アシタバ葉/茎エキスとは…成分効果と毒性を解説

保湿成分 細胞賦活剤 育毛剤
アシタバ葉/茎エキス
[化粧品成分表示名称]
・アシタバ葉/茎エキス

[医薬部外品表示名称]
・アシタバエキス

セリ科植物アシタバ(学名:Angelica keiskei)の葉および茎からBG(1,3-ブチレングリコール)で抽出して得られるエキスです。

アシタバ葉/茎エキスの成分組成は、抽出方法や天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

  • カルコン類:キサントアンゲロール、4-ハイドロキシデリシン
  • ビタミン類:A,B,K
  • フラボノイド類:ルテオリン
  • 有機酸
  • ミネラル

などで構成されています(文献1:2006;文献3:2011)

アシタバは、関東、東海地方、紀伊半島など日本の温暖な海岸地帯に生える多年草で、成長が速く、葉を摘んでも明日になるとまた葉が伸び出すことからアシタバ(明日葉)の名があります。

葉にはルテオリン配糖体やイソケルセチンのほか、各種ビタミン類が含まれ、葉や茎を切ると黄色い汁が出ますがその主成分はカルコン類のキサントアンゲロール、4-ハイドロキシデリシンであり、抗菌、抗炎症、胃酸分泌抑制、血管拡張といった作用があると報告されています(文献3:2011)

近年、明日葉の抽出成分に糖尿病の合併症を防ぐ効果、神経成長因子や骨形成タンパクの産生増強物質が含まれていることが発表され、糖尿病や認知症、骨粗鬆症への効果が検討されています(文献3:2011)

また、健康食品として生活習慣病、便秘、貧血などに用いられるほか、ダイエットやセルライト解消などの効果も謳われていますが、これらの効果は実証されていません(文献4:2011)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、アイケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、メイクアップ化粧品、ヘアケア製品、洗浄製品、洗顔料、まつ毛美容液など様々な製品に使用されます(文献1:2006;文献2:2012;文献5:2007)

VEGF発現促進による育毛作用

VEGF発現促進による育毛作用に関しては、まず前提知識として血管内皮増殖因子であるVEGFについて解説します。

以下の毛髪の構造図と毛周期の図をみてもらうとわかりやすいと思うのですが、

毛髪の構造

毛周期(ヘアサイクル)

毛包は周囲を血管によって網状に取り囲まれ、また毛乳頭には血管が内部に入り込んでいますが、これらの血管は成長期には増加して栄養やエネルギーを多量に輸送し、退行期、休止期には減少するといった毛包サイクルに沿った増減を繰り返します。

VEGFは、新しい血管を形成する血管新生因子として知られており、毛髪において成長期の毛乳頭に最も発現が多く、ついで退行期、休止期の順に少なくなること(文献6:1996)、またマウスの外毛根鞘細胞へのVEGF遺伝子導入は毛包周囲血管網の構築促進と毛包・毛幹サイズの増大を示すことが報告されています(文献7:2001)

また、VEGFは加齢にともなって減少することで毛根でつくられる毛髪が細くなり、ハリやコシが弱くなることが明らかにされており、また加齢によるVEGF作用の減少程度はハリやコシのあるヒトよりもハリやコシのないヒトに顕著であり、さらにヒト男性型脱毛においてはVEGF産生が低下することが認められています。

2007年に資生堂によって公開された生薬エキスにおけるVEGF発現促進検証によると、

生薬のスクリーニングによってVEGF発現促進活性を有することが認められたヤグルマギクエキス、アシタバエキスおよびビャクジュツエキスのそれぞれについて正常細胞における実際のVEGF発現促進効果の有無を確認するために、正常ヒトケラチノサイトにそれぞれのエキスを培養液に対する濃度として10⁻³(0.001)、10⁻²(0.01)%を添加し24時間培養後に測定したところ、以下のグラフのように、

生薬エキスにおけるVEGF発現量増加比較

それぞれのエキスがVEGFの発現を濃度依存的に促進することが確認された。

このような検証結果が明らかにされており(文献5:2007)、アシタバ葉/茎エキスに濃度依存的なVEGF発現促進による育毛作用が認められています。

FGF-7、IGF-1およびHGF産生促進による育毛作用

FGF-7、IGF-1およびHGF産生促進による育毛作用に関しては、まず前提知識として線維芽細胞増殖因子のひとつであるFGF-7、インスリン様増殖因子のひとつであるIGF-1、肝細胞成長因子であるHGFについて解説します。

