尿素とは…成分効果と毒性を解説

保湿成分
尿素
[化粧品成分表示名称]
・尿素

[医薬部外品表示名称]
・尿素

従来は尿から濃縮分離する方法が用いられていましたが、現在はアンモニアと二酸化炭素を合成して工業的に得られる無臭で無色~白色の結晶または結晶性の粉末です。

尿素はタンパク質が分解して生じたもので、尿の中に約5%含まれています。

また、汗や角質層の保湿成分である天然保湿因子(NMF)の中にも7%ほど含まれています。

NMF組成の平均的な内訳グラフ

軽度の殺菌作用があり、角質の柔軟および保湿効果があるため、ハンドクリーム、化粧水、乳液、クリームなどに配合されたり、毛髪の膨潤性(∗1)を向上させて毛髪内部へ他の有効成分やエキスの浸透を促進するためにコールドウェーブに、さらに湿潤剤としてシャンプーやリンスなどにも使用されます。

∗1 膨潤とは、水分を含んで膨れる(膨張する)ことです。

また、医薬用の保湿剤や軟膏剤として皮膚外用剤にも使用されており、角化異常症(∗2)に対して尿素10%配合の軟膏角質層の水分量の上昇が認められたと報告されています。

∗2 角化異常症とは、ターンオーバーのサイクルが乱れ、角質が硬く厚くなり粉状またはうろこ状に剥がれていく状態のことです。

ただし、尿素の吸湿性はそれほど高くないため、尿素の湿潤性や保湿性は、角質層を形成しているケラチンタンパク質の結合をゆるめて可溶性や膨潤性を高めているといわれています。

つまり、かんたんにいうと角質のケラチンタンパクを溶かして、角質を柔らかくし水分を含みやすい状態にすることで、柔軟性と保湿性が得られているということです。

こういった尿素の湿潤性および保湿性の原理が明らかになってからは、尿素を配合する保湿化粧品は年々減っているのが現状です。

実際にどのような製品に配合されているかというと、海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

尿素の配合製品数と配合量の調査結果

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尿素の安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

尿素の現時点での安全性は、医薬品の皮膚外用剤としても幅広く使用されており、10%以下の配合量においては皮膚刺激性および眼刺激性はほとんどなく、アレルギー(皮膚感作)の報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

ちなみに国内のスキンケア化粧品の尿素配合量は一般的には1%以下で、医薬品の皮膚外用剤の尿素配合量は10%以下です。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗3)やレポートを参照しています。

∗3 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report of the Safety Assessment of Urea」(文献1:2005)によると、

