加水分解卵殻膜とは…成分効果と毒性を解説

保湿成分 抗老化成分
加水分解卵殻膜
[化粧品成分表示名称]
・加水分解卵殻膜

[医薬部外品表示名称]
・加水分解卵殻膜

鶏卵の殻と白身の間にある0.07mmの薄膜(卵殻膜)をアルカリによって加水分解して得られる淡黄色~褐色の水溶性粉末です。

卵殻膜はフィルターの役割をしており、鶏の雛が最近に侵されずに育つのもこの卵殻膜のおかげです。

主成分はタンパク質で、20種類のアミノ酸から構成されており、デミコスメティクスの資料によるとアミノ酸組成は、

  • シスチン:15.8%
  • グルタミン酸:13.3
  • アスパラギン酸:8.1%
  • プロリン:7.0%
  • グリシン:6.0%
  • ロイシン:5.8%
  • スレオニン:5.8%
  • リジン:5.1%
  • バリン:4.7%
  • メチオニン:4.4%
  • アラニン:4.1%
  • イソロイシン:3.8%
  • アルギニン:3.7%
  • セリン:3.2%
  • ヒスチジン:2.3%
  • フェニルアラニン:2.3%
  • チロシン:2.2%
  • トリプトファン:1.6%
  • ヒドロキシプロリン:0.9%
  • ヒドロキシリジン:0.1%

となっており、ヒトの皮膚や毛髪のアミノ酸組成と非常に近い構成で、さらにコラーゲンやヒアルロン酸を含有している自然界で唯一の素材です。

化粧品に配合される場合は、ヒアルロン酸やコラーゲンの産生を促進する線維芽細胞を増やす働きや肌の真皮に多く存在するⅢ型コラーゲンの産生を促進する効果があるため、保湿化粧品やエイジングケア化粧品に使用されます。

以下は2011年にヒト線維芽細胞に加水分解卵殻膜を加えて増殖量を比較した培養試験ですが、

加水分解卵殻膜による線維芽細胞培養試験結果

0.1μgでかなり線維芽細胞が増殖しているのが認められます。

2010年4月に第109回日本皮膚科学会総会で発表された以下の研究結果によると、線維芽細胞が増えることでヒアルロン酸を合成する酵素も増加し、結果的にヒアルロン酸も増えることで肌の弾力性が改善されることが明らかになっています(文献2:2010)

本研究では、加水分解卵殻膜入り化粧品の塗布が女性の肌の水分や弾力性に与える効果を30人のボランティアの女性(年齢20才~65才)を対象に研究した。

被験者は前腕と上腕に1日2回12週間、化粧水とクリーム(卵殻膜群は1%加水分解卵殻膜入り、対照群は加水分解卵殻膜なしで各々15名)を塗布した。

化粧品塗布部位の水分は卵殻膜群・対照群とも塗布前と比べて有意に増加し、その増加は実験群の方が大きかった。

弾力性は卵殻膜群で有意な増加が確認された。

加水分解卵殻膜上のヒト線維芽細胞は、ヒアルロン酸合成酵素2遺伝子発現を容量依存的に増加するin vitro実験結果から、卵殻膜成分の皮膚状態改善機能の存在が示唆された。

また、2012年6月に第44回日本結合組織学会学術大会・第59回マトリックス研究大会合同学術集会で発表された以下の研究結果によると、ヒト皮膚において有意な弾力性のアップが認められました(文献3:2012)(∗1)

∗1 この試験は上の2011年の線維芽細胞培養試験で増殖に成功したものが、ヒト皮膚でもうまくいくのかを試験したものです。

ヒト皮膚線維芽細胞は、細胞膜を真似た人工ホスホリルコリンポリマーに結合したアルカリ加水分解卵殻膜(ASESM)上で培養した場合、真皮に近い環境を与えることで、創傷治癒過程初期に必須のⅢ型コラーゲン、デコリン、MMP2遺伝子を、コラーゲンコート及び細胞培養ディッシュ上の条件に比較して有意に高く発現することを、昨年の学術大会で発表した。