以下の毛髪の構造図と毛周期の図をみてもらうとわかりやすいと思うのですが、

毛髪の構造

毛周期(ヘアサイクル)

FGF-7は、毛髪では毛乳頭細胞において発現し、毛包の退行期への移行を阻害して成長期を維持する作用と、その結果として毛髪を伸長させる作用が知られています(文献8:2010;文献9:2009)

インスリン様増殖因子のひとつであるIGF-1は、インスリンと構造が類似したペプチドホルモンで、毛包の毛乳頭細胞において発現し、器官培養毛包の伸長を促進する効果から毛成長促進因子として広く知られています(文献10:2005)

また、男性ホルモンにより伸長する髭などの毛包組織では毛乳頭細胞に存在する受容体を介して自己分泌的に作用し、毛母細胞の増殖促進や退行期の抑制に働くとされています(文献11:2005)

肝細胞成長因子であるHGFは、肝細胞の増殖を促進する因子として発見されましたが、肝臓に限らず各臓器由来の上皮細胞、内皮細胞などの増殖を促進することが知られており、毛包の毛乳頭においても発現し、毛髪を伸長させる作用が知られています(文献8:2010)

2010年に丸善製薬によって公開されたアシタバエキスのFGF-7、IGF-1およびHGF産生促進作用検証によると、

アシタバはとくに葉にルテオリン-7-O-グルコシドを含んでいることが知られており、アシタバ抽出物および/またはルテオリン-7-O-グルコシドに優れたFGF-7産生促進作用、IGF-1産生促進作用およびHGF産生促進作用を有していることを知見した。

また、これらの作用は、ルテオリン-7-O-グルコシドそのものであっても認められ、ルテオリン-7-O-グルコシドを含有するアシタバ抽出物のみでも認められる。

このような知見が明らかにされており(文献8:2007)、アシタバ葉/茎エキスにFGF-7産生促進、IGF-1産生促進およびHGF産生促進による育毛作用が認められています。

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アシタバ葉/茎エキスの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

アシタバ葉/茎エキスの現時点での安全性は、外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載されており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

ただし、詳細な試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

眼刺激性について

詳細な試験データはみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
アシタバ葉/茎エキス 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、アシタバ葉/茎エキスは毒性なし(∗2)となっており、安全性に問題はないと考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

アシタバ葉/茎エキスは保湿成分、細胞賦活成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分 細胞賦活成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. 日光ケミカルズ(2006)「植物・海藻エキス」新化粧品原料ハンドブックⅠ,361.
  2. 鈴木 一成(2012)「アシタバエキス」化粧品成分用語事典2012,223.
  3. 鈴木 洋(2011)「明日葉(あしたば)」カラー版 漢方のくすりの事典 第2版,4.
  4. 鈴木 洋(2011)「明日葉(アシタバ)」カラー版健康食品・サプリメントの事典,6-7.
  5. 長谷川 聖高, 他(2007)「血管内皮増殖因子(VEGF)発現促進剤」特開2007-106744.
  6. Lachger S,et al(1996)「VEGF mRNA expression in different stages of the human hair cycle:analysis by confocal laser microscopy:Hair reserch for the next millenium」Elsvier Science,407-411.
  7. Yano K,et al(2001)「Control of hair growth and follicle size by VEGF-mediated angiogenesis」J Clin Invest(107),409-417.
  8. 大戸 信明, 他(2007)「FGF-7産生促進剤、IGF-1産生促進剤及びHGF産生促進剤 」特開2010-150177.
  9. 小友 進(2009)「毛髪再生とアンチエイジング」Drug Derivery System(24)(2),109-116.
  10. Weger N, et al(2005)「Igf-1 signalling controls the hair growth cycle and the differentiation of hair shafts.」J Invest Dermatol(125)(5),873-882.
  11. Itami S, et al(2005)「Role of androgen in mesenchymal epithelial interactions in human hair follicle.」J Invest Dermatol Symp Proc(10)(3),209-211.

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