  • [ヒト試験] 10人の被検者の背中に5%尿素を含む化粧水0.3mLを21日間連続適用した。試験物質を含むパッチは適用後23時間後に除去され、1時間後に採点されて同じ部位に再適用された。結果として5%尿素を含む化粧水はわずかな皮膚刺激を示した(Hill Top Research,1977)
  • [ヒト試験] 16人の被検者に10%尿素ベース、ベースのみ、10%尿素ベース中の1%ヒドロコルチゾンアセテート、20%尿素を含む白色ワセリン皮膚軟化剤をそれぞれ閉塞パッチ下で21日間適用し、各24時間の最後の30分に刺激評価を行ったところ、20%尿素を含む皮膚軟化剤はすべての被検者が刺激を示したため、この試験物質を除いて、他の試験物質ではいずれの被検者も皮膚刺激を示さなかった(Fair and Krum,1979)
  • [ヒト試験] 4人の被検者の前腕に60%尿素を3日間閉塞チャンバー適用したところ、チャンバー除去30分後においていずれの被検者にも目に見える皮膚刺激は観察されなかった(Gollhausen and Kligman,1985)
  • [ヒト試験] 17人の健康な被検者を用いて異なる尿素含有物の刺激作用を評価した。20%尿素を含むワセリンまたは水溶液を上腕の内側にFinn Chamberを24時間適用し、パッチ除去1時間後に試験部位の皮膚刺激、皮膚血流、皮膚の厚さおよびTEWL(経表皮水分損失)を評価したところ、20%尿素を含む水溶液よりもワセリンのほうが反応が顕著で、皮膚血流の有意な増加が生じたが、48時間後には正常に戻った。また、ワセリンのほうで24時間後に皮膚浮腫が観察され、皮膚の厚みは、両方で試験前より増加がみられた。TEWLは、ワセリンのほうは24時間で有意な増加がみられたが48時間後には正常化し、水溶液のほうでは有意な増加は観察されなかった(Agner,1982)
  • [ヒト試験] 22人の被検者に3%尿素クリーム(pH3.5)を、23人の被検者に10%尿素クリーム(pH3.5)を3週間毎日2回適用したところ、10%尿素クリームで3人の被検者にスティンギング(刺痛)が生じた。炎症性皮膚反応または紅斑の報告はなかった。TEWL(経表皮水分損失)は、3%尿素クリームでは変化がなかったが、10%尿素クリームで有意に減少した(Serup,1992)
  • [ヒト試験] 健康なボランティアグループ2群(各6人)の前腕に2%尿素を含む水中油型エマルション(化粧水およびクリーム)と4%尿素を含む油中水型エマルション(化粧水およびクリーム)を塗布し、手袋をした指で静かにこすって、1時間後に拭き取り評価したところ、吸着性および脱着性は尿素を含む化粧水で最も高い値を示した。吸水性は、顕著な結果が生じた尿素を含む油中水型クリームで処理した後減少傾向がみられた。2%尿素を含む水中油型クリームおよび化粧水で処理した水分保持容量は有意に増加した。水蓄積量に関しては両方の化粧水で有意な結果は得られなかった(Treffel and Gabard,1995)
  • [ヒト試験] 50人の被検者に3%尿素を含むボディクリームを閉塞パッチ(Finn Chamber)を繰り返し適用(RIPT)したところ、皮膚刺激および皮膚感作の兆候はなかった(TKL, Inc,1997)
  • [ヒト試験] 214人の被検者に3%尿素製剤を繰り返し適用(RIPT)したところ、皮膚刺激および皮膚感作の可能性を示さなかった(Co,1999)

と記載されています。

試験結果では20%では皮膚刺激ありとの報告も多いですが、10%未満の場合は皮膚刺激なし~わずかな刺激という結果が多く、また医薬品の皮膚外用剤にも使用されているため、10%以下の配合量では皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report of the Safety Assessment of Urea」(文献1:2005)によると、

  • [動物試験] 12匹のウサギに0.5%ベンザルコニウムクロリドを1日2回合計5回投与することで角膜炎を誘発され、その後2.24%尿素を含む軟膏を1日2回11日間にわたって投与し、角膜炎および角膜上皮欠損について毎日11日間検査したところ、処置された眼において有意な改善が生じ、他の変化や異常は認められなかった(Charlton et al.,1996)

と記載されています。

試験結果はひとつですが、角膜炎の有意な改善が認められているため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

JETOC 日本化学物質安全・情報センターの初期評価プロファイル(文献1:1994)によると、

  • ドライスキンの治療のための軟膏およびクリーム(尿素濃度10%以下)への尿素の使用は広く行われており、長期追跡調査により、尿素はアレルゲンではなく、事実上副作用がないことが示された

と記載されています。

安全性評価レポートで、長期追跡調査により尿素がアレルゲンでないことが明らかにされているため、皮膚感作(アレルギー)はないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
尿素 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、尿素は毒性なし(∗4)となっており、皮膚刺激や毒性はほとんどないと考えられます。

∗4 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

尿素は保湿成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2005)「Final Report of the Safety Assessment of Urea」, <https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16422263> 2017年11月24日アクセス.
  2. JETOC 日本化学物質安全・情報センター(1994)「初期評価プロファイル 尿素」, <http://www.jetoc.or.jp/safe/siap_top.html
    > 2017年11月24日アクセス.

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