レイシエキス(レイシ柄エキス)とは…成分効果と毒性を解説

保湿
レイシエキス
[化粧品成分表示名称]
・レイシエキス、レイシ柄エキス

[医薬部外品表示名称]
・レイシエキス

マンネンタケ科担子菌マンネンタケ(学名:Ganoderma lucidum)の子実体(∗1)からエタノールBG、またはこれらの混液で抽出して得られる抽出物植物エキスです。

∗1 子実体とは、菌類において胞子が形成される部分が集合して塊状となったものであり、大型でよく目だつ子実体はいわゆる「キノコ」と呼ばれます。

マンネンタケ(万年茸)は、中国各地や日本各地に分布する、広葉樹の切り株や枯木の根元に生えるキノコの一種であり、かつては入手困難で非常に高価な霊薬として珍重されていましたが、1971年に日本で人工栽培に成功して量産が可能となり、現在では中国や韓国でも栽培されています(文献1:2011;文献2:1985)

レイシエキスは天然成分であることから、地域、時期、抽出方法によって成分組成に差異があると推察されますが、その成分組成は主に、

分類 成分名称
糖類 多糖 β-D-グルカン
テルペノイド トリテルペン ガノデリン酸(苦味成分)
アミノ酸 アミノ酸(詳細不明)

これらの成分で構成されていることが報告されています(文献1:2011;文献2:1985;文献3:2013)

マンネンタケの子実体(生薬名:霊芝)の化粧品以外の主な用途としては、漢方分野において強壮・安神(∗2)・健胃・止咳の効能があることから体力低下、慢性疲労、不眠症、気管支炎、気管支喘息などに用いられています(文献1:2011)

∗2 安神(あんしん)とは、気持ちを安定させて精神を和らげることをいいます。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的でスキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、ボディ&ハンドケア製品、シート&マスク製品、頭皮ケア製品、ネイル製品、洗顔料、洗顔石鹸、クレンジング製品などに使用されています。

皮表柔軟化による保湿作用

皮表柔軟化による保湿作用に関しては、まず前提知識として皮膚最外層である角質層の構造と役割について解説します。

直接外界に接する皮膚最外層である角質層は、以下の図のように、

角質層の構造

天然保湿因子を含む角質と角質の間を細胞間脂質で満たした、レンガとモルタルの関係と同様の構造となっており、この構造が保持されることによって、外界からの物理的あるいは化学的影響から身体を守り、かつ体内の水分が体外へ過剰に蒸散していくのを防ぐとともに一定の水分を保持する役割を担っています(文献4:2002;文献5:2001)

一方で、老人性乾皮症やアトピー性皮膚炎においては、角質細胞中のアミノ酸などの天然保湿因子が顕著に低下していることが報告されていることから(文献6:1989;文献7:1991)、角質層の水分量を増加することは、肌の乾燥の改善、ひいては皮膚の健常性の維持につながると考えられています。

1983年に野々村商事によって報告されたレイシエキスのヒト肌荒れ皮膚に対する影響検証によると、

50人の女性被検者(25-50歳)に0.1%レイシエキス配合化粧水と対照としてレイシエキス未配合化粧水をそれぞれ4週間にわたって使用してもらい、肌なじみおよびしっとりさを「優」「良」「可」の基準で評価したところ、以下の表にように、

試料 被検者数 皮膚親和性(肌なじみ) 湿潤性(しっとり感)
レイシエキス配合化粧水 50 20 25 5 31 13 6
化粧水のみ(対照) 50 3 10 37 9 13 28

0.1%レイシエキス配合化粧水塗布は、未配合化粧水塗布グループと比較して優れた皮表柔軟効果を示した。

このような試験結果が明らかにされており(文献8:1983)、レイシエキスに皮表柔軟化による保湿作用が認められています。

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レイシエキスの安全性(刺激性・アレルギー)について

レイシエキスの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 30年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

野々村商事の安全性試験データ(文献8:1983)によると、

  • [ヒト試験] 50人の被検者に0.1%レイシエキスを48時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去後すぐおよび24時間後に皮膚刺激性を評価したところ、いずれの被検者も皮膚刺激の兆候を示さなかった

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激なしと報告されているため、一般に皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

皮膚感作性(アレルギー性)について

医薬部外品原料規格2006に収載されており、30年以上の使用実績がある中で重大な皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

∗∗∗

レイシエキスは保湿成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. 鈴木 洋(2011)「霊芝(れいし)」カラー版 漢方のくすりの事典 第2版,487-488.
  2. 水野 卓, 他(1985)「マンネンタケ(霊芝)の薬効と食効」化学と生物(23)(12),797-802.
  3. 御影 雅幸(2013)「レイシ」伝統医薬学・生薬学,252-253.
  4. 朝田 康夫(2002)「保湿能力と水分喪失の関係は」美容皮膚科学事典,103-104.
  5. 田村 健夫, 他(2001)「表皮」香粧品科学 理論と実際 第4版,30-33.
  6. I Horii, et al(1989)「Stratum corneum hydration and amino acid content in xerotic skin」British Journal of Dermatology(121)(5),587-592.
  7. M Watanabe, et al(1991)「Functional analyses of the superficial stratum corneum in atopic xerosis」Archives of Dermatology(127)(11),1689-1692.
  8. 有限会社野々川商事(1983)「化粧料」特開昭58-113118.

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