加水分解ヒアルロン酸(低分子ヒアルロン酸)とは…成分効果と毒性を解説

保湿成分 ベース成分
加水分解ヒアルロン酸(低分子ヒアルロン酸)
[化粧品成分表示名称]
・加水分解ヒアルロン酸

[医薬部外品表示名称]
・加水分解ヒアルロン酸

[慣用名]
・低分子ヒアルロン酸、浸透型ヒアルロン酸

酸性ムコ多糖類で酵素などで加水分解して得られる分子量1万以下の低分子ヒアルロン酸です。

加水分解ヒアルロン酸という名称のほかにも、低分子ヒアルロン酸、浸透型ヒアルロン酸などと呼ばれています。

分子量が少ないため、高分子のヒアルロン酸に比べて低粘度でベタつきが少なくサラッとした使用感を実現し、肌への浸透性を持たせ水分保持力を高めたものです。

通常のヒアルロン酸(ヒアルロン酸Na)は、分子量が50万~200万と大きく粘度が高いので、肌表面にしっとり感があり皮膚内に浸透せず、皮膚の外に保護膜をつくり空気中の水分や化粧品の水分を含んで角質層に与えます。

一方で、加水分解ヒアルロン酸は、低分子ヒアルロン酸や浸透型ヒアルロン酸とも呼ばれていることから、いかにも皮膚に浸透して保湿してくれそうなイメージですが、加水分解で分子量1万以下にしても、化学的に皮膚に浸透する分子量は500以下、アトピー性皮膚炎や敏感肌でも800前後ということが明らかになっているので、ほとんど皮膚に浸透することはなく保湿効果は通常のヒアルロン酸とほぼ同様です。

この低分子ヒアルロン酸の皮膚浸透に関しては、城西大学大学院の薬学研究科の博士論文「四糖ヒアルロン酸オリゴ糖の皮膚における機能解析」の中で行われているヒアルロン酸、低分子ヒアルロン酸、四糖ヒアルロン酸オリゴ糖の皮膚透過性の比較を参考にしました(文献1:2012)

要約を掲載しておくと、

  • ヒアルロン酸は水溶性で平均分子量が10万を超える高分子であるため、皮膚へ浸透しないとされている。
  • そこで、当研究では分子量120万のヒアルロン酸と分子量3万の低分子ヒアルロン酸の皮膚透過性について検討した。
  • その結果、どちらのヒアルロン酸も受動拡散では皮膚をほぼ透過しないことが確認できた。

要約元:四糖ヒアルロン酸オリゴ糖の皮膚における機能解析(文献1:2012)

というもので、低分子ヒアルロン酸の分子量に違いはありますが、低分子として分子量を3万にしても120万のヒアルロン酸と同じく皮膚を透過しないという事実は分子量500以下しか透過しないという化学的事実と一致しています。

ただし、角層を除いた皮膚では、分子量約10万のような高分子物質でも皮膚を透過することが報告されています(文献2:2006)

角層を除いた皮膚というのは、実験であれば、テープストリッピングといってテープで角層を剥がしてバリア機能を低下させますが、自然なケースだとアトピー性皮膚炎でかきむしって角層を剥ぎ取ってしまって荒れ果てたようなケースです。

また、株式会社マンダムの研究でも同じように角層を剥がしてヒアルロン酸と低分子ヒアルロン酸の比較を行っていますが、低分子ヒアルロン酸は、高分子ヒアルロン酸の2倍の皮膚バリア回復力を示し、皮膚の浸透性に関してはわずかに真皮にも到達していたと報告があります(文献3:2010)

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加水分解ヒアルロン酸の安全性(刺激性・アレルギー)について

加水分解ヒアルロン酸は、幅広く化粧品に使用されており、ヒアルロン酸ということもあって毒性や刺激性などはほとんどなく、アレルギー(皮膚感作性)報告もないのですが、複数の文献や資料に、ヒアルロン酸は分子量100万以下だと逆にサイトカインの産生を促して炎症を誘発・促進させる作用があると書かれているため(文献4:2008,文献5:2006)、アトピー性皮膚炎や敏感肌の方は症状が悪化したり、肌が不安定になる可能性があるため、使用を控えるのがおすすめです。

安全性が高く、刺激もないヒアルロン酸でときどき接触性皮膚炎のような症状をうったえる方がいるのはこれが原因だと考えられます。

参考までに化粧品毒性判定事典によると、加水分解ヒアルロン酸は毒性なし(∗)となっており、毒性については心配ありません。

∗ 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

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加水分解ヒアルロン酸はベース成分、保湿成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分 保湿成分

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文献一覧:

  1. 四糖ヒアルロン酸オリゴ糖の皮膚における機能解析(2012):19-33
  2. Effects of pretreatment of needle puncture and sandpaper abrasion on the in vitro skin permeation of fluorescein isothiocyanate (FITC)-dextran(2006). International Journal of Pharmaceutics,Volume316,Issues1–2,19:102–108
  3. マンダム、業界初 低分子ヒアルロン酸の「荒れ肌への改善効果」を発見(2010)
  4. 食品機能性の科学(2008):753
  5. Hyaluronan fragments: An information-rich system(2006). European Journal of Cell Biology,Volume85,Issue8:699-715

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