アラビアゴムとは…成分効果と毒性を解説

皮膜形成 増粘 結合 感触改良
アラビアゴム
[化粧品成分表示名称]
・アラビアゴム

[医薬部外品表示名称]
・アラビアゴム

マメ科植物アラビアゴムノキ(学名:Acacia senegal 英名:Gum Arabic Tree)の樹脂に存在し、化学構造的に、ガラクトースを主鎖とし、側鎖としてガラクトース、アラビノース、ラムノースおよびグルクロン酸がグルコシド結合した多糖類(樹液粘質物:植物系水溶性高分子)です。

アラビアゴムの特性は、

分子量 溶解性 物性の変化 備考
冷水 熱水 アルコール 耐熱 耐酸 耐塩 耐酵素
20-30万 可溶 可溶 不溶 乳化性あり
粘度(mPa・s) 粘性 ゲル化性
200前後(30%,20℃) ニュートン粘性
(40%以上で非ニュートン粘性)
なし

このように報告されています(文献3:2016)

アラビアゴムは水溶性高分子であることから増粘作用を示しますが、DSP五協フードによって報告されている以下のグラフのように、

天然系水溶性高分子の濃度と粘度の関係

他の高分子多糖類と比較すると粘度は低く(文献7:-)、これは化学構造的に高度に分岐したコンパクトな分子構造で分枝同士の絡まりが少ないことに起因していると考えられています(文献4:2011)

また、アラビアゴムの特徴のひとつに油脂に対する乳化性がありますが、これはアラビアゴムには疎水性のペプチドが結合しているためであり、疎水ペプチドを油脂中に、親水性の多糖類部分を水中に存在させることで強い乳化力を表すことが報告されています(文献5:1996)

日本においては主に食品分野で、乳化香料、チョコレート・キャンディーのコーティング剤に使用されています(文献7:-)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、マスカラ、ヘアスタイリング製品、スキンケア化粧品などに使用されています(文献1:2015)

皮膜形成

皮膜形成に関しては、完全に乾くとフィルム状の皮膜を形成するので、お湯で落とせるマスカラの皮膜形成剤として使用されています(文献6:2015)

結合

結合に関しては、アラビアゴムは粘度は高くないものの増粘作用があるため、マスカラやファンデーションなどの粉体同士の結合剤(バインダー)および顔料分散安定剤として使用されます(文献7:-)

増粘・感触改良

増粘・感触改良に関しては、増粘作用があることから感触を向上させるためにスキンケア化粧品に使用されることもあります(文献6:2015)

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2000-2001年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

アラビアゴムの配合製品数と配合量の調査結果(2000-2001年)

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アラビアゴムの安全性(刺激性・アレルギー)について

アラビアゴムの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2005)によると、

  • [ヒト試験] 25人の被検者(18-49歳)に8%アラビアゴムを含むマスカラ0.1mLを対象にMaximization皮膚感作試験を閉塞パッチにて実施したところ、試験期間において皮膚感作反応は観察されなかった。この試験条件下では8%アラビアゴムを含むマスカラは検出可能な接触感作能を有さず、したがって通常使用条件下で接触感作反応を引き起こす可能性は低いと結論付けられた(Ivy Laboratories,2000)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

職業的に毎日アラビアゴム粉末を吸入および暴露する環境の場合、吸入および暴露から1年から数年の期間を経て職業性アレルギー性の喘息・鼻炎・皮膚のかゆみなどを発症するケースが報告されていますが(文献2:1979)、これは職業的に工場などで粉末を毎日吸入および暴露する環境下での感作反応であり、化粧品に含まれる配合量での一般使用条件下でアレルギーが起こる可能性はほとんどないと考えられます。

ただし、アラビアゴムは0.3-0.5%の窒素を含有していますが、これは蛋白窒素であると考えられており(文献2:1979)、ごくまれにアラビアゴムで感作反応が起こることも可能性としてありえると考えられます。

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アラビアゴムはその他の成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:その他

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文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2005)「Final Report of the Safety Assessment of Acacia Catechu Gum, Acacia Concinna Fruit Extract, Acacia Dealbata Leaf Extract, Acacia Dealbata Leaf Wax, Acacia Decurrens Extract, Acacia Farnesiana Extract, Acacia Farnesiana Flower Wax, Acacia Farnesiana Gum, Acacia Senegal Extract, Acacia Senegal Gum, and Acacia Senegal Gum Extract」International Journal of Toxicology(24)(3),75-118.
  2. 猪熊 茂子, 他(1979)「アラビアゴムによる職業性アレルギー性喘息および鼻炎」アレルギー(28)(1),1-6.
  3. 日光ケミカルズ(2016)「高分子」パーソナルケアハンドブック,106-134.
  4. 井戸 隆雄, 他(2011)「アラビアガムの特性とその利用」応用糖質科学:日本応用糖質科学会誌(1)(3),244-246.
  5. 浅井 以和夫, 他(1996)「多糖類による食品物性形成」応用糖質科学(43)(3),385-392.
  6. 宇山 光男, 他(2015)「アラビアゴム」化粧品成分ガイド 第6版,168.
  7. “多糖類.com”(-)「アラビアガム」, <https://www.tatourui.com/about/type/08_arabicgum.html> 2019年5月27日アクセス.

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