加水分解ケラチンとは…成分効果と毒性を解説

保湿成分
加水分解ケラチン
[化粧品成分表示名称]
・加水分解ケラチン

[医薬部外品表示名称]
・加水分解ケラチン液

[慣用名]
・ケラチン加水分解物

ケラチンは、表皮の角質層や毛髪、爪などに含まれるたんぱく質で、含硫アミノ酸(∗1)であるシスチンが多量に含まれているのが特徴です。

∗1 イオウ原子を含むアミノ酸のことです。

化粧品に使用される加水分解ケラチンは、羊毛由来で、シスチン結合(S-S結合)を切断したものを加水分解し、分子量を数千程度にしてある淡黄色~褐色の透明液体または粉末です。

界面活性剤と間違える方が少なくないのですが、加水分解とは不溶性の成分の分子量を小さくすることで親水性の部分をむき出しにして水に溶けるタイプにしたものなので、界面活性剤とは別モノです。

また、何かを合成して加えたわけでもないので合成ポリマーでもありません。

多くのアミノ酸を含有しており、ケラチン(羊毛ケラチン)のアミノ酸組成は、

  • グルタミン酸:15%
  • シスチン:11.3%
  • アルギニン:10.5%
  • セリン:9%
  • ロイシン:7.6%
  • ブロリン:7.3%
  • アスパラギン酸:6.7%
  • スレオニン:6.6%
  • チロシン:6.4%
  • グリシン:5.2%
  • バリン:5%
  • アラニン:3.7%
  • フェニルアラニン:3.4%
  • イソロイシン:3.1%
  • リジン:2.8%
  • トリプトファン:2.1%
  • ヒスチジン:0.9%
  • メチオニン:0.7%

となっており、主成分は、グルタミン酸とシスチンです。

皮膚や毛髪への親和性が高く、本来的に髪と組成が似ているので髪のケアなら加水分解コラーゲンよりも加水分解ケラチンのほうが向いています。

皮膚は一般的に分子量500以下、アトピー性皮膚炎や敏感肌などバリア機能が弱っている場合で分子量800以下ぐらいで浸透しますが、加水分解ケラチンは分子量が数千あるので、皮膚に浸透することはなく、表皮の外側を保護し、乾燥を防ぎ水分を保持するコンディショニング作用があるので、化粧水、乳液、クリームなどの基礎化粧品からシャンプーやリンス、頭髪用化粧品、ネイルエナメルなどに幅広く使用されています。

実際にどのような製品に配合されているかというと、海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに表の中の製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

加水分解ケラチンの配合製品数と配合量の調査結果(2015-2016年)

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加水分解ケラチンの安全性(刺激性・アレルギー)について

加水分解ケラチンの現時点での安全性は、皮膚刺激性や眼刺激性はほとんどなく、重大なアレルギー(皮膚感作)の報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

化粧品におけるケラチンは羊毛(ウール)由来のものが多いので、羊毛アレルギー(ウールアレルギー)の方はアレルギーの懸念をもつかもしれませんが、十分に加水分解され成分は通常アレルギーを生じることはありません。

ただし、加水分解の製造過程はユーザーにはわかりませんし、実際に加水分解の工程に問題があり、多くの被害を及ぼして社会問題になった成分もあるため、アレルギーに懸念がある場合は、念のためパッチテストをして安全性を確認してから使用してください。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Keratin and Keratin-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」(文献1:2016)によると、

  • [ヒト試験] 16人の女性被検者に1日1回2.5週にわたって合計12回3%加水分解ケラチン(平均分子量<1,000Da)を含むハンドクリームを使用してもらったところ、有害な影響の報告はなかった
  • [ヒト試験] 40人の健康な被検者と10人のアレルギーを有する被検者に25%加水分解ケラチン(平均分子量310Da)水溶液0.5mLを24時間閉塞パッチ(Finn Chamber)適用したところ、皮膚刺激はなかった
  • [ヒト試験] 24人の健康な被検者に25%加水分解ケラチン(平均分子量320Da)水溶液0.2mLを24時間閉塞パッチ適用したところ、皮膚刺激はなかった
  • [ヒト試験] 23人の被検者に20%加水分解ケラチン(平均分子量11,000Da)水溶液0.03gを24時間閉塞パッチ(Finn Chamber)適用したところ、パッチ除去30~40分後に1人の被検者で軽度の紅斑が観察されたが、24時間後には紅斑はなくなっており、非刺激性だと結論づけられた
  • [動物試験] 6匹のウサギの無傷および擦過した皮膚に20%加水分解ケラチン0.5mLを24時間閉塞パッチ適用したところ、4匹に明瞭な紅斑が観察され、残りの2匹はわずかな紅斑が観察された。また3つの無傷および擦過した皮膚で非常にわずかな浮腫が、1つの擦過した部位と2つの無傷の部位でわずかな浮腫が、1つの擦過した皮膚で中等の浮腫が観察された。72時間の観察中にこれらの皮膚反応は残ったままだった。一次刺激指数は最大8.0のうち2.0で軽度の刺激に分類された
  • [動物試験] 6匹のウサギの無傷および擦過した皮膚に20%加水分解ケラチン0.5mLをDraize法に基づいて24時間閉塞パッチ適用したところ、6匹のウサギすべての擦過した部位に紅斑および4匹のウサギの擦過した部位に浮腫が観察された。72時間の観察期間の終了時には2匹の浮腫はなくなった。一次刺激指数は最大8.0のうち0.75で軽度の刺激に分類された
  • [動物試験] 6匹のウサギの無傷および擦過した皮膚に25%加水分解ケラチン0.5mLをDraize法に基づいて24時間閉塞パッチ適用したところ、一次刺激指数は最大8.0のうち0.43で本質的に皮膚刺激性はなかった
  • [動物試験] 6匹のウサギの無傷および擦過した皮膚に25%加水分解ケラチン(平均分子量320Da)0.5mLをDraize法に基づいて24時間閉塞パッチ適用したところ、24時間後に2匹の擦過した皮膚で非常にわずかな紅斑がみられ、72時間後には1匹の紅斑はなくなった。一次刺激指数は最大8.0のうち0.2で皮膚刺激はなかった
  • [動物試験] 3匹のウサギの無傷の皮膚に20%加水分解ケラチン(平均分子量11,000Da)0.5mLをDraize法に基づいて4時間閉塞パッチ適用したところ、一次刺激指数は最大8.0のうち0.0で皮膚刺激はなかった
  • [動物試験] 6匹のウサギの皮膚に100%加水分解ケラチン(平均分子量500Da)をDraize法に基づいて24時間閉塞パッチ適用したところ、一次刺激指数は最大8.0のうち2.15で本質的に皮膚刺激性ではなかった
  • [動物試験] 6匹のウサギの皮膚に100%加水分解ケラチン(平均分子量125,000Da)をDraize法に基づいて24時間閉塞パッチ適用したところ、一次刺激指数は最大8.0のうち2.0で本質的に皮膚刺激性ではなかった
  • [動物試験] 6匹のウサギの皮膚に100%加水分解ケラチン(平均分子量600Da)をDraize法に基づいて24時間閉塞パッチ適用したところ、一次刺激指数は最大8.0のうち0.0で本質的に皮膚刺激性ではなかった

