ、3日目の平均刺激スコアは1.4であった。1%オクテニルコハク酸デンプンAlを含むローションはわずかに刺激の可能性があると考えられた(Skin Study Center,1995)
  • [ヒト試験] 9人または10人の敏感肌を有する被検者に2.23%および2.5%オクテニルコハク酸デンプンAlを含む2つの製剤を2回連続で24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去後に皮膚反応を評価したところ、どちらの製剤も紅斑を誘発しなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1996;Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1997)
  • [ヒト試験] 25%オクテニルコハク酸デンプンAlを含む市販製剤の一時皮膚刺激性試験を4日間にわたって実施したところ、一次刺激スコアは0.0であった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1999a)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、健常な皮膚では皮膚刺激性なしと報告されており、敏感な皮膚ではわずかな皮膚刺激が報告されているため、健常な皮膚では皮膚刺激性はほとんどなく、敏感な皮膚ではわずかな皮膚刺激が生じる可能性があると考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Aluminum Starch Octenylsuccinate」(文献1:2002)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの片目の結膜嚢にオクテニルコハク酸デンプンAlを含む市販パウダー製品0.1mLを注入し、点眼1,24,48および72時間後に目を検査したところ、角膜は正常に見え、それぞれの観察時に変化はみられなかった。注入1時間後ですべての眼で結膜がわずかに赤くなり、24時間で5匹のウサギに赤みが残っていたが48時間の観察では消失した。また注入1時間後で4匹の眼でわずかな結膜の腫脹が認められたが24時間までで消失した。注入したすべての眼は48および72時間後の観察で正常であった。被験物質は結膜に対して非常にわずかな一過性の刺激を生じ、ヒトにおいては眼刺激性が低いと考えられた(Unilever Research,1984)
  • [in vitro試験] 鶏卵の漿尿膜を用いて、1%および2.5%オクテニルコハク酸デンプンAlを含む2つの製剤を処理したところ(HET-CAM法)、いずれの製剤も損傷を誘発せず、これらの製剤は非刺激性であると考えられた(Stephens and Associates,1996;MB Research Labs,1997)
  • [動物試験] 6匹のウサギの眼に25%オクテニルコハク酸デンプンAlを含むチークまたはファンデーションを3回適用し、眼はすすがず、Draize法に基づいて眼刺激性を評価したところ、チーク適用1日後でいずれのウサギにも刺激はみられなかった。またファンデーション適用1日および2日後に眼刺激性スコアは2であった。試験物質の眼刺激性は最小限であると考えられた(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1999)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、非刺激性または一過性のわずかな眼刺激性が報告されているため、眼刺激性は非刺激または一過性のわずかな眼刺激が生じる可能性があると考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Aluminum Starch Octenylsuccinate」(文献1:2002)によると、

  • [ヒト試験] 5つのハンド&ボディローションを別々のヒト反復皮膚感作試験(HRIPT)で実施した。それぞれの試験は104人の被検者に1%オクテニルコハク酸デンプンAlを含むローションA、104人の被検者に1%オクテニルコハク酸デンプンAlを含むローションB(pH4.0)、103人の被検者に2.23%オクテニルコハク酸デンプンAlを含むローションC(pH5.5)、52人の被検者に3%オクテニルコハク酸デンプンAlを含むローションD、102人の被検者に2.5%オクテニルコハク酸デンプンAlを含むローションE(pH5.3)を用いて3週間の誘導期間において週3回合計9回にわたってローションAおよびDは24時間閉塞パッチ適用し、ローションB,CおよびEは48時間閉塞パッチ適用し10~21日間の無処置期間を設けた後にチャレンジパッチが適用され、パッチ除去24および48時間後に部位を評価したところ、ローションA,C,DおよびEへの誘導期間およびチャレンジ期間の皮膚反応は認められなかった。1人の被検者はローションBにおいて3回目の誘導適用後に軽度の紅斑が観察されたが、それは単発であり、96時間のスコアリングでは反応は消失した。いずれのローションも増感剤ではなかったと結論づけられた(Biosearch Inc,1994;Stephens and Associates Inc,1998;Clinical Research Services,1996;Essex Testing Clinic Inc,1988;Clinical Research Services,1997)
  • [ヒト試験] 240人の被検者の上腕と背部に30.5%オクテニルコハク酸デンプンAlを含むダークブラウンペースト0.02gを誘導期間において週3回3週間にわたって48~72時間パッチ適用し、2週間の休息期間を設けた後に未処置部位にチャレンジパッチを72時間適用した。パッチ除去24時間後に皮膚反応を評価したところ、2人の被検者で紅斑が観察されたが、この反応は臨床的に有意な刺激性またはアレルギー性接触性皮膚炎とはみなされなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1998)
  • [ヒト試験] 121人の被検者の上腕に20%オクテニルコハク酸デンプンAlサンプル0.3mLを誘導期間において週3回3週間にわたって24時間閉塞パッチ適用し、2週間の休息期間を設けた後に未処置部位にチャレンジパッチを24時間適用した。パッチ適用から48および96時間後に皮膚反応を評価したところ、接触感作を示した被検者はいなかった(Hill Top Research Inc,1981)
  • [ヒト試験] 109人の被検者の上背部に25%オクテニルコハク酸デンプンAl製剤0.1mLを誘導期間において週3回3週間にわたって24時間閉塞パッチ適用し、3週間の休息期間を設けた後に未処置部位にチャレンジパッチを24時間適用した。パッチ除去24および48時間後で反応を評価したところ、誘導期間またはチャレンジ期間の間に紅斑反応は起こらなかった。オクテニルコハク酸デンプンAlはアレルギー性接触感作を誘発する可能性はないと結論付けられた(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1999b)

池田回生病院皮膚科の症例報告(文献2:2000)によると、

  • [個別事例] 接触皮膚炎の既往歴のある33歳女性が、化粧品を変更し、2日目から顔面に一部落屑をともなう瘙痒性紅斑を認めたため、使用していたフェイスパウダーをパッチテストしたところ、成分パッチテストでオクテニルコハク酸デンプンAl、ムクロジエキスに陽性であった。さらに濃度希釈パッチテストを施行したところ、0.2%~10%濃度で陽性を示した。以上よりフェイスパウダーの成分であるオクテニルコハク酸デンプンAl、ムクロジエキスによる接触皮膚炎と診断した

と記載されています。

試験データをみるかぎり、多くの試験で皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

ただし、2000年に国内で1例のみですが、接触皮膚炎の報告があります。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
オクテニルコハク酸デンプンAl

参考までに化粧品毒性判定事典によると、オクテニルコハク酸デンプンAlは■(∗1)となっていますが、これは合成ポリマーの共通判定であり、安全データをみるかぎり、安全性に問題はないと考えられます。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

オクテニルコハク酸デンプンAlはその他にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:その他

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2002)「Final Report on the Safety Assessment of Aluminum Starch Octenylsuccinate」,<http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1080/10915810290096379> 2018年5月31日アクセス.
  2. 西井貴美子, 他(2000)「植物成分配合のフェイスパウダーによるアレルギー性接触皮膚炎」皮膚(42)(2),143-147.

スポンサーリンク

TOPへ