ローヤルゼリーエキスとは…成分効果と毒性を解説

保湿 皮脂抑制
ローヤルゼリーエキス
[化粧品成分表示名称]
・ローヤルゼリーエキス

[医薬部外品表示名称]
・ローヤルゼリーエキス

ミツバチ科昆虫セイヨウミツバチ(学名:Apis mellifera 英名:honey)の若い働きバチが花粉やハチミツを食べ、体内で分解・合成し、咽頭腺および大腮腺から分泌する膠状物質から得られるエキスです。

ローヤルゼリーを化粧品に用いる場合は、生ローヤルゼリーではなく、ローヤルゼリーエキスを用いるのが一般的です。

これは、生ローヤルゼリーを化粧品に配合した場合、独特の香りとベタつきが残るためであり、このような理由から独自成分であるデセン酸を残したまま、ベタつきの原因である油分や刺激の原因となるタンパク質を除去したエキスが配合されています。

ローヤルゼリーエキスの成分組成は、天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

などで構成されています(文献2:2002)

ローヤルゼリーは働きバチによって分泌されますが、女王バチが産んだ幼虫(後の女王バチ)や成虫となった女王バチにのみに与えられる食物であり、このことから王乳(おうにゅう)とも呼ばれ、また別名をビーミルク(Bee Milk)ともいい、さらに中国では蜂乳や女王寒天質とも呼ばれています。

ローヤルゼリーという名は、王様のゼリーという意味で、17世紀にオランダのスワンメルダムという学者が命名し、18世紀末にスイス出身のスワンメルダムの著書「蜜蜂に関する新観察」によって世界中に広く知られるようになりました(文献1:2011)

ローヤルゼリーの有用性に関しては、創傷治癒作用、脂質低下作用、抗菌作用、老化防止作用、慢性疾患に対する作用など、日本および欧米諸国において臨床試験について多くの研究報告例が報告されています。

ただし、基本的には生命の根源を司る間脳(生命中枢)に作用して、自律神経系の調節作用、細胞の賦活作用や抗体の産生能など生体の防御機構に直接的あるいは間接的に関与していると考えられています(文献2:2002)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、ハチミツをコンセプトにした製品、スキンケア化粧品、リップ製品、ハンド&ボディケア製品、メイクアップ化粧品、洗顔料&洗顔石鹸、洗浄製品、ヘアケア製品、頭皮ケア製品、シート&マスク製品、ネイル製品など様々な製品に使用されています(文献2:2002)

角層水分量増加による保湿作用

角層水分量増加による保湿作用に関しては、2014年に山田養蜂場によって報告されたローヤルゼリーエキスの保湿効果検証によると、

16人の女性ボランティア(30-60歳代)を対象に、一方の腕にローヤルゼリーエキス配合溶液を、もう一方には未配合溶液を4週間塗布し、塗布開始前、2週間後および4週間後に角層の水分量を測定したところ、以下のグラフのように、

ローヤルゼリーエキス塗布による角層水分量の変化

ローヤルゼリーエキス塗布部位は、角層水分量が増加していたことがわかった。

このような検証結果が明らかにされており(文献3:2014)、ローヤルゼリーエキスに角層水分量増加による保湿作用が認められています。

皮脂合成抑制による皮脂抑制作用

皮脂合成抑制による皮脂抑制作用に関しては、まず前提知識として皮脂について解説します。

皮脂にはトリグリセリド、ワックスエステル、スクアレン、遊離脂肪酸が含まれており、また以下の毛穴の画像をみてもらうとわかりやすいと思うのですが、

体毛の構造図

皮脂は皮脂腺で産生され、毛穴を通って皮膚表面に放出されて皮膚や体毛の表面に薄い膜状に広がり、物理的・化学的に皮膚や毛髪の保護や保湿の役割を果たしています。

皮脂産生には季節変動や日内変動のあることが知られており、また皮脂分泌量は環境温度や食事に影響されるといわれています。

また、思春期に皮脂分泌は亢進し(文献7:1979)、生理周期にともない皮脂量は変動することから(文献8:1973)、皮脂腺の活動はホルモン(エストロゲン、プロゲステロン、アンドロゲン)に影響されると考えられています。

とくに思春期での皮脂量増加は女性よりも男性のほうが大きく、去勢した男性では脂漏を生じないことから種々のホルモンの中でも男性ホルモンであるアンドロゲンの影響が最も大きいといえます。

皮膚において過剰に皮脂が分泌されると、肌のベタつき、テカリ、毛穴の拡大、角栓などの原因となり、また毛穴が詰まると産生された皮脂が毛穴にたまり、この皮脂を餌とするアクネ菌(Propionibacterium acnes)の増殖によるニキビの原因となります(文献9:2016)

さらに過剰に分泌された皮脂が酸化されて過酸化脂質に変化すると、コラーゲンやエラスチンなど皮膚弾力繊維の損傷による老化を引き起こしたり、色素沈着も引き起こすことが知られています。

