イソ酪酸酢酸スクロースとは…成分効果と毒性を解説

可塑剤
イソ酪酸酢酸スクロース
[化粧品成分表示名称]
・イソ酪酸酢酸スクロース

酢酸およびイソ酪酸とスクロースとのエステルです。

化粧品に配合される場合は、ネイルエナメルのベースをつくる皮膜形成剤を柔らかくしなやかにする可塑剤としてマニキュア、ネイルエナメル、ネイルカラー、ネイルコートなどのネイル製品に使用されます。

また、接着力がつよく、毛髪保護成分としてヘアケア製品にも使用されます。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2016年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

イソ酪酸酢酸スクロースの配合製品数と配合量の調査結果(2016年)

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イソ酪酸酢酸スクロースの安全性(刺激性・アレルギー)について

イソ酪酸酢酸スクロースの現時点での安全性は、皮膚刺激性は非刺激または一過性のわずかな皮膚刺激が起こる可能性があり、眼刺激性はわずかに刺激が起こる可能性がありますが、皮膚感作(アレルギー)の報告もないため、総合的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

イソ酪酸酢酸スクロースはほとんどネイル製品に使用されるため、一過性のわずかな皮膚刺激性は問題ない範囲であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Saccharide Esters as Used in Cosmetics」(文献1:2016)によると、

  • [ヒト試験] 203人の被検者(男性40人、女性163人)に20%イソ酪酸酢酸スクロースを含むアセトンを誘導期間およびチャレンジ期間にパッチ適用(HRIPT)し、各パッチ除去後に皮膚反応を評価したところ、誘導期間において3人の被検者で軽度の紅斑が観察され、チャレンジ期間において1人の被検者に適用から48時間で軽度の紅斑が報告されたが、臨床的に意味のある反応とは考えられず、20%イソ酪酸酢酸スクロースを含むアセトンは皮膚刺激剤および皮膚感作剤の兆候はなかった(European Chemical Agency,2016a)
  • [動物試験] モルモットの剃毛した皮膚に20%イソ酪酸酢酸スクロースを含むアセトン5-20mLを24時間ガーゼパッチ適用し、パッチ除去後に皮膚刺激を観察したところ、一過性のわずかな皮膚刺激が観察された(Krasavage WJ, et al.,1973a)
  • [動物試験] モルモットの剃毛した皮膚にイソ酪酸酢酸スクロース(濃度不明)を誘導期間において5日間で3回以上適用し、3週間の休息期間を設けた後にチャレンジ期間において右肩に試験物質を適用し、1週間後に左肩に適用したところ、遅延反応の増加の兆候はなかった(Krasavage WJ, et al.,1973b)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、動物試験で一過性のわずかな刺激が報告されていますが、そのほかは共通して皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されているため、皮膚刺激性は非刺激または一過性のわずかな刺激が起こる可能性があり、また皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

補足として、イソ酪酸酢酸スクロースはほとんどネイル製品に使用されるため、一過性のわずかな皮膚刺激性は問題ない範囲であると考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Saccharide Esters as Used in Cosmetics」(文献1:2016)によると、

  • [動物試験] 3匹のウサギのすべての結膜嚢に50%イソ酪酸酢酸スクロースを含むコーン油0.1mLを点眼し、それぞれ片目は洗浄し、残りの片目は洗浄せず、OECDテストガイドライン405に従って72時間まで眼を評価したところ、1時間で洗浄してないすべての眼の結膜に中等の紅斑が認められ、24時間後で洗浄してない3つの眼のうち2つにわずかな紅斑が認められました。48時間で洗浄されていない3つの眼のうち2つは正常に回復し、72時間で洗浄されていない3つの眼はすべて正常であった。洗浄したすべての眼は24時間で正常であった。イソ酪酸酢酸スクロースはウサギの眼に対してわずかに刺激性であると結論付けられた(European Chemical Agency,2016b)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、ウサギの眼にわずかに刺激があると報告されているため、眼刺激性はわずかに刺激が起こる可能性があると考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
イソ酪酸酢酸スクロース

参考までに化粧品毒性判定事典によると、イソ酪酸酢酸スクロースは△(∗1)となっており、試験データをみるかぎり、安全性に問題はないと考えられます。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

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イソ酪酸酢酸スクロースはその他にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:その他

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文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2016)「Safety Assessment of Saccharide Esters as Used in Cosmetics」,<https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/FR721.pdf> 2018年5月28日アクセス.

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