と記載されています。

試験結果はヒトおよび動物ともに共通して、皮膚刺激なしと結論付けられていますが、ごくまれに非常にわずか~軽度の紅斑が一時的に生じる可能性も示唆されるため、ごくまれに一時的な非常にわずか~軽度の紅斑が生じる可能性がありますが、総合的に皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Keratin and Keratin-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」(文献1:2016)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの右眼に20%加水分解ケラチン0.1mLを点眼し、24,48および72時間後に評価したところ、24時間で1匹のウサギにわずかな結膜の発赤がみられたが、眼刺激性ではないと結論づけられた
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に25%加水分解ケラチン0.1mLを点眼し、24,48および72時間後および4および7日後に評価したところ、眼刺激性はなかった
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に25%加水分解ケラチン(平均分子量320Da)水溶液を点眼し、24,48および72時間後評価したところ、眼刺激スコアは0で、眼刺激性はなかった
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に25%加水分解ケラチン(平均分子量320Da)水溶液を1日3回4日間にわたって点眼したところ、4日間で3匹のウサギに結膜と虹彩の充血が観察され、軽度の眼刺激性であった
  • [動物試験] 6匹のウサギの眼にDraize法に基づいて100%加水分解ケラチン(平均分子量500Da)を点眼し、眼をすすがずに評価したところ、最小限の眼刺激性であった
  • [動物試験] 6匹のウサギの眼にDraize法に基づいて100%加水分解ケラチン(平均分子量125,000Da)を点眼し、眼をすすがずに評価したところ、眼刺激性ではなかった
  • [動物試験] 6匹のウサギの眼にDraize法に基づいて100%加水分解ケラチン(平均分子量600Da)を点眼し、眼をすすがずに評価したところ、眼刺激性ではなかった

と記載されています。

試験結果の多くが眼刺激性なしと結論付けられていますが、ごくまれに結膜や虹彩に軽度の充血や発赤が生じる可能性も示唆されるため、まれに軽度の充血や発赤が生じる可能性がありますが、総合的に眼刺激性はほとんどないと考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Keratin and Keratin-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」(文献1:2016)によると、

  • [ヒト試験] 51人の被検者に加水分解ケラチン(平均分子量3,000Da、濃度不明)を半閉塞パッチで繰り返し適用(HRIPT)したところ、皮膚刺激および皮膚感作性はなかった
  • [ヒト試験] 頭皮皮膚炎25人を含む500人の患者に加水分解ケラチン0.1%をプリックテスト、5%を反復パッチテスト(HRIPT)したところ、プリックテストおよびパッチテストにおいて陽性反応はみられなかった

と記載されています。

試験結果は共通して皮膚感作性なしと結論付けられているため、皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

化粧品に使用される加水分解ケラチンの原料は羊毛由来であることが多いので、羊毛アレルギー(ウールアレルギー)の方はアレルギーの懸念があるかもしれませんが、十分に加水分解された成分は、通常アレルギーの心配はなく、実際にアレルギー報告もみあたりませんが、製造過程は消費者にはわからないため、安全性を考慮して皮膚の一部でパッチテストを行い安全性を確認してから使用してください。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
加水分解ケラチン

参考までに化粧品毒性判定事典によると、加水分解ケラチンは■(&lowast2;)となっており、やや毒性ありという判定です。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

加水分解ケラチンは保湿成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2016)「Safety Assessment of Keratin and Keratin-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」, <https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/FR713.pdf> 2017年11月8日アクセス.

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