そういった背景から過剰な皮脂分泌を抑制することは、健常な皮膚の維持にとって重要であると考えられます。

1988年にポーラ横浜研究所によって報告されたローヤルゼリーエキスに含まれる特有成分であるヒドロキシデセン酸の皮脂への影響検証によると、

アンドロゲン刺激としてテストステロンを皮下注射した雌ハムスターの耳介に、10-ヒドロキシデセン酸塗布したところ、未塗布部位と比較して皮脂腺肥大化の抑制が認められた。

さらに、ハムスター耳介皮膚片を用いて¹⁴C酢酸を基質として測定したin vitro脂質生合成評価系において、10-ヒドロキシデセン酸添加による脂質合成低下を確認した。

これらの結果からヒドロキシデセン酸は、皮脂腺での脂質合成阻害作用を有しており、これがローヤルゼリーの皮脂腺抑制作用を担うものであることが示唆された。

このような検証結果が明らかにされており(文献5:1988)、ローヤルゼリーエキス(ヒドロキシデセン酸を含む)に皮脂合成抑制による皮脂抑制作用が認められています。

また2000年に花王によって報告されたω-ヒドロキシ酸の皮脂への影響検証によると、

ω-ヒドロキシ酸のうち10-ヒドロキシデセン酸と11-ヒドロキシウンデカン酸について塗布系での皮脂腺への作用を検討した。

ハムスター耳介の一方に10%試料溶液を、他方に基剤のみを2週間塗布して皮膚片を採取し、¹⁴C酢酸を基質として皮脂腺での脂質合成能を測定したところ、以下の表のように、

試料 アンドロゲン刺激雌ハムスター耳介
(テストステロン100ppm同時塗布系)
雄ハムスター耳介
10-ヒドロキシデセン酸 81.2 ± 6.54 98.6 ± 7.94
11-ヒドロキシウンデカン酸 82.8 ± 7.87 81.1 ± 9.26

まず、雌ハムスター耳介に試料と同時に100ppmテストステロンを塗布し、アンドロゲン刺激により亢進した皮脂腺への作用をみたところ、10-ヒドロキシデセン酸および11-ヒドロキシウンデカン酸はほぼ同程度の脂質合成抑制作用を示した。

しかし、アンドロゲン刺激をかけず、雄ハムスター耳介に塗布した場合には11-ヒドロキシウンデカン酸のみに有意な脂質合成の抑制が認められた。

このような検証結果が明らかにされており(文献6:2000)、ローヤルゼリーエキス(ヒドロキシデセン酸を含む)に皮脂合成抑制による皮脂抑制作用が認められています。

ただし、ヒドロキシデセン酸の脂質合成抑制作用は、男性ホルモンであるアンドロゲン刺激をかけた場合にのみ有効である可能性が示唆されています。

効果・作用についての補足

ローヤルゼリーの特有成分であるヒドロキシデセン酸には、チロシナーゼ活性阻害作用、線維芽細胞増殖作用があることが報告されていますが(文献2:2002;文献4:2002)、ヒトでの有効性試験などがみあたらないため、現時点では保留とし、詳細がわかりしだい追補します。

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ローヤルゼリーエキスの安全性(刺激性・アレルギー)について

ローヤルゼリーエキスの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

皮膚刺激および皮膚感作(アレルギー)の原因となるタンパク質を除去しており、また10年以上の使用実績の中で皮膚刺激性および感作性の報告もみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

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ローヤルゼリーエキスは保湿成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分

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文献一覧:

  1. 鈴木 洋(2011)「ローヤルゼリー」カラー版健康食品・サプリメントの事典,205.
  2. 杉井 伸二(2002)「ローヤルゼリーの生成と有用性および化粧品への応用」Fragrance Journal(30)(3),55-58.
  3. 織部 恵莉(2014)「肌状態の改善に関するミツバチ産品由来原料の効果」ファインケミカル(43)(11),19-26.
  4. 堤 龍彦, 他(2002)「ミツバチ由来原料の香粧品への応用」Fragrance Journal(30)(3),17-24.
  5. 前田 哲夫, 他(1988)「ローヤルゼリーおよび10-ヒドロキシデセン酸のハムスター耳介脂腺におよぼす作用」日本皮膚科学会雑誌(98)(4),469.
  6. 北原 隆, 他(2000)「皮脂抑制剤ヒドロキシ酸の開発」Fragrance Journal(28)(12),17-21.
  7. M Nazzaro-Porro, et al(1979)「Effect of dicarboxylic acids on lentigo maligna.」The Journal of Investigative Dermatology(72)(6),296-305.
  8. J L Burton, et al(1973)「Sebum excretion in Parkinsonism」British Journal of Dermatology(88)(3),263-266.
  9. 冨田 秀太(2016)「マイクロバイオームとニキビ」日本香粧品学会誌(40)(2),97-102.

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