このin vitroにおける研究結果を受け、本年は、ASESMのin vivoでの効果をマウスへの塗布によって検証することにした。

へアレスマウスの背部皮膚に10%ASESM溶液あるいは0%溶液を10日間塗布した後の細胞外マトリックス遺伝子の発現を評価したところ、驚くべきことにin vitroの系と同じ遺伝子発現上昇が見られた。そこでさらにヒトを対象とした実験を実施した。

被験者(20-65歳、女性30名)に、二重盲検法により、上腕部と前腕部の皮膚に1%あるいは0%ASESM化粧水と保湿クリームを1日2回、上腕部及び前腕部の片側に12週間塗布したあと、皮膚粘弾性の変化をキュトメーターで評価した。

その結果、1%ASESM入り化粧品使用群で、塗布前後の前腕外側と上腕部において、皮膚粘弾性指標の有為な上昇が見られた。In vitroおよび動物実験の結果を踏まえ、ヒトにおける弾力性アップには、『III型コラーゲン・デコリン・MMP2』の組み合わせが鍵となると考えられる。

鶏卵の内部では、胚発生の期間、外部から酸素以外の物質を得られない。

したがって卵殻膜は、卵に物理的強度と水分保持能力を与えるだけでなく、胚発生に必要な因子を供給している可能性がある。

したがって、卵殻膜は、皮膚線維芽細胞に対しても発生過程と類似のメカニズムで真皮の再生プロセスをケミカルに刺激し、皮膚環境を健康な状態に維持するのに貢献していると考えられる。

これらの試験で、線維芽細胞が増えること、それに伴ってヒアルロン酸が増加すること、この両方の効果によって皮膚弾力性が改善することが認められましたが、これらの試験では1%加水分解卵殻膜溶液を使用しており、実際に化粧品に配合される推奨量は0.01%~0.5%になるので、試験よりもゆるやかな効果になると思われます。

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加水分解卵殻膜の安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

加水分解卵殻膜の現時点での安全性は、皮膚刺激性や毒性はほとんどなく、眼刺激性もほとんどなく、重大なアレルギーの報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

キューピー株式会社の資料(文献1:2016)によると、

  • 皮膚一次性試験の結果、皮膚刺激性なし

と記載されています。

有意な安全性データはひとつですが、開発元のキューピーのデータなので信頼性があり、化粧品配合推奨量において皮膚刺激性はないと考えられます。

眼刺激性について

キューピー株式会社の資料(文献1:2016)によると、

  • 眼粘膜刺激性試験の結果、眼刺激性なし

と記載されています。

有意な安全性データはひとつですが、開発元のキューピーのデータなので信頼性があり、眼刺激性はないと感がられます。

アレルギー(皮膚感作性)について

キューピー株式会社の資料(文献1:2016)によると、

  • 皮膚感作性試験の結果、陰性(感作性なし)
  • [ヒト試験] ヒトパッチテストの結果、異常なし

と記載されています。

開発元のキューピーのデータなので信頼性があり、重大なアレルギーの報告もないため、アレルギー反応(皮膚感作)が起こる可能性は低いと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
加水分解卵殻膜

参考までに化粧品毒性判定事典によると、加水分解卵殻膜は■(∗3)となっており、やや毒性ありという判定になっていますが、開発元のキューピーが安全性テストを実施し、すべての安全性を確認しているため、毒性の心配はほとんどないと考えられます。

∗3 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

加水分解卵殻膜は保湿成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分 抗シワ(抗老化)成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. キューピー株式会社(2016)「化粧品用・食品用卵殻膜素材」, <http://www.kewpie.co.jp/finechemical/products/pdf/02f/emp_p/emp_p_pamph.pdf> 2017年9月17日アクセス.
  2. 日本卵殻膜推進協会(2010)「可溶性卵殻膜入り化粧品のヒト皮膚への効果」, <http://eggmem.org/research/page3.php> 2017年9月17日アクセス.
  3. 日本卵殻膜推進協会(2012)「加水分解卵殻膜塗布によるヒト皮膚の粘弾性及びマウス皮膚Ⅲ型コラーゲンの増加」, <http://eggmem.org/research/page11.php> 2017年9月17日アクセス.

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